Kemuri

人と言葉が好きです

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少しでも幸せが大きくなりますように

先日、歯の治療をするために割と大きな病院に行った。どこかで聞いたことのあるようなクラシックの曲がかかる館内。予定よりも誤って早く到着してしまったが、偶然にもその日は空いていたのか素早く診察を終えた。 思いのほか、暇になってしまった僕は、病院内にあるATMでお金を引き出すがてら、ほんの少しだけ館内を歩き回ってみた。 本屋だけは、まだ早い時間だったこともあり、開いていなかったが、カレーライスが六百円か、お昼でも食べていこうかなと思っていた。でも次第に、用もないのに歩いていると

    • 「一瞬」

      夕方のコンビニエンスストア 高校生がアイスを買っていた 僕の右手には小銭が握られていて となりでしゃがむ子供がいた 夕焼けを窓ガラスが食べていて 僕たちは凍った不死鳥みたいだった 翼は生温い風を受け どこまで高く飛べるだろうか

      • 「終わりの季節」

        苦いお酒でも酔える頃になって 夜道の街灯の下僕たちは歩く この日々はあと少ししかないんだ 君が寂しそうに呟く あと少しもあるじゃないか 喉を潤す水はどこだ あの月を探せば いつか何かが見つかるだろうか

        • 「意味」

          流れていく人を多分単純に眺めた 窓際にもたれた青いシャツの女性 眼鏡を外して本を読む男性 この街で変色した身体も 髪の色も風の中かな そばには文庫本、アーカイブもない ただ1人の人生とイヤホン

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        少しでも幸せが大きくなりますように

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        記事

          「月と耳」

          帰りに教えてもらった曲を聴く 画面には見慣れないタイトル 街灯の下の光が当たらなくても 今なら私だってこっそり踊れる あなたに教えてもらったから この曲が好きになりそう 新しい自分の耳に なんだかとてもワクワクしてる

          「月と耳」

          「僕のそばで」

          僕のそばにある手は いつしか凍ってしまうんだろう ただあるものを ただ見つめていられたら そんな風景に佇んで いつかいつかと 少しの愛を待ち侘びて

          「僕のそばで」

          「陽炎」

          遠くに燃えてる陽炎を 絵画みたいに眺めてた 今年は一層暑い予報です 昨日のニュースで話してた どこかにわたしを亡くして欲しい 波打ち際で話した彼女 ビルの隙間の夕焼けに あの娘の余熱は混ざってる

          「陽炎」

          「モノクロの街と青いスニーカー」

          窓辺を歩く少年の目には何が見えるのだろう 当たり前の生活に埋もれて 負を負で満たすような日々 新月は雲の上で輝いているのに モノクロの街と青いスニーカー 1つの瞳が僕のことを見てる どうして僕は歩いているんだろう

          「モノクロの街と青いスニーカー」

          「四季」

          春を待つ僕らに 風がやさしく背中を押す 夏の海に2人で並んで 反射するきらめきを浴びた とめどない秋の音 梢色を足元で感じて 冬に感じる愛は いつもポケットの中 四季がめぐる

          「四季」

          「雨と街角」

          雨が降った後の街では 蜃気楼があなたを隠す 窓に映った水滴の中に 震えていた私を そっと側でみていたのはあなた 街中の喧騒から離れて 影の中でも手を繋いで 濡れた躰ごと抱きしめた

          「雨と街角」

          「夜に捨てて」

          何気ない言葉にやられた 誰かへたたみかけてる街 窓に映る少女 濡れた髪のままで朝を待ってる なぜかもう選ぶのに疲れた 過去の思い出の霞のせい どこにもうまれない言葉 夜に捨てといて

          「夜に捨てて」

          「海の音楽」

          海から音がしたら それは彼らの声だと思う 蜃気楼の狭間に 深く蒼い声が響く 都会は灰色 海は藍色 寂しさを越える音 極めて感情的な感覚

          「海の音楽」

          「ごめんね」

          切り取った瞬間に 僕らは忘れてしまうから たまにどうしようもなく さみしくなって また、出会いたがる 不恰好で切実で曖昧な ただ一つの不思議

          「ごめんね」

          「溶けた夏」

          どうしたってやりきれない思いがある どうしても許せない人がいる。 木漏れ日がアイス・クリームを溶かすみたいに ただ、暖かな心をぼくに下さい。

          「溶けた夏」

          「帰り道」

          ごめんねと呟く前に 想いが溢れてしまっていて 指先に力を入れて呼びかけるけど もう声は出せなかった 背中が寂しく見えたけど 僕の背中も同じだったろうな なんとか元気でやってるといつか 君の目の前で伝えるよ

          「帰り道」

          「夕焼」

          堤防の上を1人で歩いた 悔しさが溢れて目の前を染めた 風が吹いてゆれる心に 信じていた気持ちを思い出す あの日もこんな気持ちが 支えてくれた いつかまた走り出す 夕焼色の心を思い出して

          「夕焼」