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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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2022年11月の記事一覧

考えすぎるよりも、実行に移してから改めて考える

季文子、三たび思うてしかる後に行う。子、これを聞きていわく、 「再びせばこれ可なり」(論語、公治長第五) (魯の家老の季文子は、三度考えてからはじめてそれを実行した。先生はこれを聞かれて、「(考えすぎるのもよくない)二度考えたらやるべきかどうかはわかる」といわれた) 自分自身も気づかないところでそうなっていることがあるかもしれませんが、なかなか実行まで時間がかかる方というのはいるものです。そうした方に、なぜ実行されないのか聞いてみると、色々と考えている中で、結局動き出せて

心を引き締めていない時ほど失敗するもの

子いわく「約を以ってこれを失する者は、すくなし」(論語、里仁第四) (先生がいわれた。「心をひきしめていて失敗する人は、ほとんどいない」) お恥ずかしい話ですが、社内のミーティングではあるのですが、先日ミーティングが早朝にあることを失念していて、オンラインで参加者からの連絡がありミーティングに気づき、10分遅れで参加しました。 当然のことではあるのですが、こういうミーティング失念はほぼ無いのですが、やはりこのような事が起きる時には、緊張感がない時が多いものです。実際、

反省

子いわく、「仁におるをよしとなす。えらんで仁によらずば、いずくんぞ知なるをえん。」(論語、里仁第四) (先生が言われた「仁(思いやり)の中にいるがごとく、判断を仁におくのが、よい生き方である。あれこれ選んで仁から外れてしまうのは知者とは言えない」) 論語が言うところの仁、他者への思いやりや配慮を大事にしようと思っていても、日々の活動の中それ以外の基準や諸々もありながら活動してしまうものです。そのうち、自分としては大事にしているつもりでも、周囲や相対する方からは、もっと内部

自分の主張をまず行動で表わした上で、その主張を言葉にする

「子いわく「まずその言を行うて、しこうして後に之に従う」(論語、為政第二) (先生は言われた。「君子は、自分の主張をまず行動で表し、その後に主張を言葉にするものだ(つまり、君子は口先の人ではなく、実行の人なのだ)」) こういう心境になったのは本当に最近のことですが、今はくどくど口で自分の考え、主張を言う時間があったら、まずはその考えていること、主張したいことを自分自身が実行していくことが大事なのではないかと考えるようになっています(もちろん、いつもそうできている訳でもない

「和をもって貴しとなす」だけでよいのか

「礼の和をもって貴しとなすは、先王の道もこれを美となす。小大これによれば、行われざる所あり。和を知って和すれども、礼をもってこれを節せざれば、また行うべからざるなり」(論語、学而第一) (「礼の活用は、和と一緒になってうまくいく。かつての聖王のやり方も、礼と和が両輪となって立派だった。実際には和を大切にするだけではうまくいかないことがある。和の精神がわかっていて仲よくしても礼でけじめをつけないとうまくいかない」) この論語の一節に目がとまった時、古代日本の聖徳太子の憲法十