見出し画像

Walmartが2024年Yahoo Finance年間最優秀企業に選出

2024年、老舗小売企業Walmart(WMT)が新たな局面を迎えています。創業60年以上を経て、その経営はテクノロジーや流通改革への投資で“第2の風”をつかみ、安定的な増収増益を背景にYahoo Financeが選ぶ「2024年年間最優秀企業」に輝きました。オンライン化が進む小売市場で、Walmartは「安定感×イノベーション」という独自のスタイルで存在感を強めています。本記事では、2024年までのWalmartの軌跡と今後の注目ポイントを、ビジネスパーソンや個人投資家向けにややカジュアルな視点で掘り下げていきます。



Walmartが示す新たな進化

Walmartは、かつてAmazon(AMZN)の台頭に対してテクノロジー面での出遅れを指摘されていました。しかし、AIやAR(拡張現実)への投資、即日配送サービスや低価格戦略を組み合わせることで、2024年には記録的な好業績を連続して達成しています。
主要な競合であるTarget(TGT)を凌ぐ業績、そして株価の最高値更新を受け、Yahoo Finance編集陣はWalmartを今年の最優秀企業に選出しました。

経営者Doug McMillon氏のリーダーシップ

Walmartの長年にわたるリーダーであるDoug McMillon CEOは、かつて慎重な経営者として知られました。しかし、業務効率化やイノベーション促進のための積極的な買収・投資に踏み切ったことで、同社は顧客体験やオペレーション面で大きな転換点を迎えました。

Amazonとの競合強化とオンライン戦略

オンライン化の遅れと評されたWalmartは、Eコマース強化やサードパーティー出品者の拡大、ジェネレーティブAIを活用したパーソナライズ機能の開発、即日配送や店舗受け取りサービスの拡充など、Amazonを強く意識した取り組みを加速。高所得層顧客の取り込みにも成功しており、顧客層を広げています。


業績を支える数字の強さ

直近の第3四半期、Walmartは米国事業で5.3%の既存店売上増を記録。食料品やヘルスケア製品など日常性の高いカテゴリーが販売好調で、グローバルなEコマース売上は27%増を達成しました。

堅調な売上・利益と株主還元

2024年度通年で4.8%~5.1%の売上成長予測を示し、EPS(1株当たり利益)も前年から2桁増益の見通し。株主還元にも積極的で、年初来で30億ドルの自社株買いを実施しました。結果として、年初来株価は82%上昇し、S&P500やダウ平均を大きくアウトパフォームしています。

Targetとの差異化

競合のTargetはオンライン成長の鈍化や顧客単価の伸び悩みで苦戦中。その一方でWalmartはテクノロジー投資での先行、価格競争力の維持、幅広い顧客層へのアピールで優位性を確立しています。


組織変革と新本社の狙い

Walmartは2024年、従業員に対しオフィス出勤を原則とする方針へと転換しました。これにより、一部幹部の辞職や社員の不満も報じられましたが、新本社キャンパスには最新のワークスペースや健康・福利厚生施設を整備し、多様な人材が集う環境づくりを進めています。

DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)施策の再評価

2020年以降進めてきた多様性関連プログラムの一部縮小も決定しました。これにより、Walmartは「帰属(Belonging)」をキーワードに据え直し、企業価値観を再整理しています。


投資家視点で捉えるポイント

Walmartはテクノロジー投資や顧客体験の強化、顧客層の拡大により市場での存在感を高めています。投資家は以下の点に注目すると良いでしょう。

継続的な利益成長と株主還元

同社は増収増益基調を維持しつつ、株主還元にも積極的。安定性と成長性を両立する銘柄として評価できます。

戦略的M&Aとデータ活用

最近のVizio(スマートTVメーカー)の23億ドルでの買収は、広告事業の拡大や顧客データ活用強化に直結。こうした戦略的M&Aでの収益源拡大は、中長期的な収益向上の余地を示唆します。

グローバル経済政策リスク

米中関係や関税政策はWalmartの商品原価や価格戦略に影響を及ぼす可能性があり、投資家は国際政策リスクを注視する必要があります。


まとめ

Walmartは伝統的な小売企業でありながら、テクノロジーとオペレーション改善で再成長を実現。2024年にYahoo Financeから最優秀企業の称号を得た背景には、着実な戦略実行、顧客ニーズへの機敏な対応、そして経営トップによるリスクテイクの姿勢が存在します。安定した利益成長や株価パフォーマンス、さらにはAmazonなど巨大テックとの競合における地位確立など、Walmartは今後も投資家がフォローすべき注目企業であると言えるでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!