標準管理規約第28条 修繕積立金

第28条(修繕積立金)
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるもの とし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経 費に充当する場合に限って取り崩すことができる。

  1.  一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕

  2.  不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕

  3.  敷地及び共用部分等の変更

  4.  建物の建替え及び敷地売却に係る合意形成に必要となる事項の調査

  5.  その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のた めに特別に必要となる管理

2  建替 え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっ ても、マンション建替組合の設立の認可、マンション建替事業の認可までの間において、建物の 建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当する ため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に 帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り 崩すことができる。

3  マンション敷地売却決議の後であっても、円滑化 法第120条のマンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マ ンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当す るため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地 売却不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修 繕積立金を取り崩すことができる。

4 管理組合は、特別の経費に充てるため借入れをしたときは、修繕積立金をもってその償還に充てることができる。

5 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。

■関連コメント第28条関係

① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う 計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てるこ ととしたものである。

②  修繕積立基金(分譲時)や一時負担金(修繕時)についても修繕積立 金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。

③ 円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えま でのプロセスの概要は、円滑化法の制定を踏まえ作成された「マンション の建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」によれば、次のとおりで ある。 A.建替え決議までのプロセス (ア)準備段階:一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛 同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる 段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得る こと」を目標とする。 (イ)検討段階:管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの 必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合とし て、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とす る。 (ウ)計画段階:管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りなが ら、建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策 定するともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とす る。 B.建替え決議後のプロセス (ア)建替組合の設立段階:定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の 認可を受けて建替組合を設立する段階。 (イ)権利変換段階:権利変換計画を策定し、同計画に関し都道府県知事 等の認可を受け、権利変換を行う段階。 (ウ)工事実施段階:建替え工事を施工し、工事完了時にマンション建替 事業に係る清算を行う段階。 (エ)再入居と新管理組合の設立段階:新マンションに入居し、新マンシ ョンの管理組合が発足する段階。 - 21 - ④ ③のプロセスのうち、③のA(イ)及び(ウ)の段階においては、管理組合 が建替えの検討のため、調査を実施する。調査の主な内容は、再建マンシ ョンの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する 費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関す る事項等である。

⑤ ③のプロセスのうち、③のB(ア)の段階においても、修繕積立金を取り 崩すことのできる場合があることを定めたのが第2項である。

⑥ ③のプロセスによらず、円滑化法第45条のマンション建替事業の認可に 基づく建替え、又は区分所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進す る場合であっても、必要に応じて、第1項及び第2項、又は第2項と同様 の方法により、修繕積立金を取り崩すことは可能である。ただし、任意の 組織に関しては、その設立時期について管理組合内で共通認識を得ておく ことが必要である。

⑦ 円滑化法に基づくマンション敷地売却組合によるマンション敷地売却事 業のプロセスの概要は、平成26年の円滑化法の改正を踏まえ作成された 「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」を参 考とされたい。この場合にも、建替えの場合と同様に、第1項及び第3項 に基づき、必要に応じて、修繕積立金を取り崩すことは可能である。

建替え等に係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じ て、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。

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