麦飯を食べ、風に飛ばされた紙を追いかけた徳川家康
「君主たる者はなによりもまず人民の生活の安定を心掛けねばならない。人民を搾取(さくしゅ)してぜいたくな生活にふけるのは、あたかも自分の股の肉を切り取って食らうようなもの、満腹したときには体のほうがまいってしまう。
(中略)わたしはいつもこう考えている。身の破滅を招くのは、ほかでもない、その者自身の欲望が原因なのだ、と。いつも山海の珍味を食し、音楽や女色にふけるなら、欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。そんなことをしていたのでは、肝心な政治に身