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僕とエムホールデムとWPT Osaka その3

皆様こんにちは。ポーカープレイヤーのKemと申します。前回に引き続き、WPT Osakaメインの備忘録をお届けします。今回はいよいよWPT Osakaメイン Day1の様子です。

その1はこちら

その2はこちら


Main Day1D

地下1階のレストランで食事を終えると、時刻は丁度12時を過ぎる頃。メインの受付は12時30分からだったので少し時間が空きますが、レストラン内で空いたお皿を前に居座るのも気が引けたので早めに行って待っておくことにしました。トイレを済ませエレベーターで3階へと登ります。扉が開くと集会室はまだ開いておらず、数名がベンチに座っています。空きは無かったので僕はその横に寄りかかり待つことにしました。
待っている皆さんは各々オンラインポーカーをしたりYoutubeを見たりしているようです。しばらくすると人が増え、顔見知りらしいグループ同士で集まって話し始めました。生まれてこのかた九州にしか住んだことなく、陽キャのノリなんて持ち合わせてない僕はそんな様子を見ながらただじっと開場の時を待つのみです。

少し遅れて12時40分頃、遂に中集会室の扉が開きました。人々はゆっくりと会場の中へと流れていきます。僕もその波に乗って入っていきました。

開場直後の中集会室

なんということでしょう。上を見上げるとレトロゴージャスな装飾品、前を見たら30台はあろうポーカーテーブルがズラリ。いくつかのテーブルには既にディーラーが座っており、プレイヤーが来るのを待っています。天国とはここのことを言うのかもしれません。

受付を済ませ、シートカードとアドオンチケット、ドリンクチケットを受け取ります。指定された席は23番テーブルの3番シート。設置されたマップを頼りにテーブルを探すと、メガネをかけたディーラーのお姉さんが待っていました。どうやら僕が一番乗りだったみたいです。軽く挨拶をした後にカードを渡し、2権利分のスタック3万点を受け取ります。

こんな立派なシートカード見たことない

周りの景色に見とれていると次第にテーブルに人が集まってきました。初期スタックは人それぞれですが、自分と同じか少ない人が大半っぽい。大きなディスアドバンテージは無いので、焦らずじっくりと待つ自分らしいポーカーが出来そうです。

タイマースタートまで10分を切ったくらいに、今回のMCであるマシューさんのアナウンスが入りました。外国人らしいスラリとした細身の体に全身緑のスーツ。彼だからこそエレガントに違和感なく着こなせていますが、僕が着たら100%吉本新喜劇になります。あんな服を着こなせる人になりたかった。そして盛り上げ方が上手い。開始までのテンションを否が応でも上げてくれます。

エムホールデムのロゴが見える席。運命的なものを感じます

残り1分を切ったところからカウントダウンが始まり、マシューさんの「Dealers, Shuffle up and deal!」の声とともにWPT Day1Dが始まりました。いよいよ僕の一年の成果を試す時です。ファーストハンドは普通に降りました。

コツコツと、確実に。

WPTメインのストラクチャーは長めの60分、上がり幅もゆっくりとしており、より実力が反映されやすいトーナメントです。序盤はいつものレンジ通りにプレイしてタイトなイメージを与えつつ、後半でのブラフ成功率上昇につなげる作戦に方針を決めていきます。

レンジがタイトなので必然的に僕の参加率は低くなりますが、逆に言えばそれだけ相手の情報収集に使える時間が多くなるということ。フォールドしたあとは適度に気を緩めながら他プレイヤーのアクションを観察していました。特に注意すべきと感じたプレイヤーは2人。1番シートと8番シートのプレイヤーです。
1番シートのお兄さんは初心者らしく、プリフロップコール率高め、3betも殆どなくフロップ以降トップヒットはどこまでも降りない様子。ブラフを打ってもAがヒットしていればコールされ、逆に返り討ちに会う人が多かったです。チップの扱い方と参加率から見て、おそらく僕と同じエムホールデムから権利を得た方でこれが初のライブポーカーなのでしょう。想定したプレイスタイルはルーズパッシブ。ポーカーを始めたばかりの方に多いスタイルです。
8番シートのお兄さんはプリフロップレイズ率が高く、フロップ以降もレンジアドバンテージを使ってアグレッシブにプレイしています。参加率が高いということは当然ハンドレンジも広く、8人テーブルのUTGからでもミドルスーコネで参加する方でした。諸々の所作からライブポーカーはやり慣れている感じです。想定スタイルは少しルーズよりのアグレッシブ。アミューズメントバーでよく見かけるスタイルです。

これを受けて、それぞれの対策を考えます。1番のお兄さんに対してはポーカーの格言「ブラフは上手い相手にしか通用しない。」を常に頭に入れながらプレイします。ブラフベットを減らし、バリューベットに大きく寄せて対抗。マージナルなハンドはチェックに回し、ポットを小さく抑えつつショーダウンでの勝利を目指します。8番のお兄さんに対してはコールレンジを強く若干ブラフキャッチ気味にプレイし、ボードが絡まなければ早めにフォールドして損失を最小限に抑えることを意識しました。

結果は大成功。強いハンドのときにはしっかりと相手からバリューを引き出し、フラッシュが見えるボードでのボトムセットなどやや微妙な状況になったときはチェックコール体制に構え無闇にベットしないことで大きな損失を回避しました。(ちなみにそのハンドは1番のお兄さんからセットオーバーセットが出てきて負けました。)時々大きなポットを落とすことはあったもの、その後取り返しながら2時間おきのブレイク単位で常に収支プラスという大戦果を上げることができました。2nd Break時のスタックは52,900点。90bb程度を常に維持しながら余裕のあるスタックでプレイすることができました。

2nd Break時。トリプルバレル店長の命令により、休憩の度にスタックを逐一報告していました。

Day1ではスプリンター賞が設けられており、20万点に最も早く到達した上位3名に選手契約の特別オファーが設定されていたのですが、それには遠く及びません。賞には最も向いてない戦い方なので、はなから狙う気は全くなくゆっくりコツコツとスタックを増やすことに専念します。

鉄強…?

そんな感じで順調にスタックを増やしていき、時刻は20時を過ぎた頃。日はすっかり落ち、窓の外はいつの間にか真っ暗に。気づけば7時間もぶっ続けでポーカーをしていました。夕方から朝5時までポーカーをしてほとんど睡眠を取らず翌日普通に出勤したこともあるポーカー狂の僕は長時間のプレイに慣れていた為か脳が疲れている感じはなかったのですが、手には疲労が徐々に蓄積しているのがわかります。トランプをめくる時やフォールドの動作を省エネモードにしながら、ほぼ確実であろうDay1突破に向けて慎重にアクションをしていきます。

終了まであと20分を切った頃でしょうか、スタッフの一人が記録用紙を持ってテーブルにやってきました。翌日のDay2に向けて、テーブルに座っている人のシート番号と名前を確認しに来たようです。1番から順番に回っていき、僕の番になりました。

ス:「プレイヤーズカードを見せてください。」
僕:「持っていないです。」
ス:「作ったこともないですか?」
僕:「作ったこともないです」
ス:「あー…少々お待ち下さいね」

そういえば受付の時、僕の前に並んでいた人は何人かカード持ってたな…提示するように言われなかったので、必須ではないんだろなと思っていました。少ししてからさっきのスタッフさんが戻ってきました。

ス:「ちなみにどうやって権利を獲得されましたか?」
僕:「エムホールデムからです。」
ス:「なるほど。ではカード番号のところに電話番号を書いてもらえますか?」
権利獲得時、事前に連絡していた電話番号を記入して無事確認は終わりました。その後、横に座っていたお兄さんから声をかけられました。

兄:「プレイヤーズカード持っていないんですか?」
僕:「この大会参加したことないんで持っていないんですよー」
兄:「サテライトに参加した時みんな作っているはずですよ?どうやって通過したんですか?」
僕:「エムホールデムで通過しました。1200人から優勝しちゃって笑」
兄:「エムホールデムで!?!?1200人!?!?!?!?」

同卓していた他の人からもめっちゃびっくりされました。冷静に考えたらそりゃそうだ。普通なら6~8人に1枚くらいの割合で取れるサテライトチケットを、偶然とは言えオッズ240倍という超高倍率から勝ち取り、しかも2度それをやっているんだから。2回目は40倍程度だったけどそれでも他の人からしたらバケモノにしか見えないだろうよ。プレイ中も特にそのことを話さなかったため衝撃度は余計増していたと思います。別に自慢するつもりもないので言わなかっただけです。悪気はないのよ。「めっちゃ強いやん!鉄強やん!」と言われました。嬉しいけどそこまでは強くないと思います。

そんなこんなでそれ以降特に目立ったアクションもなく、65,700点を持って無事Day1Dを突破しDay2進出が決まりました。ラストハンドはプリフロップでフォールドしましたが僕の両隣がぶつかり合い、Day2を目の前にしてBTNが飛ぶ、というバチバチの光景で終わりました。無難にQTo降りていて良かった。危うく巻き込まれるところでした。
チップを数えて袋にパッキングし、結果を残せたことへの嬉しさを噛み締めながら会場をあとにしました。

Day1 終了時。アベレージより2万点少なくDay2進出

終了後、少し大阪観光できたらなと思っていたのですが、流石に少し疲れを感じたのでホテルでゆっくり明日に備えることにしました。配信されたシートドローとストラクチャーを見ながらベッドの上で明日の戦略をざっくり考えます。その後息抜きに動画を見て、12時過ぎに眠ることにしました。明日は10時から再開です。おやすみなさい。

帰り道に撮った公会堂

次回はメインDay2。ハンドレビューとともにドッキドキのプレイの様子をお届けします。


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