アンガーマネージメントを学びました

私は日本アンガーマネージメント協会のアンガーマネージメントファシリテーターと言う資格を持っています。一部の講習会を開くことが出来る資格ですが、一度も講習会を開いたことがありません(^^)。

アンガーマネージメントについては他に詳しい方がおられると思うので、ネットで調べて戴くこととして、一番理解していただきたいことの一つは、怒りの原因は自分の中にある「○○すべき」とか「○○すべきでない」という考えであると言うことです。英語ではcore beliefと言います。そして、これは自分の中では絶対的に正しいのですが、同じcore beliefが相手にもあるとは限りません。そこを理解することが怒りをコントロールすることの第一歩です。自分の中にあるのですから、自分でコントロールできるはずです。

私がファシリテーターの講習を受けた時には、確か8人のグループを作り、その中で「目玉焼きに○○をかける」という事が受け入れられるか?つまり、(1)自分もそうする、(2)しないけど許容できる、(3)自分はしないし、他人がやっていても絶対許せないの3つのどれかを、8人が一斉に示すと言うグループワークをしました。例えば、「目玉焼きには醤油をかけるべきである」と言うコアビリーフについてどう思うか?と言う事を示します。私は目玉焼きは醤油なので当然(1)を示しましたが、(3)を示す人もいました。たった8人しかいないのに、こしょうやソース、マヨネーズやマスタード、わさびとケチャップとか、どれをやっても必ず(1)の「自分もそうする」や(3)の「絶対に許せない」を示す人がいました。

どんなに多くの人が正しい、そうすべきだと思っていることでも、絶対にそれは許せないという人がいるのです。逆にこんなの絶対あかんやろと思っても、うんうん、絶対賛成!と言う人がいます。

遅刻に関しても、連絡さえあれば遅刻しても良いと言う人もいれば(以前の勤務先では夕方になっても良いので出勤すれば良いという人がいました)、約束の時間の30分前に集合していないと怒る人もいます。大学生の時の麻酔科の研修では、手術開始時間の30分前が集合時間でした。が、30分前に集合しても特に色々教えてくれるとか何かあるわけではなく、一体何なんだと思っていましたが、今思えば、まあ、そう言うコアビリーフを持っていたんだなと思います。早く着いてやることがなければ、教科書でも読んだり、同じグループのメンバーで雑談していれば良いわけですし。

それから、その講習会の時に別の体験をしました。これは講習に組み込まれていたことではありません。私が偶然体験したことで、とても良い経験をさせてもらったと思います。

一日目の朝受付を済ませて席に着きます。確か6人グループを作ったのですが、グループは決められておらず、自由席だと言われましたので、一番前の席に座りました。そこにはすでに一人男性がおられたので、「おはようございます」とその人の背中から声をかけてあいさつしたところ、その方は微動だにしませんでした。私の声が小さくて聞こえなかったのかなと思って、再度おはようございますと言いましたが、やはり微動だにしません。私はつい、イラッとしてしまいました。「あいさつをされたら、あいさつは返すべきである」というコアビリーフが私の中にあったわけです。他にも「こう言ったアンガーマネージメントという事を人に教えようという意欲のある人ならば、逆に向こうからあいさつすべきである」と言うコアビリーフもあったかも知れません。

しかし、その方は何と聴覚障害のある方だったのです。聞こえないのですから、あいさつを返すことは出来ません。すごくすごく反省しました。つまりは、コアビリーフは、そこまで考えなければならないという事です。「あいさつをされても、聞こえていなければ、あいさつを返す必要はない」みたいに。

そして、職場などでも、自分が何か言って反応がなかった場合には、聞こえていない、聞こえても意味が分からなかった、質問しようにも私が怖くて質問できなかったと考えるようにしています。何しろ、私がこう言ったのに何で出来ないのか?等と言ってもほとんど意味がないです。聞こえていなかったら、いや聞いてないしとイヤな思いをさせるだけですし、もしかしたら言ってなかったかも知れませんし(私もそろそろ記憶力に限界が、、、、、、)。意味が分からなければ、質問すべきだと思っても、私が怖ければ質問できません(私は顔が怖いと良く言われますので(^^))。

例えば、医師はカルテに事前指示みたいな物を入れます。前の病院では「指示簿」と言っていましたし、今の病院では「特指示」と言われたり、電子カルテには「医師看護指示」という項目があります。そこに、「Aさんは痛みを訴えたらイタミキエール錠(架空の薬です。小林製薬が出してそうな名前ですが)46mgを1錠内服、6時間空ければ再投与可能」と書いておいても、夜中の3時に「K先生ですか?昨日の21時にイタミキエール錠を内服しているのですが、今また痛いと言われているので、再度飲んでもらっていいでしょうか?」等と看護師Bさんから電話がかかってくることがあります。以前は、「特指示に6時間空ければ使用可能と書いてあるんだからいいに決まってるでしょ。今何時だと思ってるの!」とか言っていましたが、今は以下のように思います。

・特指示を見るという認識がこの人にはもともとないんだろう。「患者さんの状態に変化があった場合、まず特指示に指示が入っていないか確認すべきである」というコアビリーフは私だけのものなんだろう。
・そもそも特指示を入れない医師もいるので、どうせ入っていないと思って見ていないのかも知れない。「特指示を入れるべきなのに、入れていない医師が多いから診る必要はない」と思っているのかも知れない。
・何か他の変化があって、再度痛み止めを飲ますだけで良いのか聞きたかったのかも知れない。相手には「特指示があっても、何か不安な要素があれば、どんな夜中でも医師に確認すべきである」というコアビリーフがあったのかも知れない。そして私の声のトーンで、言いたいことが言えなかったのかも知れない。
・いや、急に僕の声が聞きたくなったんだろう。モテる男は辛いな。私は声が良いと良く言われます。「声だけですよね」とよく言い返しています。嫌なヤツ。相手はそうに決まってるやろ!と思っているかも知れませんが、たいてい、「声も」と言い直してくれます。みんな良い人。

と言う事で、結局「イタミキエール錠46mgを1錠内服いいですよ」と言えば良いだけの話です。そのまま又良い夢を見られるでしょう。あるいは、「他に何か心配な変化などがあるのですか?」と聞けば良いです。最後に「夜勤お疲れ様です。今度食事でもどうですか?」と言えば、セクハラで院長から呼び出されるかも知れませんね。

最後に練習も兼ねて乃木坂46の名曲の動画を是非。センターの西野七瀬さんは、聴覚障害者の役を演じています。呼びかけても反応がないので、白石さんは黒石さんになりかけていますね(45秒ぐらい。意味が分かる人だけ分かれば良いです)。聞こえないのですから、反応できなくて当たり前です。

どうでも良いことですが、この曲の動画是非Apple Musicにもあるので全部ご覧ください。私は涙が出てBUN/Cr比が46ぐらいになりそうでした。主題歌となっている映画「心が叫びたがってるんだ。」もなかなか良い映画ですので、是非。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?