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「ITの専門家を入れてみたのですが、これがDXなのですか?」とお客さまから相談されたときの話

世間で DX(デジタル・トランスフォーメーション、以下「DX」と称す)という言葉が流行っていることから、自社でも積極的にDXを推進していこう!としている中小企業が増えています。

そういった中で経営者さま自らが振り返ってみて、「本当にDX推進はこれで大丈夫なのか?」と疑問に思われることが少なくないようです。

今日は「本当にDX推進はこれで大丈夫なのか?」と私がご相談を受けたときに、どのような対応をしているかについて少しお話しさせていただきます。


DXの前に知っておくべきこと

「本当にDX推進はこれで大丈夫なのか?」と私がご相談いただくケースの多くが、自社にITの専門家を入れてデジタルによる業務の効率化を図っている真っ最中のことです。

そして、そのケースの多くが下図の3つのワードについて経営者さまがご理解されていません。

上図のとおり、DXの前には「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」というワードがあります。
どちらもDXにつながるワードではありますが、DXとのいちばんの違いは「顧客や社会のニーズ」に目を向けた上で製品やサービス、ビジネスモデルをデジタルによって変革できているか?といった点です。

そして大抵は「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」で留まっています。
つまり、顧客や社会のニーズに目が向いていないということです。

DXを推進しているつもりでも、実際にはその視線が顧客が社会に向けられていなく、社内での業務効率化など、視線が内側に向きっぱなしのことが本当に多いのです。

そのような状況のときには、「DXの前に、まずは顧客や社会のニーズに目を向けましょう」と私は助言し、その方法を説くことで経営者さまに一応はご納得いただいてます。


「ITの専門性」と「価値創造のスキル」は別モノ

内側に向きっぱなしの視線を、どうやって外側、すなわち顧客や社会に向けるか?

そこで世間から注目を集めているのが「デザイン思考」と呼ばれるイノベーションを起こすための思考法です。

デザイン思考についてはこれまで当noteでたくさん書いてきたので今日はその説明は割愛させていただきますが、私が経営者さまに気づいていただきたい大切なことは、まずは視線の先がどこに向いているか、その次に自社が顧客価値を創造するスキルを持ち合わせているか?、もし持っていなければそのスキル醸成まで含めてITの専門家に依存していないか?といった点です。

ITの専門家の中にも、もちろん「顧客や社会のニーズへの目の向け方」に精通している方もいらっしゃいますが、ただこれはITのスキルとは直接的には関係なく、イノベーションなど別の専門領域の話です。

ITの専門家に価値創造のスキル醸成まで依存しても成果が上がらないケースはよくあります。
よって、ITの専門家を入れると同時に価値創造のスキル養成に適した人材(たとえばデザイン思考の専門家など)を社内に入れてDXを推進されることをオススメしています。
昨今、多くの大手企業でデザイン思考研修の導入が進んでいる背景はここにあります。

「DXを実践しなければ」といった焦りは理解できますが、「顧客や社会のニーズへの目の向け方」を自社で養わないことには、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」で留まってしまいDXまで進みませんからね。


むすび

先日、私は当noteで「デザインって社員みんなが扱えるものなのですね」とお客さまから感想をいただいたときの話をさせていただきました(→記事はこちら)。

その記事の中で触れましたが、デザイナーは色や形の専門家でもありますが、価値創造の専門家であることが本質です。
デザイナーが得意とする「色や形」は最終的に顧客と企業との接点で表現されたものであって、価値を創造する活動には色や形にする前に、またはその過程で取り組むべきことがたくさんあります。

そこで、今回ご紹介した「本当にDX推進はこれで大丈夫なのか?」といったご相談をいただいたときには、その企業さまが価値創造に取り組まれているか?、その取り組みは十分なものか?をチェックし、必要に応じて価値創造活動をサポートしています。

DXを推進したい企業さまには、まずは顧客や社会のニーズに目を向けていただきたいですし、また顧客インサイトの探索(→詳しくはこちらの記事へ)や顧客価値の創造に多くの社員を参画させて組織力アップを図っていただきたいと願っております。

「デザインって社員みんなが扱えるものなのですね」と従業員の方から言っていただけることも、DXを推進する上で理想的な環境のひとつです。


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