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電気のおはなしその3・電子が力を受けて移動するということ

いきなり質問です。

「力」って何ですか?

我々は、普段から「力」という言葉自体はよく使っていますよね。「アイツは力持ちだ」とか、「もう腹減って力が出ないよ…」とか。
しかし、それじゃあ「力」って何なのか?といわれても、リンゴやジュースみたいに形のあるものじゃないし、はてさて?

でも、力が強い/弱いと何が違うか、という現象は、誰もが体感的に知っています。例えば、力が強い人は重い物体を持ち上げることができますし、力が強い車は速く走ることができます。力が弱い人は自転車もゆっくりしか走れません。学校で物理を勉強した人は、運動方程式F=maなんて式を思い出すかもしれません。

では正解は…。

そう、「物体を速く動かす」とか「重いものが持ち上げられる」とか、実はその現象こそが「力」、ということでだいたい正解なんです。力という、形に見えるモノは存在せず、「物体が動いた」という現象が力の作用です。これはもう、人間だれしもが毎日いつでも目にしているし体感していることですね。例えば、ご飯を食べるために、手でお箸を持ち上げる、つまり「お箸が動いた」のも力の作用ですし、足で地面を蹴った結果、体という物体が移動する、これも力の作用です。みんな正解。大正解。

それじゃ、力の作用をもうちょっと詳しく考えるために、自転車をこいでいる人を考えてみましょう。

図1・チャリをこぐ人(弱いバージョン)

自転車をこぐとき、力が弱い人に思いっきりこいでもらっても、あんまり加速しないしあんまりスピードが出ません。

図2・チャリをこぐ人(強力バージョン)

しかし、屈強な運動部員などの強い人が思いっきりこげば、並の車を超えるような凄い勢いで加速しますよね。
実は、力の強さと加速のすごさの間には、比例するということが分かっています。つまり、

力が強いと、加速も鋭くなる。

っていうことなんです。だから、自動車レースとかでは強力なエンジンを搭載して、ライバルよりも先に前に出て走れるようにしているわけですね。

さて、自転車の話に戻ると、加速の鋭さは力だけではなく、もうひとつ別の要素にも支配されていることがわかっています。
自転車に乗ってスーパー玉出に買い出しに行くことを考えてみましょう。店に向かうときは楽々運転していたのに、ついついセール品を買い過ぎてしまった結果、自転車のカゴから荷物があふれそうな状態になりました。このとき、自転車の加速はどうなるでしょうか?

はい、想像すると分るように、同じ力でこいでも、荷物満載で重くなった自転車では加速しにくくなるはずです。つまり、

重いと加速しにくい。

っていうことなんですね。中年太りに悩むそこのアナタ。昔に比べて動きが鈍くなったなー(泣)と感じることがあるでしょう?それは自分が重くなったせいで加速しにくくなったのがひとつの原因なんです!

※ってことは、重い体でキレのあるダンスを踊るウガンダさんは、普通の体形の人が同じ動きをするよりもずっと大きな力(筋力)を出してるわけです
https://www.nicovideo.jp/watch/sm3515358

話を電流にもどします。
電流というのは、「電子が力を受けて移動する現象」のことでした。
もうお分かりのとおり、電子に対して強い力がはたらけば、電子は大きく加速してビュンビュン移動します。これが「電流が大きい」という状態です。
はい、結論。今回もっとも言いたかったこと。

電流は力学です。

電流は力学です。

電流は力学です。

…ふぅ。
さて。「電子が力を受ける」というのはどういう場面かというと、ひとつはクーロン力、もうひとつはローレンツ力なんてのがあるんですね。
しかし、そのような力と電流の関係をお話しする前に、力学の基本についてもう少しお話していきたいと思うので、次回は「力学入門」みたいな話をしたいと思います。

私も、昔は力学と電気回路学なんて全然別の理論だと思っていましたし、なんなら物理学と化学は全く別の話なーんて思っていたのですが、実は全部つながっているお話だったんですね。ときには、全く同じ現象に対して、それを見る角度を変えているだけ、なんてことすらあります。

幸せそうなあの子。正面から見ると本当に幸せそうですが、後ろから見たら、そこには世にも恐…(通信はここで途絶えている)

以上。

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