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三十歳のとき、何をしていたか? 〜20歳より知りたい30歳〜

雑誌「POPEYE」の特集に『二十歳のとき、何をしていたか?』という特集があり、過去に2回特集が組まれ、特別編集としてムックにもなっている。立花隆と東大の立花ゼミ生が作った『二十歳のころ』という本がきっかけこの特集が作られた。
内容としては、二十歳前後のことを語ってもらう著名人へのインタビューや観て欲しい映画、二十歳のときに達成した偉業の紹介などが載っている。
10代後半から20代を主な読者層としている雑誌「POPEYE」にとって、ピッタリな特集で、当時読者だった私も買って読んでいた。

20歳というのは、日本にとって特別な年齢だ。2022年から18歳が成人の年齢と法改正されたが、それ以前は20歳が成人で、大人への第一歩の年齢になる。大学や専門学校へ進学、就職して1年が経ち、お酒、タバコも合法になり、遊び方や社会への接し方を覚え始めるのが20歳だと思う。

そんな特別な20歳だが、多くの人にとって「二十歳のとき、何をしていたか?」ではなく、もっと別の年齢でどんな人生を歩み、どんなことをしていたのかの方が重要かつ知りたいと思う。例えば、30歳。

30歳は、4年制大学を出て新卒で入社した場合、社会に出て8年経ったことになる。昇進や昇給、転職で収入も安定していく年齢。
多くの人は結婚をし、子供を授かり、いわゆる家庭を持っている率が高まっていく。家を30〜35年ローンで購入し、終の棲家を持ったりするのもこのあたり。結婚はしなくてもパートナーがいたり、仕事で役職を持ったり、独立や起業していく人も増えていく。
また、段々と新しいことにチャレンジできなくなる年齢だと思う。20代は新しいことや、新しい仕事(転職、新規挑戦)にもチャレンジできるが、30代からは同一業界や同職種でのスキル、給与アップの転職、チャレンジになり、新たなことへ取り組みづらい環境になる。20歳のとき以上に、知見や経験を重ねることができるが、制約も増え、30年先、40年先を見て、人生を考え行動、決断をしていくきっかけになる年齢が30歳なんじゃないのかなと思う。

新しいことにチャレンジできなくなる年齢の第一歩、出会いも極端に少なくなり、友達という友達もできにくくなる。そして、人生の指針を固めていく落ち着きを求め始める時期。
みんなの30歳はどんな感じだったんだろうか。どんな失敗があって、どんな出会いがあって、どうやって壁や苦悩を乗り越えたのかを知りたい。20歳のときより、社会という中で摩耗して、諦め、妥協し、それでも夢や希望を持てた30歳のリアルを知りたい。

なんでこんなに30という年齢にこだわっているのかというと、理由は簡単で自分が30歳を迎えたからだ。

三十歳のとき、何をしていたか? - ワタシ編 -

こんな風に他人の30歳のときを知りたがっている私だが、実際にいま30歳を生きている自分はどのように生きているのかを残そうと思う。

30歳の幕開けは、最悪だった。
以前、noteにも書いたが、仕事やプライベートで様々なことが重なり、適応障害、鬱状態になった。そんな休職している期間に30歳の誕生日を迎えた。
ベッドから起きれず、将来の漠然とした不安と無気力と、不眠で、三十路へ突入。思い描いていた30歳との乖離が大きく、メンタル不調で療養しているのに更に不調になるのではないかと思った。

中高生のときに想像していた30歳というのは、精神的にも経済的にも、もっともっと大人で、社会の一員として胸を張って生きてキラキラしているイメージだった。結婚し、子供を授かり、車を買い、家を購入し、ささやかな親孝行をし、幸せに暮らしているものだと思っていた。
しかし現実は、金なし、子なし、結婚する気もなし、親孝行もまともにできず。ときたま親の脛をかじるような生活。こんな30歳なんて予想もしていなかった。20歳のときからたいして成長もせず、変わらない状態だし、不摂生を重ねた体は健康診断で引っかかる項目が増えていく一方。本当にこのまま歳を重ねていいのだろうかと思うほどだ。

己の理想ばかりでかくなっていく中で、年下がどんどん世の中で活躍をしていく。気が付けば、スポーツ選手も、俳優も、アイドルも、バンドマンも年下ばかり。観ている映画やドラマ、デザイン、映像も、年下や同世代のクリエイター、脚本家、俳優がスタッフ、キャストの中に。

かたや自分は、映画やドラマなどを観て、ただ消費し、なんならイチ消費者でしかないのに、もっともらしいどこかから借りてきた言葉のレビューを書き散らす。三茶、下北、高円寺のタバコの煙まみれの安居酒屋でカルチャーを語り、口癖のように下北は変わってしまったと言う、寒いサブカルおじさんに片足を突っ込んでしまった。さらにたちが悪いのは、このサブカルおっさんに片足突っ込んでる自覚があるという。

最悪な30歳を過ごしている訳ですが、唯一の救いはこんな自分を面白がってくれる人たちがいることだ。
腐らずに生きていけてるのは、色んな意味で面白がって、一緒に飲みに行ったりしてくれる人たちがいるおかげだと思う。

こんなnoteを書いているが、メンタル不調が再発して絶賛休職中で、この文章は自分の思考と集中力のリハビリがてら書いている。
30歳は、何が起こるか本当にわからない。自分がまさかメンタルで病むなんて思ってもみないことだった。

だからこそ、もし読んでいる20代がいれば、人生どんな風に転ぶか分からないから生きたいようにいきればいいと思う。こんな最悪な30歳もいるんだと思って欲しい。

そして、30歳というひとつの山を越えた、諸先輩方はどんな30歳だったかを教えて欲しい。20歳のときより人生のドラマと、ドロドロした様々な色の混ざった感情が詰まっているはずだから。


三十歳に刺さるであろう曲と漫画

クリープハイプ「二十九、三十」

銀杏カバーも好きです。

冬野梅子「まじめな会社員」

あらすじ
コロナ禍における、新種の孤独と人生のたのしみを、「普通の人でいいのに!」で大論争を巻き起こした新人・冬野梅子が描き切る! 菊池あみ子、30歳。契約社員。彼氏は5年いない。いろんな生き方が提示される時代とはいえ、結婚せずにいる自分へ向けられる世間の厳しい目を、勝手に意識せずにはいられない。それでもコツコツと自分なりに築いてきた人間関係が、コロナで急に失われたら…!?
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