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「クリエイティビティとイノベーションの違いは何ですか?」とお客さまから訊かれたときの話
イノベーションを会社組織の中で実行するためのお仕事をよくいただいておりますが、以前、お客さまからこんなことを訊かれたことがあります。
「クリエイティビティとイノベーションの違いは何ですか?」と。
仕事を遂行するにあたって、私がついついその両方のワードが連発してしまうので、お客さまはたまりかねたのでしょうね(苦笑)
私なりではございますが、今日はその定義を書き留めておきます。
クリエイティビティとイノベーション、それぞれの解釈
クリエイティビティとは、そのまま日本語に訳すと「創造力」となります。
つまり、個人に属した能力のうち、創造的な活動に向けたワードなのでしょう。
次に、イノベーションですが、これを日本語に訳すのはちょっと難しいです。
というのも、かつて(半世紀以上も前の話)日本にイノベーションという外来語が入ってきたときに、日本の偉い人(おそらく政府の関係者)はイノベーションのことを「技術革新」と訳しました。
ですが、これはちょっと違うかな?と思ってます。
私はデザイン思考の担い手として、デザイン思考を説明するにあたって「デザイン思考とはイノベーションを起こすためのひとつの方法。その方法とは『人』の有用性を新たに見出すアプローチ」と話します。
よって、イノベーションを「技術革新」と訳してしまうと、そこには「人からのアプローチ」というものはそもそも存在しなくなります。
では、イノベーションを何と訳しましょうか?
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私がこれまで読んできた数々の本の中で辿り着いた解釈は、「イノベーションとは、『技術、人、ビジネスとしての持続性のあるしくみ』、この3つが揃ったときに起こる、人や社会にもたらす新たな価値提供」という内容です。
…ちょっと長いですね(苦笑)
クリエイティビティは人に帰属するもので、それに対してイノベーションは組織に帰属するもの、そのように考えていただいて結構です。
上記のセグウェイの場合は、「誰が、どこで使うのか?」という人にとっての有用性を上手に見出すことができなかったことで、社会に普及しなかった一例ですが、言い方は悪いですがイノベーションの失敗例とも言えます。
一方で、たとえばネットフリックスは、映画館でもなくDVDでもない、「映画を観て楽しむ」新たなしくみをビジネスモデルと技術(主にAI)を活用して創造し、これまでにない「人にとっての有用性(1ヶ月の固定額で見放題)」を確立したのは、イノベーションの好事例のひとつと言えます。
イノベーションを実行するために必要な考え方
さて、ここから本題に入ります。
クリエイティビティは人の能力・才能に帰属するものであり、イノベーションは顧客や社会にもたらす新しい価値、それは組織に帰属するものと定義しました。
これがクリエイティビティとイノベーションの違いなのですが、ここではもう少し踏み込んでみます。
会社組織の中で「イノベーションが実行できない」とよくそんなお悩みを打ち分けられます(…それをなんとかするのが私の仕事なのですが)。
まず、何からするか?
私の場合は、個々人のクリエイティビティを発揮させ、それを伸ばすお手伝いから着手します。
なぜなら、クリエイティビティはイノベーションの質を高める上で必要だからです。
では、それでイノベーションが実行できるようになるかというと、クリエイティビティを高めるだけではイノベーションは実行できません。
「イノベーションとは、『技術、人、ビジネスとしての持続性のあるしくみ』、この3つが揃ったときに起こる、人や社会にもたらす新たな価値提供」と、前述のとおり私はそんな解釈を与えましたが、持続性のあるしくみを会社組織の中にインストールして、それを動かす取り組みが重要なのです。
そこは、クリエイティビティとは切り離されたスキルです。
では、どのようにすれば、「持続性のあるしくみを会社組織の中にインストールして、それを動かす取り組み」を行うことができるのでしょうか?
なかなか難しいのですが、『技術、人、ビジネス』、この3つの知識領域を持つことと、それを統合し、前進させるためのコミュニケーションが取れることが、イノベーション実行にあたって必要な取り組みになります。
統合と前進、要はプロデューサー的な役割りであり、プロジェクトマネジメントでもあります。
…難しいですね。
むすび
よくある誤解として「クリエイティビティが高い=イノベーションを実行できる」と解釈してしまうことが挙げられます。
クリエイティビティはイノベーションを実行するために必要な能力・才能ですが、それはイノベーションの質に影響を与えるものです。
実行にあたっては、統合と前進、そのためのコミュニケーション・スキルを発揮してもらうことかと思います。
こういったお手伝いはちょっと大変ではありますが、私の経験と知識を使って、クリエイティビティを高め、さらにイノベーションを実行できる組織づくりのお手伝いをこれからも頑張ります。
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