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【第1回】俺たちの狩猟塾 実践!見切り猟 〜 移動跡新旧判別ポイント

本稿は『けもの道 2016特別号』(2016年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

【ご注意ください】狩猟を行なうには狩猟免許の取得、猟具等の取得・所持の許可、狩猟者登録などの手続きが必要なほか、狩猟期間や猟法、狩猟できる区域や鳥獣の制限等があります。狩猟制度に関する情報については「狩猟ポータル」(環境省)等でご確認ください。

狩猟塾 再開!

兵庫県在住のイノシシ猟師。猟歴20年以上。若き頃より、足跡や食み跡の判別・追跡からイノシシの居場所を見極める見切り猟に心血を注ぐ。CRAZY KEN こと横山剣をこよなく愛する

今回、塾長からのお誘いは、「明日、有害(駆除)出るけど、どない?」という控えめなLINEメッセージからだった!!

『けもの道』特別号の製作に向け、連絡手段が電脳系になった塾長とともに『狩猟塾』再開!!

編集「休刊の間、何か変化はありましたか?」

塾長「仲間が朝イチに跡見や見切りをしてくれるようになって、助かるようになったなぁ」

編集「塾長もだいぶラクが出来ますね」

塾長「しかしやな、自分の犬を掛けるんやったら、仲間を信頼してても、自分で見切りの結果に納得してからでないとアカン」

編集「納得の上で犬を放せ、と?」

塾長「そうや。他人の判断任せで犬を放して、モノが出なかったらどうなる? 『犬が悪い』とか『見切りが悪い』とかなるやろ?」

編集「いるかいないか、どんな相手か、見切りの情報を自分で判断するわけですね」

塾長「自分の犬のことを一番知ってるんは自分や。イノシシとは真剣勝負。結果も踏まえて納得済みで犬を放さなアカン。よっしゃ、ほな行くど!! 編集長!!


イノシシが草むらを歩いたら?

編集「まだ梅雨時期で、かなり下草が生えていますが、草むらではイノシシの足跡は分かりませんねぇ」

塾長「足跡自体は分からへんけど、通ったかどうかは分かる。例えば人が歩くと草を踏むから、通った後は草が倒れてるやろ。イノシシも同じや」

編集「でもずいぶん前に通った跡かも知れませんね」

塾長「青々してる生きた雑草は強いもんや。一日経てば元に戻る。倒れてるところはまだ新しい跡ということや」

草についた砂粒の有無を確認

編集「草そのものを見るときのポイントは砂粒ですね」

塾長「そうや。もう何度も教えたな? 田んぼの近くとか沢の近くの草むらをイノシシが通ると、必ず草に砂粒をつけて行く。当然、雨が当たったり、乾燥して時間が経てば砂粒は落ちる。砂粒が残っているということは、雨の後に移動したか、そこを通ってから時間が経ってないということや」

編集「見切り中は、かなり低い位置を観察する必要がありますねぇ」

足跡は〝立ち具合〟を見る

編集「柔らかい土の上とかは、足跡は分かりやすいですよね」

塾長「あるかないかは分かるけどな、それが新しいか古いかはキッチリ見なアカン」

編集「何となく、ハッキリしてれば新しい印象はありますけど……」

塾長「足跡は〝立ち具合〟を見比べるんや。新しい跡は砂粒とか、土のシワとかがピンピンに〝立って〟るもんや。雨が当たったり、時間が経てば、丸みを帯びて滑らかになるんや」

イノシシはどこにいる? 見切りコース大図解

act. 01

見切りスタート地点近くに車を停めると、いきなり道路横の田に子連れのイノシシの足跡を発見。法面の草の倒れ方や足跡を追って行くと、すぐ横の山から出て来て田に入っていることが分かった。

さらにアスファルトの上には山へ戻っていく足跡もある。イノシシたちは前日から活発に動いているようだ

act. 02

斜面に残る濃いケモノ道を発見。イノシシが毎日のように行き来していることが想像できる。南北方向に出来た道(南向きが上り、北向きが下り)の上に、大小複数の足跡が残っている。よく見ると、下りの足跡が上りの足跡を踏んでいることが分かり、最新の足跡は下り(北方向)のものだと判断する。

act. 03

さらに進むと、別のイノシシの足跡があった。一匹のみで移動している成獣になったイノシシだ。新しい足跡はイノシシの存在を裏付ける嬉しい材料だ。

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