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「アイデアって計画的に出せるものですか?」とお客さまから質問されたときの話

「経営におけるデザインの役割りって何?」という質問をよくされる話を以前、ここのnoteで書きました(→記事はこちら)が、今日はそれに関連したことでお客さまからたまに聞かれる話をしたいと思います。

それは(タイトルに書いてあるとおり)「アイデアって計画的に出せるものなの?」という質問です。

以下にその質問の答えを書きます。


食材を揃えることがすべての出発点

まずは結論から。
アイデアは計画的に創出できます。

アイデアを計画的に創出するには、アイデア創出のための「材料」が必要です。
つまり「材料」をちゃんと揃えることができる人は、アイデアを計画的に出すことができます。

たとえば料理でも、まずは食材があって、目指すべき料理があって、そこに至るまでには手順がありますよね。
その手順が料理という行為そのものなのですが、これは手を動かしていれば上達するものです。
アイデアを形にする行為も料理と同じように、食材(すなわち材料)を揃えることがすべての出発点です。
そして、計画的に手を動かす機会を作ることが、私にできるお手伝いになります。

そのために必要なことを以下に書きます。


材料とは「整った問題」のこと

ではここで、アイデアを出すための「材料」について説明します。
これは前回このnoteで書いた「経営におけるデザインの役割りって何?」の中で(→記事はこちら)、「顧客インサイト」という言葉を使って説明しました。

たとえば男性が化粧品を買うという欲求に対して、いざ化粧品を買おうにも実際に行動に移せない。そのジレンマを解消する鍵を「顧客インサイト」と呼びます。

この「顧客インサイト」が解決策につながるアイデアです。
つまり、男性が化粧品を買おうと行動するためにどんなアイデアがあるか?と。
そして顧客インサイトにつながる情報、すなわち「なぜ実際に行動に移せないのか?」の理由が「材料」になります。
単純に言えば、材料とは「整った問題」のことです。

いきなり解決策を考えようとすると誰しも困りますが、正しい問題を立てればよい解決策が出てくることに期待できます
なので、問題を整えることから始めるのです。


問題を整えるには何をすればよいか?

次に、問題を整えるには何をすればよいかについて説明します。

①顧客は最終的にどうなりたいのか、②そのときに顧客はどんな恩恵を受けて、③同時にどんな悩みが発生するのか、この3つを定義します。

男性用化粧品を例に挙げて説明します。

そもそも顧客(ユーザー)はなぜ化粧がしたいのか?
その「なぜ」を掘り下げると、テレワークで相手に見せる自分の顔を通じて「感情をシンプルに伝えたい」という欲求があって、その欲求を満たすにあたって化粧という手段を考えたとします。

化粧をすることによって、感情をシンプルに伝えることを達成できるとしましょう。
それが「顧客が最終的にどうなりたいか?」の定めです。

では化粧という行為にあたって、顧客はどんな恩恵を受けるでしょう?
感情をシンプルに伝えることができたらテレワークの先にいる相手と「コミュニケーションが円滑になる」ことに期待できますよね。

逆に、化粧という行為にあたって生じる悩みってあるのでしょうか?
あるとしたら、「化粧のやり方がわからない」「毎回の化粧に手間がかかる」「化粧した顔のまま外出するのは恥ずかしい」などなど。

ではここで、問題を整えます。

化粧という手段を得る顧客は….

① 最終的にどうなりたいか?
テレワークで相手に見せる自分の顔を通じて「感情をシンプルに伝えたい

② どんな恩恵を受けるか?
テレワークの先にいる相手と「コミュニケーションが円滑になる

③ どんな悩みが生じるか?
化粧のやり方がわからない」「毎回の化粧に手間がかかる」「化粧した顔のまま外出するのは恥ずかしい」などなど

問題を整えるとは、上記のように情報を整理することです。

そもそもの話として、ターゲットとする顧客(ユーザー)が「化粧がしたい」という欲求を得ていることが前提になりますので、アイデアを出す際には、まずは顧客へのアプローチが必要です。
化粧がしたいのはなぜ?を問うためです。


整えた問題からアイデアを出す

問題を整えたら、ここからは自由にアイデア出しをします。
問題が明確になれば解決策は生まれやすくなります。

料理に例えると、ここまでで調理すべき食材が揃った状態です。
あとは料理と同じで、手を動かしていれば食事ができあがるのと同じように、顧客に提供する価値をつくります。

ポイントは、悩みを解消しつつ恩恵を得ることのできるアイデアを目指すことです(…ちなみに、悩みと恩恵はときに二律背反な関係であったりしますが、今日はその説明については割愛します)。

男性用化粧品の例で説明すると、「化粧のやり方がわからない」という悩みを取り上げるとしたら、男性でも化粧のやり方に戸惑わないサービスを提供すればよいのではないでしょうか?

思惑どおりに化粧ができたら、恩恵であるテレワークの先にいる相手と「コミュニケーションが円滑になる」につながります。
せっかくなので、コミュニケーションが円滑に進むコツも化粧品を売るときにつけてあげましょう。
情報でモノが売れる時代ですしね。

この「恩恵」「悩み」それぞれを満たすアイデアを手を動かしながら考えて、うまく組みわせることができたら、それは商品・サービスとして「アイデアが形になった状態」と言えます。


むすび

今日はアイデアの出し方みたいなことを書かせていただきました。
回りくどい書き方をしましたけど、ビジネスの基本は、顧客の悩みや欲求に応えることです。
その「悩み」や「欲求」を問題として整えてあげれば、解決策となるアイデアは出ます。

繰り返しますが、問題が明確でないと解決策は出ません。

なので、私がお客さまから「アイデアって計画的に出せるものなの?」という質問をいただいたときには、今日ここで書いたことを説明し、問題を整えることから始めて計画的に手を動かす機会を作ります。

最後に、私の経験で語らせてもらえば、アイデア出しの名人は問題の捉え方の名人でもあります。


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