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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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2022年8月の記事一覧

天をうらまず、人をとがめず、とにかく必死に頑張る

「天をうらまず、人をとがめず、下学して上達す。我れを知る者はそれ天か」(論語、憲問第十四) (これまで不運であっても天をうらまず、人をとがめず、身近なことを学んで高尚な道徳への達してきた。私のことをわかってくるのは、天だ) これは西郷隆盛の有名な言葉「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の 足らざるを尋ぬべし」を連想させる言葉であり、恐らく下敷きではないかと思うのですが、とても自省させられる言葉です。 長年歴史を学んできてふと思う

上辺の社交性と誠意、誠実さはリンクしない

子いわく、「剛毅朴訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し」(子路第十三) (先生がいわれた。「物欲に左右されない剛、志があり勇敢な毅、かざりけがなく質実な木、心に思うところはあるが口下手な訥。この四つの資質は、仁に近い」 これまでの営業経験を振り返ってみると、始めはちょっと取っつきにくいお客様でも、そういう方ほどよく話しを聞いて頂けて、納得して頂いた場合は結果的にご提案をお通し頂けることがあります。 私に限らず、営業の現場ではよくあることではないかと思います。 思うに、上辺の

相手の話を理解、尊重した上で、よくない話であれば同意しない

子いわく、「君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず」(子路第十三) (先生がいわれた。「君子は人とやわらぎ協調するが、やたらとつるんだりはしない。反対に、小人はよくつるむが、協調性はない」) 論語の中でも、長いことこの言葉の意味合いがピンとこなかったのですが、多少歳を経て、少し分かるようになってきました。 私は、人の話しを理解する、尊重するということと、話に同意する、ということは別のことだというお話しをよくさせて頂きます。 まず、相手が言っていることの意味だとか、

大きな目標は短期では実現しない。粘り強い取組みが必要。

子いわく、「速やかなるを欲するなかれ。小利を見るなかれ。速やかならんと欲すれば、則ち達せず。小利を見れば、則ち大事ならず。」(論語 子路第十三) (先生は言われた、「早く成果をあげたいと思うな。眼の前の小さな利益を見るな。成果を急げば達成しない。小利に気をとられれば、大事はなしとげられない。」) こういう文章を紹介すると、「では、短期の成果を気にする必要はないのか」といった疑問、質問を頂くかもしれませんが、そういうことではないのだと思います。大きな目標の実現も、短期の目標

遠くからでも来て頂ける国、企業に

葉公、政を問う。子いわく「近き者はよろこび、遠き者は来たる」(論語 子路第十三) (楚国の葉公が先生に政治についておたづねになった。先生はこう答えられた。 「近くにいる民はよろこび、遠方の民は慕ってやってくるということです」) 東南アジアから来られる労働者の方が大事な労働力となられている企業様にヒアリングさせて頂くと、確実に近年東南アジアの方々にとって日本は不人気になりつつあると聞きます。 それはコロナ禍であったことや、直近であれば円安により日本で働くことの経済的メリ