お祈りすること、念じること、願うこと

お祓いしてもらうことになった

我が家は、昨年末から良くないことが続いている。
私は会社を辞め、次の仕事が決まらない。娘はコロナに感染し、まだ後遺症から抜けきれないでいる。母は歩道で転んで顔を怪我、一時は目のあたりが腫れてお岩さんみたいだった。妻は初詣の時に引いたおみくじが「凶」。先日はワンコも急に元気がなくなり病院に連れていった。
妻から「パパは絶対運気がさがっている。お祓いしてもらって。お願いだから。」と迫られた。
個人的には、そういうのってうさんくさいと思っていて、正直嫌だった。
でも、妻から「これは家族のため。ぜったいお祓いして!」と強く言われ、しぶしぶ了承した。
電話予約をして、その日のうちに横須賀市内の神社でお祓いをしてもらうことになった。

お祓いの参列者が集まってきた

お祓い開始は13時から。
定刻より少し前に神社に到着し、受付後待合室で待機。
同じ時間にお祓いを受けるであろう方たちがばらばらと集まってきた。
一番最初に来ていたのは70過ぎのご夫婦。
受付のとき、車のお祓いもあると言っていた。その方かな?
生まれて間もない赤ちゃんを抱いたご夫婦とそのお連れが入ってきた。
なんでもない待合室が一気に柔らかい雰囲気になる。
あとから数名が来て、受付している。
受付が終わった方から本堂に移動するよう言われた。

本堂は、明るめの木に囲まれた空間。
少し寒いが、すっきりした気持ちの良さを感じた。
全員が本堂に入り、着席すると氏名と何のお祓いなのかの確認がされた。
70過ぎのご夫婦は、お孫さんの高校受験合格祈願だったよう。
お孫さんのことをずっと見守ってらっしゃるんだな。
それから車2台お祓いの方。無事故のお祈りかな。
赤ちゃんは、出産前にもお祓いを受けていたらしい。無事出産し、今後の成長のお祓い。
ちっちゃくて、かわいい赤ちゃん。
ご両親やみんなに見守られて、ずっと幸せに健やかに育つといいな。まったく関係のない私も自然に思う。
私は前厄、もう一人の方は後厄のお祓い。
この方もなにか不運でも続いているのかな。

それぞれ、いろんな思いをもってここに来ているんだな。
全員の確認がなされ、儀式が始まる。

一心に祈る、念じる、強く願う

神主さん(でいいのかな)の方が、文言を唱えながら儀式が進む。
よくわからないところはあるが、朗々とした声が心地よい。
わりと前半で、大麻(「おおぬさ」というらしい。木にいっぱい紙がついた棒)を頭の上で振って、お祓いをしてもらう。
ああ、なんか気持ちいい。
鈴を頭の上でじゃらじゃら鳴らす場面もあった。
鈴の音も良かった。

後半になり、二礼二拍手一礼の正しいやり方説明があった。
二拍手のあと、しばらく時間を置くので一心にお祈りしてくださいと言われた。
私は、何をお祈りすればいいのかわからず、とまどってしまった。
迷っているうちに、お祈りのタイミングが来てしまい、形だけで心のこもらない動作だけをした。
そういえば、今年の初詣も同じだった。
妻は、一心にお祈りしたんだろうな、と思った。
その他の参列者も、それぞれの思いでお折りしたんだろうな、と思った。
高校受験合格のお祈りが届けばいいな、赤ちゃんが幸せに育てほしいな、とちょっとだけ思った。
それで、少し幸せな気分になった。

すべての儀式がおわった。
気持ちいい時間を過ごせたと思う。
妻はおみくじを引き、今度は「大吉」で喜んでいた。
お守りを買い、御朱印をもらって大満足。
「ね、来てよかったでしょ。」と。
確かに来てみらた、良かった。
素直にそう思った。
妻に感謝したい。

一心に祈ること、念じること、強く願うこと。
今の自分にはこれができない。
いろんな情報を浴び、まとまらない考えや欲望がたくさんある。
損得、利便性、効率性、口コミ、プライド、過去の経験からくるこだわり、聞きかじりの知識、などなど。
そんなものがいつも頭の中をぐるぐる巡っている。
方向性がない。

一心に祈る、念じる、強く願うって、どうやるんだっけ。
あれもこれもじゃないんだろうな。
いくつかの大切なこと。
大切なことを、大切に思い、大切にし、日々生活をする。
それが幸福感につながるんだろう。
そう思った。


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