新刊先行公開第2章「まずは”図式”として理解しやすい政治的課題における”メタ正義感覚”について考えてみる。」

倉本圭造の5年ぶり新刊、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」の先行公開note、第2章のぶんです。

「はじめに」のページでも話をした「メタ正義感覚」的な解決方法について、まずは図式としてわかりやすい「政治的」な問題を例にとりながら、「脱原発問題」や「再分配問題」など、果てしなく紛糾して罵り合いになるだけで何も実効的な手が打てない状況に陥りがちな課題について、どういう風に議論していけばいいかを考えてみます。

日本に限らず人類社会全体の「今」の問題として、「社会に変革を求める」側の勢力がちゃんと相互コミュニケーションを取って「自分たちのアイデアを現実と合わせてブラッシュアップする」ようなプロセスが沈黙してしまっていることがあります。

「アベ」とか「トランプ」とか、欧州で不気味に議席を伸ばし続ける過激右派勢力とか、そういう「敵」に対して私たちリベラルな精神を大事にしたい人間が「本当に勝利」するためには、彼らの「ダメなところ」を批判するだけじゃなくて、「彼らを人類社会が現状必要としてしまっている根本原因」の方を、私たちリベラル人間の理想を曲げない形で、形にしていく必要がある。

でも最近、「どっちの派閥」も自分たちが被害者だと思っていて、右の人たちは「この世界がおかしくなってるのは朝日新聞が、ニューヨーク・タイムズが、ガーディアンその他リベラルメディアが全部悪い」って言い続けてるし、左の人は「アベ・トランプ・その他右翼」さえいなくなれば世界の問題はすべて解決すると思っているし・・・・みたいなことになってますよね?

もちろんファシズム的な「右の暴走」もダメだけど、20世紀の中国やカンボジアで起きたように、今ベネズエラで現在進行形でひどいことになっているように、「左の暴走」だって同じぐらいか時にそれ以上にヒドい結果に陥るというのは人類の歴史をちゃんと見れば当たり前の教訓であるはずです。

この「歴史問題の鏡映対称性」みたいなものを考えれば、右の暴走を止めるには、左だって自分たちの暴走に対してフィードバックをかける自制心が等しく必要になってくるという、当たり前の結論に達することができますね?

これはそんな大げさな話ではなくて、私たちリベラルが本当に一度や二度の偶然な勝利でなく本当に完膚なきまでに「アベやトランプその他」的な勢力に勝利するには、まず「自分たちの側の独善性」をいかに克服できるかにかかっているんですね。

2−1滑走路と飛行

そのためには、この図↑(クリックで拡大します)のように、「社会問題をちゃんと共有化する」までのフェーズと、その先でちゃんと「現実的に解決する」フェーズにおいてやり方を変える必要がある。この両者の適切な役割分担を実現することによってのみ、リベラルは本当の意味で「アベやトランプやその他」勢力を「克服」することができるようになる。

これは、別の言い方をするとこんな感じです。↓

2−2新幹線と山手線

こういう「新幹線言論」と「山手線言論」みたいなのがあった時に、普通にしてるとこの両者は果てしなく仲悪くなっちゃうんですが、そこに「あるべき連携」を取り戻すことが今必要なことなんですね。

落選してしまって縁が切れてしまったんですが、こないだまで私の「文通」のクライアントに野党国会議員の人がいて、彼が仲間とまとめていた「脱原発プラン」っていうのは、実際PDFで送ってもらうまで存在を知りませんでしたけど、実際に読んだら脱原発するとしたらどういう投資が必要なのか、かなり微に入り細に入り検討してあって、「おお、こういうのだよこういうの!野党もちゃんとやってるじゃん」と思ったりしました。

でも普通にニュース見ててもそんな存在は全然出てこないというか、むしろそのペーパー自体も、さっき貼った図の漫画みたいに「そんなものは妥協だ!この反動分子め!権力者の犬め!」みたいな感じになって党内でも排除されてしまった。(結果としてその党はバラバラに分解してしまい・・・その後はほんの1割程度の野党支持率を巡って果てしなく内乱を続けているのはみなさんのご存知のとおりです)

「こういう話」をすると常にネットでメチャクチャ攻撃されて、「さっさと死ね」とかメールが来たりするんですけど、なにもアベに妥協して膝を屈しろとかそういう話をしてるんじゃないんですよ。自分たちが妥協したくない本当の理想は曲げなくていい。

けど、自分たちリベラル側の内部で、ちゃんと「積み上げて具体的方策を考えている勢力」を、リベラル勢力がちゃんと持ち上げていって、果てしなく政権の揚げ足取り的な陰謀論に盛り上がっている人たちを置き換えられるようにしないと、本当に「アベやトランプ」を倒せるわけがないですよね?

「脱原発」みたいな争点が明確な問題ですらそうなんだから、「みんなで豊かになる社会」にとって重要な「再分配政策」にしろ、国際関係の問題にしろ、こういう「リベラル側の進歩」がないと、果てしなく現状追認で高圧的なことをやり続けるしかない状況に、私たちリベラル側によって「社会を追い込んで」しまっている現状はどうしてもある。

とはいえ、「自浄作用」が必要だ・・・みたいな「お道徳」的な話って、歴史的に意味があったことがあるか?みたいな悲観的な気持ちになってしまいますけど、本書では今の「果てしなく内輪もめがはじまる」状況自体をそのまま加速させてゆくことで、コンセンサスを得やすい言論のパターン自体を大きく変えていく自然な「革命」のプロセスについて深く考察して書いてあります。

果てしなく原理主義的な右や原理主義的な左の意見を貫きたい人にはそうしてもらえばいいというかそうしてもらうしかない。しかしそれを続けると右も左も内ゲバが始まって果てしなく内輪もめが始まるので、その先に本当の「メタ正義的コンセンサス」を安定的に生み出せる状況に持っていくことは可能になるでしょう。

だから、この文章に「反感」を持つあなたは、さらに原理主義的な方向で陰謀論なりヘイトなり何なり振り回してくれたらと思っています。「左」の人が果てしなく無責任な陰謀論で騒げば騒ぐほど、身の回りのほんのちょっとの人数だけが熱狂して「普通」の人の支持が遠ざかっていく・・・という状況がさらに加速するだけですからね。(もちろんこれは右の人にも言えて、本来のあなたがたの理想とは関係ない、近隣民族へのヘイトスピーチなんかを過激化させればさせるほど、その立場は危うくなっていくでしょう)

この自由主義世界においては、他人に無理やり言うことを聞かせるなんてことはできません。ならばその状況を利用して果てしなく「個」に人々が目覚めていくプロセスの中で、右も左も過激派内部での内ゲバが始まるように持っていき、結果として社会全体のコンセンサスの得られやすい均衡点を「メタ正義的なもの」へと誘導していくことが必要なのです。


第2章では、だいたいそういう感じの、「社会全体の政治的課題」といったレベルでの「メタ正義感覚」をどうやって私たちが具現化していけばいいのか・・という話になっています。

単に「自浄作用」とか、「努力して身につけよう」という話ではなく、果てしなく「個」に目覚めて両端が過激化していく流れをさらに加速させることで、「両者の不可避の内ゲバが始まる」ことを利用して社会全体の均衡点をシフトさせる・・・そういう「革命のプロセス」について描くことができていると思います。

こういう指摘は、マーク・リラのこの本などアメリカのリベラル最前線においても定期的に批判として提出されており、単なる日本国内にとどまらない全世界的に「今」な課題としてあります。

しかし、アメリカ国内では「個人の意見の絶対化のエネルギー」が激しすぎてなかなかこういう「メタ正義的均衡点」を社会の中に見出すことができずにいる。日本がそこで果たせる使命は大きいだろうと思っています。

それらと関連して、第2章と第3章との間のコラムでは、いわゆる「MMT」問題とか、国の借金についてどう考えるべきか・・・について、編集の人に「色んな人の意見を聞いたけどこんなわかりやすい話ははじめてだった」と言われた視点で、「メタ正義的」な解決の方向性について書いてあります。

では以下本文。読みやすいように分割掲載してありますが、だいぶんお安くなりますので、ぜひ一冊分まるごとの「マガジン」形式で購入いただければと思います。


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最新刊『「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか?』先行note公開中!原生林のような豊かでタフな経済の実現を目指す、経営コンサルタント・経済思想家。著書に『日本がアメリカに勝つ方法』『21世紀の薩長同盟を結べ』。
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