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電気のおはなしその57・抵抗と電力の関係

当初のタイトルは、「電気のおはなしその57・抵抗に交流電圧を掛けたときの電圧・電流・電力」としていましたが、書き進めるうちに電力について一つの項立てをして書いていなかったことに気が付いたので、タイトルを変えました。

抵抗に電圧を掛け、ある電流を流した場合、電気エネルギーは抵抗内部で消費され、熱が発生しました。以前書きましたように、これを電力と言…

(; ・`д・´)<あれ?過去記事を見ても「電力」って出てこないぞ
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・電力の話、まだ書いてなかった

まぁ、電気のおはなしその9・力と仕事とか、電気のおはなしその29・「熱」ってなぁに?(2)において少し触れてはいるんですけどね。

では、改めて「電力」から話をしましょう。
電力というのは、電気エネルギーから取り出せる仕事のことで、

電力=電圧×電流
P=V・I

で求めることができます。抵抗の場合、同時にオームの法則も成立していますから、

P=VI=RI^2=V^2/R

と式を変換することもできます。
抵抗の場合、このようにして消費された電力は、100%熱に変換されます。一例を挙げると、電気ストーブとか電気ポットなどは、コンセントから引いてきた電気を抵抗に消費させて得られる熱を利用しているものです。

抵抗の場合、その両端にかかる電圧と流れる電流は完全に比例関係にあるため、直流を掛けた場合と交流を掛けた場合の挙動は次のようになります。

図1・抵抗に直流電圧・交流電圧を掛けたときの波形

このとき、電圧×電流で表される電力、つまり抵抗における発熱量は、次のようなグラフとなります。

図2・抵抗に直流電圧・交流電圧を掛けたときの波形と消費電力

このように、交流の場合、電圧が+なら電流も+、電圧が-なら電流も-なので、それらを掛け算した電力は常に+になります。また、sin波形どうしを掛けていますので、波形はsin波形とは異なった形となります。

これを見て分かることとして、抵抗に交流電圧を掛けた場合、発熱する瞬間と発熱しない瞬間が交互に現れるということです。これは、例えば蛍光灯であれば、高速に点滅を繰り返している(電力がゼロの瞬間は、発光していませんからね)ことを意味します。とーーっても疲れたときに蛍光灯を見ると妙にチラチラして見えることがありますが、あれは目がおかしいのではなく、本当に蛍光灯が高速に点滅しているのを感じているから、なのですね。

さて。ここでひとつ問題が発生します。それは、

100Vの直流電圧と、最大値が100Vの交流電圧を抵抗に与えた場合に、発生する電力の大きさが違う

っていう事なのですよ。つまり、直流だとずーっと発熱しっぱなしなのに対し、交流では発熱→停止→発熱→停止→…を非常に高速に繰り返しているわけで、このときの電力量(発熱量)を比較すると、当然交流のほうが小さくなってしまうんですね。

人間は、電気エネルギーを、何かしらの電力を取り出すために使用しています。その電力で熱を得たり、光を得たり、機械力を得たりしているわけです。したがって、交流の尺度として、

実際に得られる電力が、直流の場合と同じ値になる電圧や電流

を基準として「電圧」「電流」を定義するのがもっとも便利です。この値を「実」際に「効」力が得られる「値」という意味で「実効値」と呼んでいるわけです。

つまり、交流の実効値100Vの電圧と、直流の100Vの電圧を同じ抵抗に与えた場合、同じ熱量を得られる、ということです。

ご存じの方も多いと思いますが、sin波の場合は実効値の√2倍が最高値になります。100Vのコンセントに来ている電気は、最高値で141Vになっている瞬間がある、ということなんですね。

それでは、電力量…と行こうと思ったのですが、既に1500文字以上書いているので先送りしてしまおう。

以上。

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