本来の磨き 基本 基礎 ノウハウ


お疲れ様です。

自動車塗装の仕事は
主に
下地、塗装、磨き
と3種に分かれます。

塗装に関しては
皆さん凄く熱心に勉強したりします。

でも意外と磨きに関して
キチンとした知識ややり方などを
知らない人が凄く多いです。

今回は磨きの基本的な
知識、考え方などを記事にしていきます。

応用編として何度、磨いても納車した車両が
バフ目でクレームになってしまう…
などの
対策法なども書いてます。




磨きの基本

基本的に磨きは
2工程です。
白、黒、関係なく
キチンとしたやり方をすれば2工程で
完了します。

1工程目は
ウールバフでペーパー目や肌調整、

2工程目はバフ目取りです。

たった2工程?
と思われる方もいるかも知れません。

ワーゲンの集中工場にも居た経験がありますが
2工程です。

コンパウンドは
細目のみ使用します。

自分が思うに、
今まで見てきた技術者で
キチンと磨きを知ってて
キチンと出来る人は2工程。

知識があまりなく
やり方を把握してないで
適当に磨いてる人ほど
工程が多いです。



2工程での磨き方法

先程も書いたように
1工程目でウールバフを使い、
ゴミ取り、肌調整などを行います。

2工程目でウレタンバフかスポンジバフで
ウールバフの目を取る。

コンパウンドは細目。

それだけです。

画像3


肝心なポイントは
とにかくウールバフの目、バフ目を
一切残さずに取り切る。

ココが磨きの最大のポイントで
避けてはいけないものです。

ウレタンは
使えるなら使うと非常にバフ目を取るのが
早いです。
でも慣れが必要で最初はどこに当たって居るのかも
分からないと思います。

ウレタンが使えなければ
粗いのでスポンジで取ることなります。

前は私もひたすらスポンジでやっていました。
少しでも作業効率を上げたくて
ウレタンバフを使い始めました。

慣れる場強い味方になるので
練習する事をオススメします。


使用バフ、コンパウンド

使用しているクリアですがRM 2対1

私が使用しているバフ類。
左が1番荒く右が1番細かいです。

画像1


1番左はウールバフ。
2番目はルペスのウレタンの荒目、
白いやつはスリーエム製で荒さは
ルペスの青と同等です。
3番目はルペスのウレタンの細目
4番目はスポンジバフ荒目
5番目はスポンジバフ細目

バフは
基本、
ボディー等の鉄板やアルミには
ウールバフと2番目のウレタンバフ荒目。

バンパー等の樹脂パーツには
ウレタンバフとウレタン細目。
樹脂パーツは
鉄板やアルミより密着が弱いし熱に弱いので
ウレタンバフ荒目は結構危険です。
なので安全にウレタンバフ細目を使用します。

この2工程がしっかり出来ていれば
ランボだろうがロールスだろうが
ディーラーに心配なく納まります。

ただ、ウレタンバフのみだと
完璧にバフ目が取れているのか
分からない事があります。
理由はバフも目が粗く、コンパウンドも目が荒いので
当然ギラギラします。
ギラギラするからバフ目を見逃してしまう場合がある。
それを確認する為に
スポンジバフで細かくしグロスを上げて
バフ目をチェックします。

濃紺なら極細め以降の細かいコンパウンドを使用するとグロスも当然上がりますがクリーナーも入っているものが多い為、よりバフ目を確認し易いです。

まとめると
私のやり方は
ウレタンバフでペーパー目、肌調整し、
ウレタンバフでバフ目取り。
スポンジバフで確認。
こんなイメージです。




コンパウンドですが
別に高価な物は必要ないです。
ゴミ取りでトレカットの3000番を使いますが
その3000番の目が2、3回磨いて取れるくらいの
荒さのコンパウンドなら
何でも良いです。

いわゆる細目だと思います。

そう…
コンパウンドも
ちゃんと磨けない人ほど
色々使いたがるし
高価なコンパウンドにしたりします…

その辺りも後で説明します…

自分が使用しているコンパウンドは
材料屋がオリジナルで販売している
2リットルで5000円程の物です。

磨きは
コンパウンド、バフ、よりも

人による差がが物凄く出ます。


バフ類、コンパウンドはクリアによりかなり変わります。

例を挙げるイサムのコモと言う4対1のクリアを国産車で使ったこと有りますが3000番の目がスポンジバフで消えます。

樹脂分が少なくシャブいクリアで当然、強度もないのでしょう・・・

強度がない証拠にコモに再補修でラッカーのベースを塗ると

高確率でちぢれます・・・


結局、どんなバフを使うかはクリアによります。

確実に完全にバフ目の無い仕上げをしたいのであれば2対1のクリアをお勧めします。

だから輸入車、高級車を扱う鈑金屋は外資の2対1クリアを使うわけです。

2対1は樹脂分が多く強度もあります。

今はもう廃盤になりましたがRMスタートップは猫が乗っても傷が付かなかったと数人から聞きました。

1週間程塗ってから放置したスタートップは3000番がなかなか消えないくらいカチカチになります。その位固まり、強度がある方がバフ目を取るのにはよいのかもしれません。

弱いクリアだとバフ目の前に傷つきやすく性能を維持するのがそもそも困難です。耐候性も当然弱いですし劣化も早いです。




磨きは人のスキルと光が1番大事

私が良い磨きをする為に必要だと思うのは
2つ。

一つは磨く人のスキル、目。
もう一つは光です。

磨きはバフ目さえ取れていれば
良い磨きが出来ます。
と言うか・・・
良い磨き=バフ目がない塗装面。
です。

そのバフ目を見る為には
良い光が必要。

今やディーラーで
薄暗い場所でLEDを使いチェックされるのは
当たり前です。

なので
その条件に似た環境を作り
そこで磨けばチェックは通る訳です。

画像2

画像3

上のライトは非常に明るく、
コレで見て大丈夫なら
炎天下の太陽の下でもバフ目のない仕上げができます。

確か価格は60,000円程。

写真の良いに上下からパネルに当て見ながら磨くとバフ目がよく分かります。

下の写真は上のライトよりは暗いですが
ウチではコレを仕上げするリフト近辺に6個ほど
設置してあります。

価格は4000円ほどです。

磨きをやるスペースが電気が消せるなら
消してLEDのみで磨くとよりバフ目が分かりやすいです。


良い磨きをしようと思うなら
高価なポリッシャーや高いコンパウンド、バフ
などを買うので有れば
光の強い、高価なLEDライトを買う事を
強くオススメします。

見えない物は取れません‼️

バフ目が見えなければ
取りようがないです。

結構、ライトを疎かにして
見えないから適当に磨いて
太陽の下に出したら目も当てられない…
こんなのでは
時間のロス、無駄な事です。


私のポリッシャーは
リョウビ、キョーセラの
普通のポリッシャーです。

画像4

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キチンと磨けない人の特徴、
考え方の違い

磨きがキチンと出来ない人は
考え方が根本的に出来る人と全く違います。


出来る人
バフ目をキッチリ取り切る

出来ない人
バフ目を後から何とか出来ると思ってる。
又はバフ目が見えてない。




できない人の考え方は
ポリッシャーや、コンパウンドを作る側、メーカーも
悪いのだと私は思ってます。

どう言う事かと説明すると
いつからか
沢山の荒さのコンパウンドを出すメーカーが
沢山増えましたよね?
何故、そんなに何種類ものコンパウンドを出すのか…
理由があります。
理由とは
ちゃんとバフ目を取れない磨きをする人が
増えたから。


ちゃんとバフ目を取らないで
コンパウンドに頼り
後からバフ目を取るのではなく
埋める方向の考え方が生まれたからです。


バフ目を取らないで
細かい超微粒子等と柔らかいスポンジ、ギヤ、ダブルなどで一時的にバフ目を消したように見せる
誤魔化しの磨き方が一般的になってしまった為です。

高いコンパウンドなどは
バフ目を消せたように見せる時間が延ばせたりします…
それを良いコンパウンドだと
間違えた解釈をする…
そんな人が非常に多い。

本来の磨きとは
スポンジ荒目までにキッチリバフ目を取るのが
基本です❗️

なので、

キッチリ磨ける人は
バフ目を取るまでは時間が掛かるけど
グロスを上げてく作業の超微粒子やダブル等は適当に掛けてあれば良いので早い。
こんなダブルで充分

私も艶出しと呼ばれる作業工程は
適当です。

結局バフ目さえしっかり取れてれば
グロスを上げてもさほど仕上がりに差はないのです。

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磨けない人は
とにかく荒磨き、バフ目を取る作業が早く
超微粒子、ダブルなどを一生懸命丁寧にやる…


そんな傾向があるので
遠くからでも
バフの音聞いてるだけで
ちゃんと磨ける人、出来てない人が分かります。


皆さん、磨けない方、
勘違いしているのは
超微粒子等でもバフ目が取れると思っている人、
、沢山居ます。

ダブルやギヤも同様…

取れる訳がないです…

考えてみてください…

ウレタンバフ荒目でゴリゴリに磨いて
取るような物が
どうやったら柔らかいスポンジと超微粒子で
取れるのでしょう?

それはバフ目を埋めて
取れた様に見えてる、
まやかしのバフ目取りです。

だから
その後に洗車や雨が降ったりすると
油分が取れてバフ目だらけ…
となる訳です。

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知っておいて欲しいのは・・・
シングルの深い傷(バフ目)は
粗いシングルでしか取れません
‼️‼️‼️

コレを知っていれば
良い磨きをする為には
どうすればいいかが分かるはずです❗️



本来のダブル、ギヤの使い方

いつの日かポリッシャーを作るメーカーも
ダブルやギヤでバフ目が消せるなど
言い出しましたね…

アレはウソです‼️

先程の説明した通り
シングルの傷はシングルでしか
消せません。
さらに
ダブルやギヤは切削力が弱く
全く歯が立ちません。

何故、メーカーがそんな説明を
売り言葉にしているのか?

理由はバフ目の長い傷に対して
ギヤ、ダブルのキズの種類が違うものを使い
バフ目の長い傷を目立たなくする理屈です。
でも切削力が足りなく
バフ目を消しきれない…
そこで専用のコンパウンド等、
更に誤魔化せる物を売り
セットで使わせて
バフ目を埋める…

そんな理屈です。

何社かのメーカーがウチにもデモに来ましたが
「ウチはキッチリバフ目取るから要らない」
と言うと
すんなり帰っていきます笑

結局、ちゃんと磨ける人には
不要な物です。

メーカーは今のニーズに合わせて
そんな製品を出しているのだと思います。
ちゃんと磨けない人が多いので
その対策だと私は思ってます。


本来のダブル、ギヤの使い方は
キッチリバフ目を取ってあり
更に保険をかける際に使う物です。

もちろんグロスをあげる物でもあります。


説明すると…
いくらキッチリバフ目を取っても
溶剤のクリアで塗り、
シングルで磨いてある以上
必ずやがてバフ目が出ます。100%。

溶剤は実際には数ヶ月しないと抜けない事が
多いものです。
なので
仕上げ磨きする段階では
塗り上げてから数日しか経ってない場合が
多いはずです。

なので納車後、半年、一年経てば
確実にバフ目がでます。

その際に少しでも
バフ目を目立たなくする為に
あらかじめシングルと違う
薄い傷を付けておく。
それが本来の使い方であり目的です。

人間の目には
長い深い傷は目に入りやすいですが
ギヤやダブルの細かい小さい傷は目に入りにくい
特性を生かしてます。


ルペスなどの大きなボディーの
ギヤやダブルは
より切削力があるので
より目立たなくする事が出来ます。

それが本来の使い方です‼️



太陽光の下でのギラギラ対策

バフ目をキッチリ取り、「大丈夫!」と思って太陽光の下で確認してみたら「ギラギラしてる・・・」という経験あるかと思います。

そのギラギラの原因は荒いコンパウンドが残っている為が多いです。

バフ目とギラギラは違います。

対策としてはクリーナー成分の入った微粒子、超微粒子などのコンパウンドを使い荒いコンパウンドをしっかり除去しておきます。

こうする事でより完璧に近い仕上げ磨きが出来ます。



応用編   何度もクレームで帰っくるバフ目のリセット方法

納車後、ギラつき、バフ目等でクレームを受けることがありますよね?

原因としては・・・

1、乾燥不足のうちに磨いてしまい、そのまま納車する。

2、ただ単にバフ目が取れていない。

他にも様々な原因があると思います。



事例

以前、あった事例ですが

黒メタのフード交換で太陽の下でギラギラする、キズがある・・・

と言うクレームが有りました。

再度、塗った本人が磨き納車しましたが、またクレーム・・・

会社から頼まれ自分が磨くことになりました。


バフ目リセット方法

まず

当たり前ですが

とにかく熱を当てて溶剤を出来るだけ

抜いておきます。

出来るだけ焼いたら

キッチリ冷えた状態で

3000番から5000番のペーパー使い

ダブルアクションで研ぎます。


理由は

溶剤が抜けるのには

実際には何ヶ月も掛かります。

またバフを使ってバフ目を取っても

同じ事が起きる可能性があります。

それを防ぐのに

バフ目の長い傷を

細かいダブルアクションの目で目立たないようにします。

一回リセットする訳です。

仕上げの最終でダブルアクションやギヤアクション使うのと同じ原理です。

ダブルアクションの目は

多少戻ったとしても

人間の目には分かりにくいです。

出来たらペーパーを当てた後、

遠赤を再度当てるとより

安心して作業出来ると思います。


一皮剥いてから再度、遠赤で焼くと

全然違います。


このフードはかなり傷が深かったので

スーパーバフレックス ブラック を使用

3000番だと

結構、目を取るのが大変ですが

頑張って取っていきます。

後は通常通りの作業で仕上げます。

5000番なら
3M トライザクト フィニッシングディスク がオススメです。 


結局、

バフ目をそのままバフで取っていくより

早いと思います。

そして・・・確実にバフ目が取れます。


コレで

まずバフ目で帰ってくる事は無いです。

高級車の黒など

何度もバフ目でクレーム食らってる方など

居ましたら

試してみてください。



画像22

まとめ

色々書きましたが

基本は単純で簡単なものです。

1、シングルで付けた傷はシングルで取る・・・それだけです。

2、傷(バフ目)を見える環境を作る(強いLED)

3、バフ目が分かる目を養う

この3つだけ。


中にはバフ目が分からない人も沢山います。
見極められ目や見える環境を作るのも
良い磨きをするには必要です。


家を建てるのと似ていて、、ダメな土地に立派な家を建てても持たない・・

塗装も下地がダメだといくら綺麗に塗っても無意味です。


磨きに限らず何でも土台が大事だと言うことです。


色々なポリッシャー、コンパウンド等が今は沢山ありすぎて、キチンとしたマニュアルも無いので、ちゃんと磨けない人が多いのは仕方ないのかも知れません。

私が思うのは・・・

塗装はある程度上達するとレベルが肉薄します。

でも磨きはレベルが上級者、ベテランでも人により段違いです。

さらに

下地、塗装、磨き、、、

全てが上級者と言える人はごく稀だと感じます。



人と差を付けたい、しっかり仕事したい、やがてスーパーカーや高級車をやってみたいと思うなら、ちゃんとした磨きは避けては通れません。

今回の記事を読んで、、明日から考えを変えてやってみよう!と思う方がいれば書いた甲斐があったと思います。

バフ目が一本も無い塗装面は

フワッとした美しいものです。

それを目指して頑張ってトライしてみて下さい!


訪問有り難うございました!

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