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予算0円で子育てしやすい国にする方法

シンガポールはよく「日本に比べて子育てしやすい」と言われ、シンガポールを経験すると日本での子育てはできる気がしないと言う人も。

我が家には子どもが4人いて、上の子が現在高校3年生と高校1年生、下の子は3歳と1歳になります。

上の子は大きくなるまでずっと日本だったのですが、
12年ぶりに2ターン目の子育てをゼロからシンガポールで約3年半してみて、私もシンガポールは日本よりずっと子育てしやすいと思いました。

昨年日本に帰国したのですが、その時のことを振り返ってなぜシンガポールが子育てしやすいのかを考えてみました。

(※この文章は3人目が2歳の頃、約2年前に書いたものです)

お金はかかるが、子育てはずっとしやすい

シンガポールは、おむつや粉ミルクなども含め、物価は高い、保育園代も高い(10ヶ月で保育園をスタートした時は、月額約15万円、2歳の現在月額く10万円かかっています)、家賃も高い、など金銭的な面では決して子育て世代にやさしいわけではありません。

さらに、制度的な面でも医療費も日本では中学生まで無料のところが多いのですが、シンガポールは基本的に自費診療なので1回病院に行くと1万円以上する上に、予防接種も外国人(Foreigner)のため高く1回4000円から2万円近いときもあります。

お金がかかることは多いのですが、それでも子育てしやすいと感じるのはなぜか。

それは、ハード面ではなく、ソフト面でとても子どもにやさしい国だからです。

知り合いゼロのワンオペ育児を支えてくれたもの

私の場合、上の子たちは日本、多くの時間が子どもと2人。引越してきた当初からをいわゆる「ワンオペ育児」でこなしています。

2年前にシンガポールに引越したときは知り合いもゼロ。

さらに、臨月から産後もずっと家で翻訳などの仕事をしていたので、「赤子の世話」、「パソコンでの仕事」、「食事のための買い物」しかしない日々。

新しく日本人の知り合いやママ友が増えるわけでもありません。

頼れる親も友人もいないこんな状況でノイローゼにならなかったのは、なぜか。

それは、シンガポールがどこに行っても赤子や子ども連れにやさしいからです。

とにかく赤子に向けられる視線が温かいのです。

たとえば、ベビーカーをたたまないでバスや電車に乗れる、基本的にどんなお店でもベビーカーで入店できるうえにベビーチェアがある、などもありますが、それよりも助かったのが道行く人や外出先で会う人が子どもにいやな顔をしないこと。

当時住んでいた家のレセプションの人も、息子の名前を覚えてくれていつも挨拶してくれたり、家のすぐ下のスーパーのレジの人も必ず「Hello Baby」などといつも声をかけてくれました。

また、退院した翌日から黄疸のチェックのために、抱っこひもで息子を抱え1人で病院に通っていたのですが、その頃は「So small! How old?」と行く先々で話しかけられていました。

話しかけられるまでにはいたらなくても、老若男女問わず、どこでもこちらを見て笑顔でうなずいたりしてくれます。少し泣いても、笑顔でいてくれて、手をにぎってあやしたりとにかくフレンドリー。

こういったまわりの人からの声掛けや笑顔があったからこそ、異国で息子と2人きりという日々でもやっていけたのだと思います。

日本では肩身が狭い子連れ

日本では、電車に乗るとまわりの視線が本当に気になります。たいがい一度こちらを見て、無表情にまた携帯電話に視線を戻したり、露骨にいやな顔をします。隣に座ると、体を離されることも。

ましてバギーを持っていたりすると、少し当たっただけで、ちっと舌打ちされたり、なにか言われたことも一度ではありません。

ただでさえ申し訳ないと思っているし、子連れで出掛けているので荷物も多く、心身ともに疲弊しているところにこういった態度だと本当に胸が苦しく、今すぐ帰りたいと思ってしまいます。

そのため、日本では友人と外で会う時はなるべく子どもを連れて行かず、誰かに預けることにしています。これは、移動時のことや、お店でのことを考えるとストレスが多すぎるためです。

でも、実際に預けるのも予定の調整や、不在時の準備、帰り時間などがあるので日本だと会いたい人や行きたいところはあっても実際に出掛けるのはだいぶ減っているのが現実です。その点、シンガポールでは、行きたいところにはどこでも2人で出かけられます。

本当に必要なのはハードよりもハート

ここで思ったのは、ハードの整備も大切だけど、ソフトの方が大切なのではないか、ということ。ハードよりもハート。

2019年度の予算案では、子育て関連の政策に、前年度比1割増の総額約3.3兆円が計上されたそうです。

主な政策としては、幼保の無償化や地域子ども・子育て支援事業への助成など。どうやら色々なことにお金が使われているようなのですが、無償化するよりは、そもそもの数を増やさないと意味がないという声や、保育園に入れず悲鳴が上がるなど、実際の子育て世代からはあまり投資に対しての効果実感はあまりないようです。

笑顔が社会を変えるはず

いくら新たな政策に予算をかけても社会はそんなにすぐには変わりません。でも、私はみんなが赤子や子どもに笑いかけるだけで確実に変わるのではないかと思っています。

莫大な予算を投じて制度を整備するのも必要ですが、私たち一人ひとりが、外で会う子ども連れに対して、笑顔になるだけでずっと親は救われると思います。

だからどうか、バスや電車で子ども連れ、特に赤ちゃんを連れた人がいたらその赤ちゃんに向かって笑ってあげてください。

親に話しかける必要はありません。(それもありがたいのですが、こっちに余裕がないと、その話しかけに感じよく対応できなく、後で申し訳なく思ってしまったりするので)

自分の連れている子どもが温かい目で見られていることは、たとえ話しかけられていなくても伝わります。そして、目をそらさないで笑顔でいてくれるだけで、親はほっとすると思います。

私も、シンガポールの出かけた先の温かい笑顔に本当に救われてきました。

昔あった「スマイル0円」ではないですが、この笑顔が予算0円で日本を子育てしやすい国にする方法だと私は思っています。

ぜひ次に赤子や子どもに出会ったらスマイルを!

#子育て #育児 #海外生活 #シンガポール生活 #年の差育児

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