見出し画像

電気のおはなしその40・トランジスタ(1)トランジスタの基本原理

ここまでだいぶ書き溜めてきました。改めて読み直すと、あれも書けばよかった、これも書きたい、というのが山のように出てくるのですが、それらを個別に掘り下げるのは、この先「電験3種のおはなし」とか「電験2種のおはなし」「陸上無線技術士のおはなし」みたいなのを書き始めることができたら、その時に必要に応じて掘り下げていくことにすればいいや、と思った次第でございます。
国家資格に挑戦することはもちろん素晴らしいことだと思うのですが、先に試験合格ありきとなってしまうと、試験に出ない項目をやる必要ないんじゃね?となってしまうのが嫌なので、最初は広く薄く(時々深く)、そしてその先に何らかの国家試験があるのであれば、その場でポイントポイントを掘り下げて行けばいいよね、というスタンスで考えております。

閑話休題。

話の順序としては、そろそろコイルやコンデンサ、と思わなくもないのですが、せっかく半導体の話(と、脇道にそれた真空管の話)を書きましたので、トランジスタについての基本的な話をしていこうと思っています。まずはバイポーラトランジスタ、次いでFET、サイリスタぐらいまで書いて、その後コイルとコンデンサ、そしていよいよ交流理論かな?と思っております。

以前、真性半導体とN型半導体、P型半導体のお話をしました。復習すると、

  • 真性半導体とは、共有結合で結晶を作るシリコンなどのこと。

  • 真性半導体に、電子の手が多い元素を導入し、電子を余り気味にしたものがN型半導体。

  • 同様に、電子の手が不足した元素を導入し、結合相手の電子を求める電子不足の状態にしたものがP型半導体。

というものでした。返す返すも、こういう物質を発見し、そしてN型・P型半導体を作り上げたという人間の知恵は凄いことだなと思います。
これらN型半導体とP型半導体を接合したものがダイオードで、P型→N型方向には電流が流れ、逆向きには電流が流れないという素子でした。

では、トランジスタです。

トランジスタは、N型・P型・N型もしくはP型・N型・P型と三層構造にした素子です。前者をNPNトランジスタ、後者をPNPトランジスタと呼びます。これだけを見ると、互いに逆向きに接続されたダイオードのように見えますし、確かにそのような挙動をさせることもできるのですが、ポイントはそこではありません。
三層構造を作るとき、意図的に真ん中の層を極めて薄く作ります。すると、その中間層を通り抜ける電子またはホールは、勢い余って中間層を突き抜け、反対側に達してしまうという現象が起こります。これも最初の頃にお話しした通り、電子には質量があり、質量をもった物質が力を受けて加速した場合、慣性の働きにより急に止めようとしてもすぐには止められないという性質を持っているからです。これが無ければトランジスタとして動作することはありませんでした。
例として、N型・P型・N型の構造をもったトランジスタの図を示します。トランジスタの端子は、エミッタ(E)・ベース(B)・コレクタ(C)と名前が付けられています。

図1・NPNトランジスタの原理構造

E-B間には、外部に接続した電池により、通常ごく小さな電流を流します。このような電源をバイアスと呼びますが、これはPN接合の電圧-電流特性において、シリコンであれば0.6V程度、ゲルマニウムでは0.1V程度の偏りを与えるためで、偏り=Biasからこう呼ばれています。
すると、EからB方向に流れてきた電子のうち一部はB領域で捕獲されるものの、多くがBを突き抜けてCに達してしまいます。このとき、Bで捕獲される電子と突き抜けてしまう電子の量はほぼ比例するため、B-E間に入力信号を与えることで、C-E間に、入力信号に比例した大きな電流を得ることができます。この比例特性が、増幅効果となります。市販品のトランジスタにあっては、この比例定数は、小さなものは10程度、大きいものでは1000程度です。「電流増幅率」と呼ばれ、通常記号βで表します。

今回も長くなってきましたので、基本的な原理のおはなしということで、まずはこの位にしておきます。次回はもう少し掘り下げたお話をしていきます。

以上。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?