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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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#カウンセリング

家族関係と役割:家族たちの相互の結びつきと機能

家族とは、その中に病人やケアラーを含まなくても、関係性やコミュニケーションが大事です。 何故大事なのでしょうか。 家族が相互に結び付きあい、役割を果たすためにはどんな要素が必要で、毎日の生活で何が出来るでしょうか。 1.家族同士は依存し合って生活している依存というとあまり良くないイメージかもしれませんが、ここでは「お互いが影響し合っている」ことを指します。 例えば夫婦は、こどもにとっての両親です。母⇔子の直接的な影響だけでなく、母(妻)・父(夫)同士がどのように影響し合って

ケアラーが陥りやすい認知の歪み

認知の歪みとは「思い込み」「思考の癖」「バイアス」等と言い換えることが出来ます。無意識にやってしまっている自分の考え方の中で、特に偏ってしまっているために自分のストレス源になっているような物の見方です。 ほとんどは10通りに分けることが出来ます。 その中で特に「ケアラーを悩ませやすい認知の歪み」と、その対処方法を考えました。 1.一般化のし過ぎです。 メンタルの病気の症状が表面化するときは、慣れていない人がびっくりしてしまうような状況が起きます。 突然「会社に行けない」

家族が出来ること・出来ないこと

家族員の誰かがうつ病のような精神疾患になると、他の家族には突然役割が急増します。 そして「家族だから」という呪文によって、周囲から色んな要求を突き付けられます。 しかし、家族だけで何もかも賄えるものではありません。 家族が病気になったとき、同居家族が出来ること・出来ないことを仕分けることが重要です。 1.「必要なこと」を4カテゴリに分ける生活上・将来への備えも含めて、必要なことは山ほどあります。 しかしその全てが本人または同居家族だけでこなさなければいけないわけではありま

「うつ病だから」と言われたら

うつ病に限らず、メンタルの病気を患っている人とは基本的にケンカはしないほうがいいでしょう。症状が悪化したり再燃する可能性が高いです。 そして、話し合い、言い合い、ケンカになってしまったとき「(こっちは)うつ病だから」と言われたら、そうでない側は黙るしかなくなります。 うつ病だから、と言われたとき、家族は、周囲はどうとらえ、どう対処すればいいでしょうか。 1.うつ病相手でもケンカになってしまうことはあるケンカをしないに越したことないのは、うつ病関係なく誰が相手でも同じです。

うつ病のタブーとどう向き合うか

うつ病の人との接し方にはいくつかポイントがあります。厚生労働省のHPをはじめ「うつ病の人には○○をしないようにしましょう」という情報はたくさん発信されています。 どれも大切なことですが、家族がそれを字義どおりに受け取って実行しようとすると、生活が回らなくなる恐れがあります。 家族は、うつ病のタブーとどう向き合っていけばいいでしょうか。 【1】『はげまさない』→回復度によるずっと踏ん張り続けた挙句にうつ病になった人に、むやみに「頑張れ」と言うのは確かに危険です。 頑張り過ぎた

「負けるが勝ち」のうつ家族生活

負けるが勝ち、ということわざがありますが、うつ病の人と暮らしているとこれがしょっちゅう頭をよぎります。 うつ病家族の心得として、どんな時に適用できるでしょうか。 1.ことわざの意味うつ病の人と家族がケンカになったと想定します。 その時、うつ病の「人」に「勝った」と思っても、実はそのあとが怖い。 ケンカや勝負の内容にもよりますが、 症状の再燃、悪化 家族間の関係悪化 うつ病の療養放棄 につながりかねません。モチベーションややる気がガクンと落ちてしまうせいだと思います。

家族のうつが再発した→どうする?

一旦落ち着いたかに見えたうつ病の症状が再発することは、珍しくありません。 もしかして再発?!となった時、家族はどのように対処すればいいでしょうか。 1.春先からゴールデンウィーク明けまでは要注意春先から大型連休明けくらいまでは、天気や気温の変動が大きいのと併せてメンタルヘルスも上下しやすい期間です。 うつ病の経験がある人はなおさら、再発のリスクが高まります。 季節だけでなく社会環境の変化の影響もあるでしょう。 気候が安定しないと、自律神経のバランスが崩れます。そのせいで睡

うつの看病と自分の仕事の両立

うつ病になった家族と生活するとは、つまり「うつ病の人を看病しながら生活する」と言うことですよね。 身体介護が必要なケースは稀だと思いますが、状態が常に気になる、という点は他の病気と同じです。 更にうつ病(その他精神疾患含む)の看病をしながら自分の仕事と両立させるには、どうすればいいでしょうか。 1.うつ病以前との違い①「ちょっとお願い」が出来なくなる 夫婦共に仕事をしていれば、業務上の不測の事態は起こり得ます。 急な残業、出張などで、いつも通り帰宅出来なかったり休日にい

家族のうつから得られるものとは? ③うつ病家族の成長

家族がうつになった時の家族の心の変化と、経験の先にある「心的外傷後成長」とは何か、について、考えてきました。 今回はそのまとめとして、 心的外傷後成長に到達すると、どのような心境の変化があるのか その為に出来る取り組みは何か について、お話したいと思います。 1.心的外傷後成長の「4つの成長領域」心的外傷後成長で、どのように心が成長したか、を図る基準が4つあります。 ①他者との関係 家族のうつ病を通じて、他者との関係にポジティブで前向きな変化が起きることがありま

家族のうつから得られるものとは? ②心的外傷後成長

前回は「家族のうつ生活から得られるもの ①心の動きと回避したいもの」というコラムで、家族がうつ病になった時、多くの家族が辿るだろう心の動きについて考察しました。 色んな体験や周囲の意見、自分の中の葛藤を経て現状に適応したとして、その適応が薄氷の上にあるなら、何かの拍子でまた元の不安定に戻ってしまったり、「また辛かった時にもどってしまうのでは」という不安に付きまとわれてしまいます。 家族のうつ病というトラウマ的体験の先に何が得られるのか、を知って、「適応段階」の更に上を見つ

家族のうつから得られるものとは? ①心の動きと回避したいもの

家族がうつ病(その他精神疾患)になる、という状況は、言うまでもなくネガティブでショックな状況です。 病気になった本人は勿論、ほとんどの家族にとっては「青天の霹靂」状態で、パニックになったり事態を恨めしく思ったりするでしょう。 しかし、長い目で、本当に長い期間を経たあとで、その体験から大きく成長するケースがあります。 どんな流れで、どんな要素が揃うと、辛い体験が「心の成長」へ繋がるのか、その為にどんなことが出来るのか、を、考えてみます。 1.家族がうつになった時の、家族側の

家族がうつ病でもメンタルを保つ方法

家族が病気になった。 それはとても重大で深刻な家族の課題です。 病気になった家族を皆で介護・看護しなければいけない。 とはいえ、自分にもやるべきことがあり、心があり、人生があります。 何もかも放り出して献身し続けると、今度は自分が病気になる危険があります。 家族が病気、特にうつ病(精神疾患)になった時、自分のメンタルを保つためにどんな方法があるか、を、考えてみました。 方法①自分を責めない方法、というより、心がまえですね。 病気に限らず、何か喜ばしくない事態が起きた時、「

うつ病家族に必要な〇〇力 -行動力-

うつ家族に必要な力の最後は「行動力」です。 行動する、と聞くと、思考型の型はハードルが高く感じるかもしれません。 しかしここでは、そんな大きな行動ではなく、ごく小さな行為・言動を差します。 では、どんな行動を増やせばいいか、どうやって増やすか、を考えていきましょう。 1.考える<行動する、のメリット①思考・感情より、行動のほうがコントールが楽 例えば、昨夜夫婦喧嘩をした、と仮定します。 「ケンカの原因について考えないようにしよう」とするのと、 「じっとしていると(ケンカ

うつ病家族に必要な〇〇力 -放置力-

うつ家族に必要な力の二つ目は「放置力」です。 放置、というとあまり良くないイメージがあるかもしれませんが、うつ病のリハビリと長期療養期間で家族が潰れないためにはとても重要なスキルです。 では、どんな風に「放置」すればいいか、考えてみましょう。 1.放置=適切な距離を置くこと①心理的距離 大事な家族がうつ病になれば、心配でそのことばかり考えてしまうのは仕方のないことです。 しかし、自分にも生活もあればプライベートも仕事もある。うつ病の家族のことばかり考えていれば、それ以外