読書の記録#1 番号は謎

番号は謎(新潮新書) 佐藤健太郎(著)

基本的には解説文

内容としては、様々な番号についての付与された経緯や意味、意義、現在の使われ方といったことを全22項目について解説している本。
調査した内容が書かれており、筆者の意見・推測も若干はあるものの、事実に基づいた内容が大半である。(なので、こういう経緯のようなのだけれどはっきりとしたスタートは分からなかった、というような内容もある)
様々な番号について調査・深掘りしているレポートを読んでいる感覚、というのが近いかもしれない。

「新潮45」誌に連載していた内容に加筆修正を加えまとめた本であり、連載物としてみるとかなり独特なテーマ(縛りが「番号」だけなので後述の通りかなり幅広)。連載当初のウケがどうだったのか非常に気になる。個人的には間違いなく好きなタイプのコラムだが。

たしかに気になったことある

言われてみれば、気になったことあるなという内容が多かった。
例えば、
・郵便番号ってなんで秋田とかはめっちゃ若い番号なのに山形とか新潟とかって大きな番号なの??っていうか日本海側の番号大きくない???
・地番と住居表示が噛み合ってないの面倒すぎない???
といったことは、これまでの人生で気になっていたが、この辺の内容は経緯・理由を含めて記載されている。
ジャンルとしても幅広く、こういった場所系のものもあれば、背番号が中心のスポーツ系、鉄道や道路にまつわる番号(国道〇〇号とか)のインフラ系、本が分類される番号等の出版系、型番やバージョンといったコンピューター系、最近話題のマイナンバー…といった具合である。(先述の通り22項目あり、他にも多数)
大半は馴染みのある番号や、馴染みのあるものに付いている馴染みのない番号についてであり、身近なテーマを取り扱っている面白さを感じた。
本人も著作内で言及している通り、意外と番号を取り扱った著書というのは少なく、ジャンルが幅広いこともあり、数字アレルギーで無ければ1つは心に引っ掛かるテーマがあるのではないかと感じた。

ざっくり感想

自分自身は大学時代統計学のゼミに入る等、数字アレルギーどころか数字大好き人間であり、数字を並べるのも大好きな人間なので「番号」は魅力的であり、集計・管理する上で非常に有効なものであると考えている。
スポーツ好きという観点でも、例えば熱烈に好きなフィギュアスケートを取っても「ジャンプの回転数」「スピン・ステップのレベル」「スピンの回転数・ポジションの数」「ショート・フリーそれぞれの演技時間」「技術点・演技構成点・総合点」といった辺りは観ながら気にしてしまうが、これらは数字が絡んでいる。芸術要素の強いフィギュアスケートですら、数字に大きく支配されている側面がある(「優劣をつけるため」というある種の管理目的・同じ目線を持たせる目的がそこには介在しているが)。
同じく大好きなプロ野球は数字だらけで、本著の項目にある背番号以外でも、「打率」「本塁打数」「打点」の3つで1位とれば三冠王と言われる3要素は全て数字だし、近年打者としての有能さを図る指標の1つとして見る機会の多くなったOPSや、守備力を図る指標のUZRといったものも全て数字である。私自身、大学3年の時に仲間と共著で作成した論文はプロ野球がテーマだった。(その時は年俸をテーマにしていた。尚、卒論はフィギュアスケートを題材にしている。別にスポーツ系の学部ではないのだがやりたい放題やらせていただいた。)
要は、スポーツを好きなはずが数字とは切っても切り離せない関係なのである。数字は面白い、という発想から本著に興味を抱いた。

尚、本著のテーマは「番号」であり、数字よりも小分類(そこには管理・序列といった要因が加わる)だが、だからこそ「目的」「経緯」が色濃くある面白さを感じられた。打率はチーム内でも同じ打率があって違和感無いが、背番号は個人を特定できなければいけないので被りは無い、といった具合だ。
なぜ管理する必要があったのか、なぜ形を変えたのか(例えば郵便番号が桁数がどんどん増えていること等)、といったドラマを事実の羅列から感じられるのが本著の最も面白いポイントであると思った。
数字に興味があれば、大変おすすめの1冊である。

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