魔弾に起きた革命

魔弾というデッキについて

まず初めに、魔弾というテーマをご存じない方のために魔弾がどういうデッキかを説明すると、

魔弾には魔弾の射手というモンスター群と魔弾魔法罠があります。

魔弾の射手というモンスター群は手札から魔弾魔法罠を発動できる共通効果と同じ縦列に魔法罠が発動した場合、何かしらアドを稼ぐ効果を備えております。

そして、魔弾魔法罠が場に魔弾の射手がいなければ発動できない共通効果と基本名称ターン1の何かしらの妨害/防御効果を備えております。

要約すると魔弾の射手を展開し、後ろ盤面の魔弾魔法罠で妨害しながら、魔弾の射手の効果を誘発してアドを稼ぎながら戦うミッドレンジ型デッキです。

このデッキの一番の魅力としては後ろ妨害で戦うのにそれらの天敵と言える羽根帚を食らわない点と相手が展開している場合のみ発動するリンク1の大量アド獲得効果と言えるだろう。とてもトリッキーで使っていて楽しいデッキではあるが、環境ではついぞ見ないデッキだ。

それにはしっかりと理由がいくつかある。

魔弾の弱点について

まず一つ目として挙げられるのがこのデッキの展開は通常召喚権頼りであるという点である。魔弾の射手モンスターは全員アドバンテージを取れるカード群であるが、最初の展開は通常召喚権頼りとなる。つまりその通常召喚権を潰されると何も出来ない。後手に強いマックスがいるが、結局着地狩りに弱いので後手の弱さは顕著だ。更に手札に魔弾の射手が被ったとしても基本腐りカードとなってしまうのだ。魔弾魔法罠は全て妨害や防御カードであり、展開に繋げるカードがないため、魔弾の射手カードを複数枚抱え込んでも意味が全くない。

次に挙げられるのが魔弾魔法罠が名称ターン1である点。これはつまり同じ魔弾魔法を複数枚採用して被った場合腐り札になるという事だ。上記の二点からこのデッキの明確の弱さは手札の質の担保という事が分かるだろう。ではなぜこのデッキで質の担保が必要かの説明に入ると、基本的に魔弾の射手はステータスが低く直接妨害しないため横展開した所で相手にとって大して脅威ではない。脅威なのは誘発のように飛んでくる魔法罠であるが、それらは一枚使ったら消費されるカードである。1枚が1枚としてしか機能しない以上、初手五枚から最大5妨害しか担保出来ない(魔弾の射手からのアドバンテージ含めて)つまり、後手の6枚に対して押し返すには手札一枚一枚で戦う必要があるが、腐り札が発生するとその枚数分戦えるカードが減るのだ。それが前でアドを稼ぎながら後ろで妨害構える魔弾の問題点である。

理想としては魔弾の射手一体に魔弾魔法罠複数枚と誘発含めた自由枠四枚の初手が魔弾の最強初動と言えるがそんな手札を担保することはまずあり得ない。しかし、そうしようと思うと行われるのが魔弾の射手や魔弾魔法罠を削る事だろう。そうすると安定性の問題が出てくる。魔弾魔法罠は場に魔弾が必須なため安定して魔弾の射手を一枚は引き込みたい。魔弾11枚採用したとして、初手に引ける確率は大体80%だ。しかし期待値で見ると1.375になり、三試合には一回(マッチ戦に大体一回)は手札に一枚腐り札が発生する。その腐り札を減らすために期待値を1(8枚魔弾の射手採用)に減らすとそもそも魔弾の射手が引けないというジレンマが発生してしまう。

これらの基礎的な弱点に加えて更に魔弾にはもう一つ弱点が存在する。それは魔弾の射手っていうのは必ず二枚初動であるという点だ。魔弾の射手モンスターに加えて、魔法罠を抱えてスタートしなければならない。更に更に言えば魔弾の魔法罠をサーチ出来るのがテーマ内にカスパールしかなく、デッキのカスパールにアクセス出来るのはスターしかいないため、例え魔弾の射手モンスターが居ても、手札に魔弾魔法罠がなければ妨害すらないのだ。

つまりデッキの魔弾カードを抑えて採用すると魔弾魔法罠にアクセスする手段も減るのだ。かといって魔弾の射手と魔弾魔法罠を大量採用すると手札に腐る札が大量発生するのだ。

そんなジレンマに立たされて結果ずっと下火のデッキであった魔弾についに革命が起きたのだ。

期待の新人!

魔弾の問題点を解決する方法は明白であり、デッキの魔弾の射手や魔弾魔法罠の採用枚数を抑えながら、魔法カードで魔弾の射手にアクセスするカードである。それがついに!なんと登場したのだ。

それがデモンスミスというデッキだ。

デモンスミスで最も注目すべきカードは≪刻まれし魔の詠聖≫だ。前記した通り、魔法カードであるため、魔弾の射手のアドバンテージを効果誘発しながら展開札をサーチ出来るのだ。初動で魔弾の射手を抱えていなければ魔弾の射手をサーチ出来る。抱えている場合は世間で流れている≪魔轟神ルリー≫をサーチして捨てればリンク値を一つ稼げる。

《刻まれし魔の詠聖》

通常魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:デッキから悪魔族・光属性モンスター1体を手札に加える。
その後、自分の手札を1枚選んで捨てる。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、
「デモンスミス」融合モンスター1体を融合召喚する。

それだけに留まらず、このカードには手札のカードを融合素材にしながら融合召喚出来るおまけ効果もついているのだ。これはつまり、手札に腐った魔弾カードを融合素材として活用できるのだ。

しかもこのカードは魔を刻むデモンスミスでサーチ可能であり、六枚体制出来る。これはもう本当に革命だ。このカードだけで魔弾の安定性はグンと上がる。魔弾の大幅強化と言えるがそれだけでない。

《魔を刻むデモンスミス》

効果モンスター
星6/光属性/悪魔族/攻1800/守2400
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「デモンスミス」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
②:自分フィールドの「デモンスミス」装備カード1枚とフィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送る。
③:このカードが墓地に存在する場合、
自分の墓地から他の悪魔族・光属性モンスター1体をデッキ・EXデッキに戻して発動できる。
このカードを特殊召喚する。

デモンスミスと魔弾には更なるシナジーがいくつかある。デモンスミスには刻まれし魔の鎮魂棺というリンク1があるが、魔弾の射手がこれに全て変換出来る。そして魔弾の射手は全てリンク1である魔弾の射手マックスに変換できる。一枚で二枚の光悪魔族が用意できる仕組みだが、これがデモンスミスと非常に相性がいい。

《刻まれし魔の鎮魂棺》

リンクモンスター
リンク1/光属性/悪魔族/攻 600
悪魔族・光属性モンスター1体
自分は「刻まれし魔の鎮魂棺」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、
その②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手のメインフェイズに、このカードをリリースして発動できる。
手札・デッキから「デモンスミス」モンスター1体を特殊召喚する。
②:Lモンスター以外の自分フィールドの悪魔族・光属性モンスター1体を対象として発動できる。
自分のフィールド・墓地からこのカードを攻撃力600アップの装備魔法カード扱いで自分のモンスターに装備する。

【リンクマーカー:下】

デモンスミスはほぼ共通効果で墓地の光悪魔族を戻して何かしら効果を発揮するのだが、純構築だとこの弾が足りなくなってしまうのだ。ほとんどの場合刻まれし魔の鎮魂棺がEXに戻ってしまうのだが、魔弾ではそんなことは一切発生しない。そしてデッキ・EXデッキに戻せるというのは魔弾の射手のリクルート先や魔弾の射手マックスが尽きないという事にもつながり、継戦能力にも繋がる。

そうやってリンク値や光悪魔族を稼ぎながら展開していき、刻まれし魔の大聖棺から刻まれし魔ディエスイレを展開するのが基本となる。基本的には魔弾と刻まれし魔ディエスイレの二面妨害で戦っていくデッキになり、妨害手段も増えているのが魅力的だ。

《刻まれし魔の大聖棺》

リンクモンスター
リンク2/光属性/悪魔族/攻1200
悪魔族・光属性モンスターを含むモンスター2体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。
自分の墓地のモンスターを融合素材としてデッキに戻し、
悪魔族の融合モンスター1体を融合召喚する。
②:Lモンスター以外の自分フィールドの悪魔族・光属性モンスター1体を対象として発動できる。
自分のフィールド・墓地からこのカードを以下の効果を持つ装備魔法カード扱いでその自分のモンスターに装備する。
●相手は装備モンスターを効果の対象にできない。

【リンクマーカー:左下/右下】

《刻まれし魔ディエスイレ》

融合・効果モンスター
星9/光属性/悪魔族/攻2800/守2400
「魔を刻むデモンスミス」+悪魔族・光属性モンスター×2
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分・相手ターンに発動できる。
このカードが装備しているLモンスターのリンクマーカーの合計までフィールドの表側表示カードを選び、
その効果をターン終了時まで無効にする。
②:このカードが墓地に送られた場合、
自分の墓地から他の悪魔族・光属性モンスター1体をデッキ・EXデッキに戻し、
フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送る。

もう一つの革命!

そして、もう一つの革命が≪サモンソーサレス≫のエラッタ解禁だ。魔弾の射手マックスというカードは相手のフィールドにカードがなければ効果を発揮しない為先攻ではあまり意味をなさないカードだったがサモンソーサレスのおかげでこの問題が解消している。展開としては他の悪魔族デッキと同じで、破壊神ヤマで悪魔をサーチしながら、サモンソーサレスに繋げてリンク先に破戒をSSしながらデッキから魔弾の射手をSSして、マックスに繋げれば魔弾魔法罠をサーチ出来る。これの革命的点は初手で魔弾カードに一切触れなかったとしても、サモンソーサレスに繋げられれば魔弾の射手と魔弾魔法罠を構えられるのだ。

魔弾に革命が起きたのだ!!!!



最後に

では、この新しくなった魔弾がどういった先攻展開をするのか紹介したいと思います。

見た目の妨害数自体は魔弾魔法罠一枚+カスパールのサーチで魔弾魔法罠二枚の2妨害、刻まれし魔ディエスイレによる盤面2無効の合計3妨害にしか見えないですが、ディエスイレが除去された場合の除去一枚、シャバラとヤマの蘇生があります。シャバラとヤマ自体は妨害には繋がりませんが盤面維持によるワンキル阻止だけでなく、シャバラでカスパールやディエスイレを避けれるので無効系妨害撃たれた場合それを避けながら効果を通したり、ヤマを起動して再展開しなおす事で妨害を維持できます。更に墓地にデモンスミスを温存出来ているので次のターンのリソースが残っているのも強みです。この展開は手札三枚のみ消費しているので手札次第では更に妨害を構えたりや誘発が打てます。

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