【第2回】俺たちの狩猟塾 実践!見切り猟 〜 積雪は猪狩りの強〜い味方!
真冬の狩猟塾
今回の狩猟塾は、積雪厳しい真冬に敢行。
雪や雨が降っている間、猪はどこか安全な場所で空腹に耐えながら天候の回復をじっと待っており、それらが止んだとき、エサを求めて一斉に動き出すと言われている。
そのときに出来る真新しい痕を探すことが見切り猟のセオリーである。だがしかし、雪が止んだとはいえ厳冬期の積雪地帯は、ヒト(=少なくとも私自身)が歩くには厳しい環境だ。残り少ない猟期……。悪天候……。私が取材日の調整に頭を悩ませていたとき、天気予報を注視していた塾長(塾)から電話が入る。
塾「雪止んだから、行くど!! 編集長(編)!!」
編「まだ結構積もってそうですが・・・。週末まで様子見ますか?」
塾「アホ!! 時間が経ったら雪無くなってまうやろ!! 猪は待っててくれへんぞ!!」
編「平日ですけど、メンバー集まるんですか?」
塾「ドアホ!! 猪がこっちの人数に合わせてくれるわけないやろ!! オレも暇やないけど、今回は、単独見切り猟や!!」
取材協力|塾長 写真・文|佐茂規彦
積雪に残る猪の痕
編「もの凄くサブいんですけど、手順は普段の見切りと同じですか?」
塾「やり方はいつもと同じや。ただ、普段よりも痕は見つけやすい。雪の中、猪の仕事跡は茶色い地面がむき出しになるやろ。道路を車で走ってても山裾の食み跡見つけられる」
積雪後、猪が食んだり歩いたりすれば、真っ白な雪に必ず土をつけることになり、色の違いがはっきりするので、普段よりも見切りやすくなる。新旧の判断は、雪の解け具合や、さらにその上に降り積もった雪の量で可能だ。
編「猪も雪で動きが鈍いでしょうし、犬を放せば勝負は早そうですね」
塾「勝負は早いけど、動きが鈍くなるのは犬も同じ条件や。しっかり相手を見極めて犬を放すかどうか、どの犬を放すか考えなあかん」
積雪量が多い場合、脚の短い猪の動きは相当鈍く、放犬すれば容易に犬が猪に追いつくことも出来るだろう。ただし、雪で動きが鈍くなるのは、猪だけでなくヒトも犬も同じである。大きな足跡を見つけたからといって、猟期後半の盛りのついたオス猪に雪の中で追いついたところで、相手に関わらず咬みに行く犬を放すようでは返り討ち必至だ。
雪中の猪を見切る
雪中猪狩り・見切りコース①
塾長の犬舎から車で移動しながら、積雪で白くなった山裾の道路付近を中心に猪の痕を探していると、茶色い地面がむき出しの真新しい食み跡を発見。食み場と山を数回に渡って往復する足跡も確認し、今回のターゲットをロックオン!
雪中猪狩り・見切りコース②
斜面の中段ぐらいに車を停め、山裾の道路と平行に走る林道らしき積雪地帯を歩くと、食み場で見たものと同サイズの足跡が林道を横切り、山を上り下りしているのを発見。下りは古く、上りは新しい跡だ。猪は食み場を離れた後、この林道を渡って、さらに上にいる、ということになる。
雪中猪狩り・見切りコース③
林道の先は山裾の道路に対して直角にフェンスが張られているので、東(図の左)方向へ猪が抜けている可能性は無い。
林道を少し引き返したところで、山(図の上)方向に切り、西(図の右)方向への抜けが無いかを確認する。この辺りは膝まで積雪があり、猪も移動が困難なのか、東西方向への足跡は見つからない。
雪中猪狩り・見切りコース④
斜面を上ると、東西に走る上段の道路まで出た。積雪量は多少はマシなので、この道路を再び東(図の左)方向へ切って行く。
千鳥足で歩く鹿の足跡は見られるものの、猪の渡り足は無い。猪の寝屋はフェンス、上段の道路、中段の林道、そして見切りで歩いた西のラインで囲まれたエリア内にあると判断できた。
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