キラメイジャー初回:全ての"陰キャ"に贈るエール

ついに始まった魔進戦隊キラメイジャー。
劇場版の前日譚を見たときから、かなり期待はしていましたが、まさかこれほどとは…!
いい話だなーーーってうるっとさせられました…
特に充瑠くんについては、自分が学校で働いてることもあって、もうすでに思い入れが…

というわけで、そんな充瑠くんについてのことなど、書きたいと思います。

教室の隅にいる”陰キャ”へのエール

自分は高校の図書室の司書をしているのですが、仕事内容は本の管理よりも、図書室に来る生徒たちの相手役がメインになります。
今の生徒たちは、「陽キャorパリピ」と、「陰キャ」に完全に二極化。(キャラクター、を略しているらしいです)
進学校では勉強ができれば陰キャでも崇められたりしますが、普通の高校ではそんなこともなく。教室は陽キャが牛耳り、それが嫌な子、居づらい子は、図書室で休み時間を過ごすことになります。

でもこの陽キャだとか陰キャだとかっていう分け方って、学校の中という、狭い世界だけでの話なんですよね。
一度学校じゃないところで普通に社会人やってから、学校に赴任すると、いかに学校というのが「特殊閉鎖空間」であるかを思い知ります。
そしてまた、先生の方も、学校が好きで先生やってるもんだから、大多数が「陽キャ」なわけですね。民間での社会人経験もなく、学校の世界しか知らずに、学校楽しい!と思ってる。
そんな先生方が指導する空間ですから、もうほんとに、学校というところは、世間とは隔絶された異空間、かつ、陽キャの天下になっているわけです。

そんな閉じた空間の価値観でいくと、充瑠くんは間違いなく、陰キャの側。
それも、自分の独特な世界を持っていて、それを絵にしている、もう陰キャの典型例です。
エピソードZEROの方がよりはっきり描かれていたかな。クラスの女子がからかう描写がありました。充瑠があの厭味ったらしい悪意に鈍感な子でよかった…それが救いだった…。

で、私は充瑠くんに、ものすごく伝えたかった。
君こそが、キラメンタルの持ち主なんだよ、と。
君が今、自分のことを地味で普通だとか思ってるのは、学校という特殊閉鎖空間の価値観しかまだ知らないから。
一歩外に出てみて。学校の外の世界では、君は間違いなく、誰よりも輝いてるよ、って。

そう、結局、私が充瑠くんに伝えたかった言葉は、図書室に来る生徒たちに言ってあげたい言葉そのものだったのです。
彼らもほんとに絵が上手いんだよなあ…模写絵もオリジナル絵もたくさん見せてくれる。

そして迎えた初回!
早くも彼は、自分に秘められたキラメンタルに気づいてくれました!やったー!
でも今回は、目の前にでっかいやばいのがいる、っていう緊急事態でのことだったから、次回以降、冷静になると、やっぱり自分なんて…ってなっちゃうんだよね。予告ではそんな感じに見えました。
そうやって、学校という空間で抑え込まれていたキラメンタルを、彼が自分で見つけて、認めていく過程を描いていくのでしょう。

そう、これは、キラメンタルを持った5人がみんなにキラキラを与えます!っていう番組じゃない。
みんなも充瑠くんと一緒に、自分の中のキラメンタルを育てていこう!って、そういう話なんだろうなあ、って。
そこがすごく、好き!!!って思ったポイントでした。

充瑠くん以外の4人は、すでに各分野で結果を出していて、すでにキラメキを放っている人たち。
でも充瑠くんは、まだ何者でもない。だからこそ、これから何にでもなれる。
なんたって彼の能力は、イメージすること、それを具現化することだから。
その意味でも、彼は本当に、無限の可能性を秘めているわけですよ。
4人のように具体的な職業には就いていない、でも、だからこそ、彼の未来への可能性が、それこそキラキラ輝いて見える気がします。

そんな充瑠くんに、子どもたち…特に、子どもたちだけの空間の残酷な価値観の中で、自分を肯定できずにいる子どもたちが、自分を重ねて、自分は何にでもなれる!なんでもできる!と思えたらいいな、と思います。
そして、充瑠くんと一緒に、成長していってくれたらいいな、と。
キラメイジャーはきっと、充瑠くんの成長物語。
そしてそれと同時に、充瑠くんと自分を重ねる子どもたちが、自己肯定感を高めていける物語になることを、願っています。
あと大きいお友達もね!ほんと自己肯定感大事だからね!!それさえあればちょっとやそっとじゃ病まないから!!!

イメージする力、それを絵にする力って、自分にはできないから、本当にすごいと思うんですよ。
ところが、生徒たちを見てても、そのすごさ、尊さに、気づいていない子が多いこと多いこと。パリピは絵とか描かんからね?
それこそ、最近はAIに勝てない子どもたちとか取り沙汰されるけども、オリジナルのものを生み出すことって、AIにはほぼ不可能なことなんですよね。これまで学習したものの模倣とか組み合わせだけであって。
もちろんそこらへんの人間にもそうそうできるもんじゃない。
だから、キラメイジャーでは、充瑠くんのイメージする力を、どんどん褒めて、持ち上げてほしい。
そしてそれを見た、教室の隅で絵や文を描いてる子どもたちに、「あれ?自分ってもしかしてすごいのかも?」って思ってほしい!!!君たちはすごいんだよ!!!ああ叫びてえが休校だよコノヤローーー!!!


納得のモチーフのつなぎ方

宝石×乗り物!って第一報が出たとき、脳裏をよぎったのは、
「鎧武の二の舞にならないといいけど…」という不安でした。
モチーフ渋滞はろくなことがないぞ…古株のスタッフ陣なのに奇をてらおうとしすぎでは…?と思っていましたが。

杞憂だったね!!!!!

まず宝石の国が先にあって。これはもうエピソードZEROが成功だった、ちゃんと国の描写をしっかり見せられたからもう納得。
そして、充瑠が来なければ、かつあの状況でなければ、彼らは乗り物にはならなかったんですね。
最初から宝石×乗り物だったわけではなく、
充瑠の能力と、今目の前に巨大な敵が!どうする!?っていう状況が、
宝石を乗り物にしたんですね。
そりゃあの状況見たら消防車になるわ!赤いからとかじゃなくて!

スタッフインタビューとかで制作背景を語ってくれるのも好きなんですが、それは外部からの補完であって。
やっぱり物語である以上は、物語内の必然性によって話が進んでほしいですよね。
その点、ほんと、模範解答のような初回を見せられて、
オッケー了解こういうことね!1年間ついていきます!ってなりました。
これからどんなトンデモアイテムが出ようとも、それが必要であるという状況下で、充瑠くんの力で生み出されるなら、どんなものでも受け入れます(笑)


キャラの描き方、立たせ方

いやこれはもう荒川大先生の御本がすごいんでしょうなあ…。
エピソードZEROがあったとはいえ、まだ初回だとは思えないほどに、キャラが濃い!!!みんなちゃんと立ってる!!!

描き方が本当にうまくて。
これは創作のテクニック…というほどのものでもないと思うんですが、
「人間は、人間関係の中で見えてくる」ということがありまして。
キャラクターが一人で立ってても、そいつがどういう人間なのか、まったくわからないわけですよ。
誰かをぶつけてみて、それに対してどういう関わり方をするかによって初めて、その人の人となりが見えてくるわけです。
ほら、よく、男の本性を見抜くには、店員への態度を見ろとか言うじゃないですか?それと一緒。他人とどう関わろうとするか、それがその人の性格を表すんです。

そこへもってきて、この相棒システムはすごい。
戦隊の初回で、レッドだけ合流してない、っていうと、タイムレンジャーとかデカレンジャーとか、最近はキュウレンジャーも、まあ変則的だけどジュウオウジャーもそうでしょう。
でもこれらはみんな、レッド以外のメンバーは先に集合してて(キュウレンは全員じゃないけど)、その中での人間関係がもう出来上がってるんですね。
だから、彼ら同士の会話と、あとは突然現れたレッドに対する反応を描けば、そのままキャラクターが立ったわけです。

でも今回は違う。おそらくエピソードZEROからそんなに時間が経っていなくて、4人の仲はまだそこまで深まってない気がしました。
もちろん、相棒との会話・レッドへの反応を立たせるために、意図的に4人の会話を削った感じはありましたが。作戦にすぐ同意するくらいには信頼してるのかな、仕事上はいいチーム、くらいの感じで。

で、そこで相棒の登場ですよ!
4人の関係ではなく、戦士と相棒、ペアの関わり方をそれぞれ見せることで、もう各キャラの情報量がすごい!!

4人の戦士それぞれを、一人ずつ充瑠の目線から見る、確かにそれだけでもなんとなくキャラはわかるでしょう。
でもそこを、「充瑠から見た戦士×相棒」にしたことで、会話のボリュームがすごいことに!
いや、単純な分量で言ったらそこまでじゃないんですけど、とにかくキャラクターがどんな人か(どんな魔進か)バシバシ伝わってきました!!!そして早くもみんな好き!!!←ちょろい

そしてもう一つすごいなあと思ったのが、魔進と戦士のキャラが、決してベストマッチばかりではないところ。
たとえばマッハと時雨とか、ジェッタと為朝の方が、性格的には近い感じがしますよね。
でも、だからこそ、キャラが立つんです。
これも創作のテクニックというほどのものでもないことなんですが、「似たもの同士よりも、異なるものがぶつかるほうがおもしろい」。これはもう肌感覚で納得していただけることだろうと思います。
極端な話、悪役がいなければ、ヒーローの魅力も半減ですからね。

そういうわけで、全くキャラの違う二人の掛け合いだからこそ、戦士×魔進の会話がおもしろいのなんのって。
似た者同士って、考えてることが近いから、そもそも会話が弾まないんですよね。俺も同じ、で終わっちゃう。
そして唯一、ベストマッチ…というか、君たちはもうそのペアしかあり得なかったね、っていうのがピンクなのも面白い。ここだけ、ズラし不可能な、文字通り二人だけの世界を構築してて、なんて練りに練られた組み合わせなんだ…!
あ、なんかちょっとゴーバスターズ思い出しました。あれもバディロイドとのキャラの組み合わせが絶妙だった…。

この点についてはもう、荒川大先生と塚田Pを全面的に信頼して見ていいな、っていう確信を、初回にして得ました。
どんなに巧い物語でも、個々のキャラクターに魅力がなければつまらないですから。


余談

前作はバンバ推しだったので、今作は見事に時雨に落ちました。
真顔でノリノリダンス枠。また彼も手足が長いね…
そしてアナザーフォーゼ・ファイズのときから、その死んだ目が好き…

いやだって、エピソードZEROの劇中時代劇で、「一竜剣鎌風」って!
東映ムビステ「GOZEN」で犬飼貴丈くんが演じた剣士の必殺技なんだよーーー!(そこ?)

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