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AT&Tの株価が6.6%上昇、好調な第4四半期決算が投資家心理を後押し
米通信大手AT&T (NYSE:T) が2024年の第4四半期決算を発表し、5Gやファイバー契約者数の伸びなどにより堅調な業績を示しました。売上高はアナリスト予想をわずかに上回る323億ドル、EPS(1株当たり利益)は市場予想の0.49ドルを上回る0.54ドルを記録。CEOのジョン・スタンキー氏は、同社の「規律ある実行」と「積極的なファイバー拡大」が好調の要因だと述べており、長期的な成長への自信を強調しています。また、ポストペイド電話の解約率が0.85%と業界最低水準を維持している点も注目を集めています。
第4四半期の好調な結果
AT&Tは第4四半期に売上高323億ドルを計上し、アナリスト予想(約321億ドル)を上回りました。EPSも0.54ドルで、予想の0.49ドルを上回る堅調ぶりを示しています。さらに、フリーキャッシュフロー(FCF)は前年同期比で改善しており、投資家にとっては安定したキャッシュ創出力が魅力となっています。
主なハイライト
売上高:323億ドル(市場予想321億ドル)
EPS:0.54ドル(市場予想0.49ドル)
フリーキャッシュフロー:48億3,000万ドル
ポストペイド電話解約率:0.85%(業界最低水準)
通年の結果
2024年通年では売上高1,223億ドル、フリーキャッシュフロー176億ドルを記録しました。モビリティ部門の売上高は655億ドル(前年比+3.5%)と引き続き伸長し、コンシューマーファイバーでは7年連続で年間100万件超の純増を達成。ブロードバンド売上高も7.2%上昇しており、ファイバー領域の拡大が顕著です。
今後の見通しと株価への影響
AT&Tは2025年に向けた目標を再確認し、引き続き安定した売上・EBITDA成長と、年後半の自社株買いを計画しています。こうしたポジティブな見通しを受けて、発表当日は株価が午後の取引で6.6%上昇。投資家からの期待感が高まっています。
2025年EPSガイダンス
同社の2025年EPSガイダンスは1.97~2.07ドルと発表され、ウォール街のコンセンサス2.18ドルをやや下回りました。しかし、ファイバー拡大や5Gの拡大戦略、安定したキャッシュ創出力が引き続き焦点となっており、長期的な価値創造に向けた姿勢が示されています。
GuruFocusの警告
なお、GuruFocusはAT&Tについて7つの警告サインを検出していると伝えています。具体的な内容は明かされていませんが、投資家としては財務リスクなどを確認するきっかけにもなりそうです。
ゴールドマン・サックスによる見解
ゴールドマン・サックスのアナリスト、ジェームズ・シュナイダー氏は、AT&T株に対して「買い」評価と28ドルの目標株価を維持しました。第4四半期の結果については、以下のような指摘を行っています。
決算数値のポイント
売上高:323億ドル(シュナイダー氏予想322億ドル、市場予想321億ドル)
調整後EBITDA:107億9,000万ドル(シュナイダー氏予想109億4,000万ドル、市場予想108億3,000万ドル)
フリーキャッシュフロー:48億3,000万ドル(シュナイダー氏予想47億ドル、市場予想48億ドル)
無線サービス売上高:165億6,000万ドル(市場予想165億3,000万ドル)
ポストペイド電話純増:+48万2,000件(シュナイダー氏予想+44万6,000件、市場予想+42万5,000件)
ファイバーとブロードバンドの拡大
ファイバー純増:+30万7,000件(シュナイダー氏予想+24万5,000件、市場予想+25万9,000件)
インターネットAir(Fixed Wireless Access)純増:+15万8,000件(市場予想+13万4,000件)
こうした契約者数の増加は、ワイヤレスやファイバーを中心としたAT&Tのビジネス戦略が順調に機能していることを示唆しており、ゴールドマン・サックスは同社のファンダメンタルズが「デリスクされた(リスクが軽減された)」と評価しています。
投資家視点で捉えるポイント
1. 安定したキャッシュ創出力
2024年のフリーキャッシュフローは前年を上回る176億ドルとなり、投資や株主還元へ回せる余力があることを示しています。2025年以降のガイダンスでもフリーキャッシュフローは「160億ドル以上」とされ、財務体質の安定感が魅力です。
2. ファイバーと5Gの成長余地
コンシューマーファイバーは7年連続で年間100万件超の純増を達成し、ブロードバンド売上高も堅調に推移。5G拡大に対する需要は高く、今後も契約者数の増加が見込まれます。業界最低水準の解約率を維持している点も、顧客基盤の安定を示す好材料です。
3. 2025年ガイダンスの注目点
EPS:1.97~2.07ドル(市場予想2.18ドルを下回る)
ワイヤレスサービス売上高:2~3%増(上限寄りとの見通し)
ファイバーブロードバンド売上高:2ケタ半ばの成長を見込む
自社株買い:2025年後半に実施計画
ウォール街の予想よりEPSガイダンスが低い点は懸念材料とされるものの、配当や株主還元に期待する投資家には魅力的な要素が多いといえます。
まとめ
AT&Tは第4四半期の好調な決算発表とともに、ファイバーや5G戦略の成果を示し、投資家の期待を高めています。株価が一時6.6%上昇した背景には、堅調な契約者数の拡大や安定したキャッシュ創出力が評価されていることがうかがえます。2025年のEPSガイダンスは市場予想を下回るものの、ファンダメンタルズのリスクは抑えられていると指摘され、長期的な成長軌道は依然として明るいと見る向きも少なくありません。引き続きファイバーの導入拡大や5Gの展開に注目しつつ、投資家は同社のキャッシュフローや株主還元策をしっかりと見極める必要があるでしょう。