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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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2023年4月の記事一覧

事業を創るよりも、守ることの方が難しい?

「帝王の事業のなかで、創業と守成といずれが困難であろうか」・・・「一旦、天下を手中に収めてしまえば、気持ちがゆるんで、自分勝手な欲望を抑えることができなくなります。・・・・国家の衰退を招くのは、つねにこれが原因になっています。このような理由で、わたしは守成こそ困難であると申し上げたい」(貞観政要、君道編) 中国古典のリーダーの在り方について書かれた貞観政要の一節です。長文の為、現代語訳の一部抜粋になります。 この一節は、創業と、創業後の事業を守ることのどちらが難しいの

麦飯を食べ、風に飛ばされた紙を追いかけた徳川家康

「君主たる者はなによりもまず人民の生活の安定を心掛けねばならない。人民を搾取(さくしゅ)してぜいたくな生活にふけるのは、あたかも自分の股の肉を切り取って食らうようなもの、満腹したときには体のほうがまいってしまう。 (中略)わたしはいつもこう考えている。身の破滅を招くのは、ほかでもない、その者自身の欲望が原因なのだ、と。いつも山海の珍味を食し、音楽や女色にふけるなら、欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。そんなことをしていたのでは、肝心な政治に身