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万能の共猟者シエル(ラブラドール・レトリバー) 〜 猟犬と歩く日本の実猟

本稿は『けもの道 2020春号』(2020年4月刊)に掲載された特集記事「猟犬と歩く日本の実猟」を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

狩猟を行なうには狩猟免許の取得、猟具等の取得・所持の許可、狩猟者登録などの手続きが必要なほか、狩猟期間や猟法、狩猟できる区域や鳥獣の制限等があります。狩猟制度に関する情報については「狩猟ポータル」(環境省)等でご確認ください。


以前(2018年)、回収訓練の様子を取材したラブラドール・レトリバー
のシエル(下記リンク参照)。訓練の成果もあって定番のカモ回収はお手のもの。カモの追い出しのほか、キジ猟もこなすマルチな猟犬として紹介しよう。

シエル(ラブラドールレトリバー・オス・3歳)

写真・文|佐茂規彦

キジ猟もできるレトリバー

シエルの飼い主は、大分県在住の広畑栄次さん・美加さん夫妻。夫婦そろって銃猟者であり、レトリバーとともに鳥猟から大物猟までこなす。

取材当日はあいにくの雨模様だったが「雨の日はキジが出ていることが多い」とのことから、まずはキジ撃ちを開始した。普通、キジ撃ち用の猟犬と言えばポインターやセターを思い浮かべるが、栄次さんに続きシエルは慣れた様子でキジ猟場の草藪に入っていく。

キジを捜している途中、シエルは頻繁に栄次さんの方を見て、その表情や仕草、言葉から次の指示を読み取る。栄次さんは狩り進む方向などをシエルに伝える

ちなみにシエルに関しては紀州犬やハウンド犬のような「犬を放す」というタイミングは無い。なぜなら車を降りるところからノーリードだからだ。栄次さんの「ノー」とか「待て」といった制止が効き、「あと」と言えば後ろを歩く。もともとレトリバーは人間との共同作業に向いている犬だが、広畑さん夫妻によるしつけや訓練が行き届いていることが分かる。

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