(前編)2020.8.15開催_中国ECプラットフォーム最前線」レポート
こんにちは、シェア買いアプリ「カウシェ」の門奈です!
先日、上海時代の友人であるこうみくさんのオンラインサロン #中国トレンド情報局 にて、中国ECプラットフォーム最前線 というタイトルで、TaobaoやPinduoduoのアプリを実際に触りながら解説するLIVE配信を行いました。
(遅ばせながら)そのレポート記事を書いたので、当日見逃した方や見たけど内容忘れてしまった方などぜひぜひ読んでみてください。興味があるトピックスだけ、目次から飛んでもいいと思います!
はじめに:本日の進め方と門奈の自己紹介
こうみく)今日はX Asiaを起業された門奈さんと一緒にPinduoduoとTaobaoという中国の二大ECプラットフォームについてお話をしていきます。
門奈)よろしくお願いします。本日の流れとしては、最初にちょっとだけPinduoduoとTaobaoとは?という話をしたのち、さっそくスマホでアプリを触りながら「みんなこんな使い方をしているよ」「こういうところが面白いよ」という話をしていきます。ちなみに今日のTaobao実演の際は、めちゃくちゃTaobaoのヘビーユーザーである20代女子のアカウントを借りてきているので、その学習されたレコメンド画面も楽しみにしていてください。
こうみく)「両サービスとも全く使ったことがない」「ニュースで見る程度の知識です」というみなさんも、今日は誰にでもわかるように説明してくれるそうなので安心してください。では門奈さん、簡単に自己紹介をお願いできますか。
門奈)はい、門奈(もんな)と申します。こうみくの旧友というか悪友かもしれませんが(笑)、日本と中国のハーフで15歳までは中国で育ちました。そこから日本に来て、高校大学は日本で卒業し、しばらくはそのまま日本で仕事をしていました。Reluxという宿泊予約アプリの会社でグローバル担当の役員と上海子会社の社長をしていたので、ここ3年半ぐらいはずっと中国で生活していました。
2020年の4月に会社を退職し、中国で進化しているPinduoduoというECに着想を得たサービスを日本で展開しようということで、今目下プロダクトを準備しています。(※ 9/1にシェア買いアプリ「カウシェ」をリリース)
Twitter:https://twitter.com/mompyyy
Pinduoduoの成長角度はGAFAをも超える
こうみく)Pinduoduoにインスピレーションを受けているんですね。Taobaoについてはみなさまもまだ聞いたことがある、またネットでも結構情報が拾えると思うのですが、Pinduoduoは正直日本にいたら全く触る機会がなくて、というか正直にいうと中国にいてもあまり触る機会がないんですよね。
Pindoduoは実は比較的田舎の方で、さらに50代とか60代とかの、我々から見るとお母さんお父さん世代がよく使っているアプリなので、現地にいても何が楽しいのかとかなんでこんなに事業として伸びているのかみたいな話をする機会ってすごく少ないんです。
これは創立してから何年でどのぐらいの売上を立てているかというグラフです(※著作権の観点でグラフは掲載せず)。これを見ると、GoogleとかFacebookって当然立ち上がるのが遅かったわけでは全くないのですが、創業から最初の4,5年だけを見ると、実はPinduoduoはGAFAを超えてるんです。GAFAよりは全然立ち上がりが早くて、今もう一歩伸びているところでいうと青いロゴがTikTokを運営しているBytedanceという会社ですね。Pinduoduoというのはそのくらいめちゃくちゃ伸びているECなんです。
門奈)そのまま両サービスの説明に入りますが、簡単にいうとどちらも日本の楽天市場のようなものです。いろんな店舗さんがプラットフォーム上でそれぞれの商品を販売している。Taobaoが2003年ぐらい、Pinduoduoが2015年にスタートし、前者はみなさんもご存知の通りジャックマー率いるAlibabaが運営しています。
一方のPinduoduoというECは、直近の年間取扱高は17兆円(年間)という異常なスピード感ですさまじく成長しています。彼らの特徴は何といっても「拼单(Pin Dan)」という新しい買い方、「友達と一緒に買うと安くなる」というものを始めたことです。詳しくは後ほどアプリを触りながらご説明しますので、楽しみにしていてください。
AIのレコメンド精度向上により、非目的型の買い物が発展
こうみく)ではさっそく、Taobaoのアプリから触っていきましょうか。
門奈)はい、これが20代女子のリアルなアプリ画面です。ヘッダーにいわゆる「中国っぽい」バナーがたくさん出ているのですが、実はこれも全てAIで最適化されています。ただ基本的にバナーは触らずそのままスルーして、下のタイムラインで買い物をしているそうです。
この人の場合だと化粧品や服、ナッツ、あと任天堂のSwitchがたくさん出てきますね。どこかカテゴリに入ったり検索窓から検索するのではなく、タイムラインに自然と出てくるものを眺めて良さそうだったらどんどんカートに入れていくという消費行動らしいです。
タイムライン上での自分の行動履歴や、カートに入れたけど買わなかったものなどを学習し、勝手にレコメンドしてくれているので、「良さそう」率はなかなか高いと思います。
その人に聞くと、だいたい1回あたり1,000円前後の買い物を、多い月だと30回ぐらいしているらしい。1回あたりの単価が高いのではなく、低単価の買い物を高頻度でするというのが特徴的ですよね。
こうみく)月に30回って1日1回とかってことだからね(笑)。
門奈)そうなんです。なんか暇な時にアプリを開くと自分が好きなものがどんどん出てきて、かつキャッシュレスだからそのままピピッと買えてしまう。日本のECよりもっと非目的型の買い物をしていて、「これを買いに来た」とかじゃなく、ただ見てたら欲しくなってしまったというような、それこそオンラインでウィンドウショッピングをしている感覚ですよね。
こうみく)質問が来てます。『ライブコマースのタブが見えますが、ここはあまり使っていないのでしょうか?』『中国では北京語と広東語で言葉が違うイメージですが、ライバーは何語で話しているのでしょうか?』
門奈)使用頻度は人によると思いますが、購入の訴求力はとても高いと思います。今一緒にアプリで見てみると、お米や果物など食品が意外と多いですね。言語については、いまこうして実際にライブ配信を見てみると、基本的には普通話といわれる、いわゆる標準語で話す場合が多いですね。
こうみく)ただ、例えば田舎で自分の農産物を売ったりする時に、共感を呼ぶためにあえてその地域の言葉で話したりする場合はありますね。
門奈)おっしゃる通りですね。
ちなみに、これはこの方の使い方の話なのですが、欲しいと思ったら一旦カートに入れて、その中で比較しするというユーザーの動きは非常に面白いなと感じました。さらにその動きがAIの学習にも役立てられて、より精度の高いタイムラインになっていく。
さらにカートに入れてからの選択がすごくリッチに設計されていて、任天堂Switchだったらゲームソフト付きか否かや本体の色、中国大陸版と日本版どっちにするかまでカートに入れてしまってから選べるんです。だからこそユーザーは一旦カートに入れてから、割引店舗になっているかどうかや色の在庫などを精緻に比較して購入を決定することができる。
オンラインだけど、どこかウェットなコミュニケーション
こうみく)え、しかもこれ友達に買わせるっていう導線があるんですか?(笑)
門奈)そう、これは彼氏とか親とかの電話番号を入力すると、その人に購入リンクが送られます。一緒にいるならQRコードを出して「これ買って」とかも可能。こうしてオンラインショッピングだけど、どこかウェットなコミュニケーションが生まれる設計なのは特徴のひとつですよね。
こうみく)へぇ、それは面白いですね!これ画面下部にボタンがいくつかあるじゃないですか。左右はマイページとカートだと思うのですが、その他はなんですか?
門奈)真ん中のタブは購入した店舗と「発送しましたよ」みたいなやりとりを直接行えるチャット機能、その左は店舗が投稿配信するタイムラインですね。ここは好きな店舗とかをフォローしておけば、インスタのような形で新商品の情報などが流れて来ます。いいなと思ったら投稿から直接商品ページに飛べるので、そのまま購入もできてしまいます。
こうみく)あ、質問が来てるのですが『Amazonプライムのように配送料固定のプランはありますか?』とのことです。これはどうですか?ただ中国の場合、配送料を店舗が負担している場合も多いですよね。
門奈)そうですね。なので月額固定で配送料が無料になるというプランはTaobaoにもPinduoduoにも現時点ではないですね。ただ、Pinduoduoには「月次カード」の仕組みはあります。Pinduoduoに話を移しましょうか。
門奈)これはたとえば1ヶ月あたり500円でカードを購入すると、毎日様々なクーポンがもらえ、全て活用すると3000円分ぐらいお得になるというもの。使わなかった分は返金もされます。
SKⅡの化粧水が約1,000円?Pinduouduoには偽物が多いのか
こうみく)(タイムラインを眺めながら)え、SKⅡの化粧水が64元って、日本円でいうと1,000円とかなんですけど本物ですか?SKⅡでこの値段ってありえない・・・。実際Pinduoduoって偽物が多いみたいな話はありますか?
門奈)実は、スタートするときはたしかに多かったです。当時はTaobaoやJD(ジンドン)がアメリカに上場したタイミングで、ライセンスが厳しい商品は全て排除する必要があった。そこでグレーゾーン以下の商品がPinduoduoに流れてきたという背景がありました。
ただ、今PinduoduoをみるとiPhoneとかも売られていて、イメージを変えていこうと頑張っていますね。前もちょっと話題になったのがTesla*を3人で買うと400万円が330万円になるというキャンペーン。そういう最先端の商品を取り扱うことで、上海や都心部に入っていこうとしています。
* Tesla:アメリカ合衆国のシリコンバレーを拠点に、二次電池式電気自動車と電気自動車関連商品、ソーラーパネルや蓄電池等を開発・製造・販売している自動車会社のこと。
こうみく)Teslaをシェア買いするのはすごすぎる(笑)。Pinduoduoの消費者行動としてはどういう動きが多いのでしょうか?(→後編へ)
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