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猟犬としてのビーグルを追う 〜 第38回全猟ビーグル猟野競技会・西日本決勝大会
本稿は『けもの道 2017秋号』(2017年9月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
文・写真|佐茂規彦
ビーグルの猟芸を競う競技会
狩猟者の間でもあまり知られていないが、日本国内で猟系アメリカンビーグル(兎猟用)の猟芸を競う競技会が開催されている。一般社団法人全日本狩猟倶楽部主催のビーグル猟野競技会だ。
今回(平成29年)で38回目を迎える伝統ある競技会で、自然の猟場で自然のゲーム(兎)を相手にするというハードな内容。競技といえど実猟下と条件は同じであり、犬の能力はもちろん、犬とともに歩くハンドラーの手腕や実猟経験が問われる競技なのだ。
今回、本誌では大会事務局を務める高橋肇氏の取り計らいにより、同行取材をさせていただいた。改めて高橋氏はもとより、大会関係者の方々、参加者の方々に御礼を申し上げる。
念のため言及しておくが、この競技は狩猟犬の訓練の一環であり、開催事務局の行き届いた根回しにより地元自治体や周辺住民の理解のもと、法令や安全に十分配慮して執り行われている。
また、兎猟においてビーグルの役目は「捜索」「起こし」「追跡」までであり、「捕獲」はハンドラーによる射獲により達成される。競技は非猟期中に行われているため、「捕獲」までは行われない。
現代の日本では一般的に愛玩犬として人気を博しているアメリカンビーグルだが、元はヨーロッパでスポーツとしての兎猟に使役される猟犬で、日本の狩猟界においても兎猟師の間で猟系のビーグルの血が今も受け継がれている。
猟犬としての位置づけでは、ビーグルは「足の遅い追跡犬」だ。
兎猟の場合、兎は基本的に自分のナワバリの中で逃げ回るので、ビーグルがひとたびゲームを起こせば長時間に渡る「鳴き」と「追跡」を見せ、その猟芸を楽しむのが「ビーグリング」と呼ばれる世界だ。
ただし、猪や鹿も山中にいる中、訓練や系統繁殖で思い通りに兎を追ってくれるビーグルを作出、または手に入れることは容易ではない(だからこそアメリカンビーグルで兎猟をする面白さもあるのだが)。
猟犬として飼育を検討する場合は、まずはビーグルの猟芸を知り、ビーグルを使った実猟を見る機会を得るところから始めることをお勧めする。
《全猟ビーグル・トライアル審査基準》
・第一条 審査は被審査犬が競技時に表現した猟能、猟技にのみよるものとする。
・第二条 競技会犬は、実猟犬と同一であることを原則とし、日本の猟野に使役する兎猟犬として、能率的で、かつその行動が、着実でなければならない。
・第三条 捜索と起こしは、天稟の素質と洗練された能力を働かせ、地形・地物、天候、その他諸環境に応じて、捜索範囲を調節し、猟野の要所を忍耐強く独立して捜索するものとする。
・第四条 追跡で最も要望されるものは、周囲の条件や状況に応じて、自らがその速度を調整し、確実にゲーム臭を把握していることである。追跡の進展に中断の少ないことは、追跡が正確で効率的であることを証明するものである。
《競技の参加・進行方法》
参加犬は全猟会員の所有犬であり、かつ全猟登録犬に限られる。満3歳を境に若犬と成犬に分けられ、それぞれの部門で予選・決勝が行われる。エントリー前には体高検査が行われ、規定の15インチ(38.1センチ)以内でなければならない。また雌犬については発情の有無について獣医師の検診を受けなければならない。
一競技あたりの出場犬はそれぞれ5~6頭であり、予選通過の6頭で決勝が行われる。競技中はハンドラーのほか、一競技あたり4~5名の審査員が同行し、審査する。(『全猟 平成二十九年三月号』より抜粋)
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競技会結果
成犬部門
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成犬部門・決勝審査講評|審査長・柿森高幸
決勝会場は、毎回使われているフィールドで、左右に猟場が続き、斜面を登って行くと畑や田んぼが広がっており、民家が点在、町道が四方に通っている。ゲームを毎回生産している場所である。
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