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Broadcom株、AI市場での「莫大な」機会を背景に急騰

Broadcom株(AVGO)は、最新の決算発表と経営陣による今後のAIチップ分野の成長性に関する強気な見解を受け、金曜日に20%以上上昇し、年初来で約98%の伸びを記録しました。同社CEOのホック・タン氏は、既存の3つのハイパースケーラー顧客から、向こう3年間で600億~900億ドルの収益をAI向けカスタムチップ事業で見込んでいることを強調し、同社株価は過去最高値となる221ドルへと上昇。時価総額は1兆ドル超えを達成しました。



BroadcomのAIチップ戦略と顧客基盤

BroadcomはカスタムAIチップ(XPU)を通じ、2025年までに3つの既存ハイパースケーラー顧客による100万クラスターの導入を見込んでいます。また、新たに2社のハイパースケーラー顧客を獲得しており、これら顧客の次世代XPU開発が進行中です。メディア報道によれば、これらの新規顧客はOpenAIやApple(AAPL)である可能性が示唆されています。

AIチップ市場の特需

AI関連分野での需要拡大は顕著で、BroadcomのAIチップ売上は前年比150%増の37億ドルに達しました。一方で非AI半導体事業は23%減少しており、同社の成長エンジンがAI分野へとシフトしていることが明らかです。

AIチップ市場の拡大見通し

業界全体でもAIチップ需要は高まりを見せ、2025年にはAIチップ市場が74%拡大するとされています。一方、半導体全体の成長率は12%に留まり、長期的にもAI向け半導体が市場全体を上回る成長ペースを維持するとの予測が出ています。


他社動向とBroadcomの立ち位置

Appleは、コスト削減とNvidia(NVDA)への依存度軽減を目指しAI用サーバーチップを自社開発中とされ、Broadcomと連携しているとの報道があります。同様にOpenAIも自社チップ開発を進めていると伝えられ、こうした動きがBroadcomのビジネス機会を拡大しています。また、BroadcomはMicrosoft(MSFT)やGoogle(GOOG)とのエンタープライズ向けソフトウェア領域でも提携を強化し、多面的な成長余地を確保しています。


投資家視点で捉えるポイント

BroadcomはAIインフラ需要を背景に、高収益かつ持続的な成長が期待される事業領域へシフトしています。ただし、アナリストの中には現在の株価水準が2025年度予想PER33倍と割高と捉え、慎重な目を向ける声もあります。一方で、アナリストによる目標株価引き上げや楽観的な評価も見られます。

成長ポテンシャル

  • AIチップ需要の継続的増加

  • ハイパースケーラー顧客による大規模投資

  • 非AI部門からのシフトによる収益構造の強化

リスクと注意点

  • 株価水準の高さによるバリュエーションリスク

  • ハイパースケーラー顧客の投資ペース維持不透明性

  • AI技術の収益化タイミングが各社で未確定


まとめ

BroadcomはAI関連チップ事業を通じ、市場全体を上回る成長ポテンシャルを明確に打ち出しています。既存および新規ハイパースケーラー顧客の開発案件、業界全体でのAIシフトによる需要拡大が追い風となる一方、株価バリュエーションや市場環境の変化には慎重な目線が必要です。投資家にとって、AI関連分野でのBroadcomの強みと潜在的なリスクを見極めることが重要となるでしょう。

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