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バイバイ代田橋。またね。

長年住んだ街を離れる時が来た。
代田橋という、東京にあるぽっかり空いた空白地帯から引越しをする。
代田橋のある世田谷区大原、杉並区和泉近辺には、7年くらい住んだ。

代田橋と永福町、方南町の駅が、それぞれ徒歩15分以内、明大前駅は徒歩20分以内、下北沢までは歩いて30分以内、甲州街道、環七が交差する大原交差点、さらにすぐそばには井の頭通り、幹線道路が近くにあり自転車や徒歩、バスや車でもとても便利な場所に住んでいた。

住み始めた頃の代田橋は、駅前の飲み屋と沖縄料理屋、目立って面白いお店はしゃ小島くらいしかなく、あまり魅力がない街だった。
それが徐々に個人経営の飲食店、本屋、古着屋、花屋などなどが、代田橋にできはじめた。

オンラインでやっていた「flotsam books」が2020年1月に沖縄タウンのはずれの方にオープン、2021年3月には「バックパックブックス」が代田橋駅南口にオープンした。バックパックブックスの隣にはロボ宙さんがレーベルショップ「omiyage」が2021年12月にオープン。
その他にも、2019年には南口の住宅地の一軒家に、福岡「ON AIR」がスタジオ兼ショップの「ON AIR TOKYO」をオープンさせたりと、気が付けば代田橋にどんどんカルチャー的な要素が増えていった。

そんなカルチャー要素が増える度に、自分が選んだ街は間違ってなかった。自分の感度や知識の量が増えると同時に街も変化していっている。そんな変化する街が楽しかった。
しかし、そんな楽しさと裏腹にどこか自分がこのままこの街に住み続けるべきではないのかもとも思いはじめた。
代田橋に自分が住んでなくても、なにかしら面白いことが起きる街になり、自分のようなカルチャー好きの人が集う街になったような気がしたので、引っ越しを決意した。

しゃけ小島、しゃけスタンドも好きだし、バックパックブックスも、フロットサムも大好きだ。
銭湯の湯の楽代田橋も、その帰りに寄るそば屋のまるやまも最高のルートだし、代田橋の深夜食堂の大橋商店のとなり食堂も、駅前の飲み屋きんせいも、チェーンのかぶら屋も、フィナンシェが激うまのバターマスターも、その隣の北海道料理のSHANSHANも、甲州街道沿いの太陽食堂も、こあっとも、和泉仲通りの中華料理 代一元も、とんかつクラウンも、その近くにある建築家、梵寿綱建築のマインド和亜も、大原交差点の渋滞も、自分にとってのかけがえの無い東京の景色だ。

2018年に、「代田橋という街」と題してnoteに、街を紹介する記事を書いた。
その記事の中で、代田橋エリアは、世田谷区と杉並区、渋谷区、中野区の隣接する区界、他路線の乗り換えの明大前駅と笹塚駅の間にある地味な駅だと明記した。

そんな狭間にある街であるからこそ、面白いお店や文化、人を集めて、新たなカルチャーを作り上げているのだと思う。

長年住んだ街であるため、様々な情景が浮かんでくる。色んな出会いと別れがあったのも覚えてる。
恋人を迎えに代田橋の駅まで行ったり、友達が不定期のスタッフとして立っていたたこ焼き屋に飲みに行って酔って客と喧嘩した友達を家まで送ったり、自分もベロベロになって甲州街道の歩道橋の階段から転げ落ちたり、本当に色々あった。

そんな街とも、今年の夏でお別れ。
たくさんの大好きなお店があるからまた必ず来るが、やはりあの雑多で愛すべき飲んだくれがいる街に帰れなくなるのは悲しい。 

次に引越す先は、大きな公園や繁華街が近くにある住宅地だ。
そこもまた何駅か使えて、少し駅から歩く場所。
自分は、駅近というより少し離れた場所が好きなのかもしれない。静かだけど、賑やかな飲み屋にも行ける場。

どんな風に街に馴染んで好きになっていくのかは、まだ未知数。もしかしたら嫌いになるかもしれない。街としては代田橋を越すことはないかもしれないが、やはり新たな街に行くことはワクワクしている。

引っ越す前に、好きだった代田橋のお店、場所を巡らなきゃ。

引っ越しまでまだ少し時間があるけど、
バイバイ代田橋。またね。

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