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ツキノワグマの強い執着心 山菜採り男性が襲われる|山梨県・市川大門町|平成12年

本記事は書籍『日本クマ事件簿 〜臆病で賢い山の主は、なぜ人を襲ったのか〜』(2022年・三才ブックス刊)の内容をエピソードごとにお読みいただけるように編集したものです。


はじめに

本稿では、明治から令和にいたるまで、クマによって起こされた死亡事故のうち、新聞など当時の文献によって一定の記録が残っている事件を取り上げている。

内容が内容ゆえに、文中には目を背けたくなるような凄惨な描写もある。それらは全て、事実をなるべく、ありのままに伝えるよう努めたためだ。そのことが読者にとって、クマに対する正しい知識を得ることにつながることを期待する。万一、山でクマに遭遇した際にも、冷静に対処するための一助となることを企図している。

本稿で触れる熊害ゆうがい事件は実際に起こったものばかりだが、お亡くなりになった方々に配慮し、文中では実名とは無関係のアルファベット表記とさせて頂いた。御本人、およびご遺族の方々には、謹んでお悔やみを申し上げたい。

事件データ

  • 発生年:2000(平成12)年5月13日

  • 現場:山梨県市川大門町(現・市川三郷町)

  • 死者数:1人

遺体から離れずに威嚇
獲物に対する強い執着心

死亡事故が発生した現場は、JR身延みのぶ市川大門いちかわだいもん駅を南へ約1km、県道409号(四尾連湖(しびれこ)公園線)から東へ約100m入った山林内の沢沿い。それほど山深いわけではなく、住宅地にごく近い山間地だった。

その場所に会社員・A(67歳)が倒れており、近くにクマがいると山梨県警市川署に一報が入ったのは午後2時30分ごろ。

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