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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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#療養生活

家族の理想像の具現化

~ケアラーの役割と共有された目標~ うつ病患者の家族が直面する課題は複雑であり、理想像を描くこと自体が困難な場合があります。 現実の辛さや病気との向き合い方を考えることが先決となります。 回復が最優先事項である一方で、理想像を見据えることは家族の結束と希望を生む大切なステップと言えるでしょう。 現実と理想を結ぶ架け橋としてのアプローチを探り、家族の共有された理想像が生まれるプロセスに焦点を当てて考えました。 1.うつ病患者の家族にとっての理想像とは?理想像を思い描く余裕も

ケアラーに役立つピグマリオン効果

「ピグマリオン効果」と言う言葉をご存じでしょうか。「教師期待効果」とも言います。 人は期待されると少なからず気持ちが前へ向くものです。その心理を活用した教育・コミュニケーションの態度です。 今回は、ケアラーと要支援家族との間で役に立つピグマリオン効果の使い方を考えてみました。 1.ピグマリオン効果とは教育や育成の場で使われることが多い言葉です。 相手に対して効果的な期待を持って接することで、それに沿った成果を出してくれる、と言うものです。 教育、というより、コミュニケー

うつ療養中の過ごし方 ④家族側の心得とQ&A

今回は「うつ療養中の過ごし方」シリーズの最終回です。 うつ療養生活の中で家族の方に覚えておいていただきたいこと、うつ療養についてよくある疑問について考えてみました。 1.うつ療養中の家族側の心得5つ①時間を味方にする 辛い時、しんどい時は、えてして「きっとこれが良くなることなんてない、ずっとこの状態が続くんだ」と思い込んでしまいがちです。 状況が悪いときは思考が硬直化しているので、冷静になって効果的な対策を取ることが出来ません。 でも「なんとかしたい」という気持ちはあるか

うつ療養中の過ごし方 ③うつ療養の現実

「うつ療養中の過ごし方」の第3回は、思うように進まないうつ療養の現実について、家族側の経験も含めてお話したいと思います。 うつ療養は、原則としては というものです。 こうした生活を続けることで、過度な疲労とストレスでぼろぼろになったメンタルは安定していくのは確かでしょう。 しかし、この通り出来れば苦労はないのが現実です。 1.セオリー通り進まない「うつ療養」①ストレスが少ない環境 ストレスと一括りにしますが、要するに生きていく上で感じたり自分の中で生まれたりする各種

うつ療養中の過ごし方 ②家族の役割

前回は「うつ療養生活で必要な条件」について5点考えてみました。 今回は「家族の役割(出来ること)」について、掘り下げてみたいと思います。 「うつ療養に必要な条件5つ」に対して家族が出来ること①通院、服薬 通院は、最初は一人では行きづらい人もいます。 まだ主治医に対して気を許せていないと、何か嫌なこと、自分を傷つけるようなことを言われるのでは、という不安が強かったり、通院する途中で周囲の目が怖かったり、一人だけだとドタキャンしてしまうこともあります。 病院側はそうなる事

家族のうつから得られるものとは? ①心の動きと回避したいもの

家族がうつ病(その他精神疾患)になる、という状況は、言うまでもなくネガティブでショックな状況です。 病気になった本人は勿論、ほとんどの家族にとっては「青天の霹靂」状態で、パニックになったり事態を恨めしく思ったりするでしょう。 しかし、長い目で、本当に長い期間を経たあとで、その体験から大きく成長するケースがあります。 どんな流れで、どんな要素が揃うと、辛い体験が「心の成長」へ繋がるのか、その為にどんなことが出来るのか、を、考えてみます。 1.家族がうつになった時の、家族側の

安心して休養するための3要素

うつ病になるとまず言われることは「ゆっくり休養してください」ということ。医師も、会社も、家族も、友人もそう言ってくれるでしょう。 しかし、言われたからといってすぐに「安心して」休める人などいるでしょうか。 会社で休職の手続きが済んでも、出社しなくて良くなっても、心では会社と同じリズムを刻んでいませんか?もうみんな仕事始めてるな、あのプロジェクトはそろそろ納期だったはずだ、今週の会議は何を話し合ったのだろう、などなど。 これで安心して休養することなど、果たして可能でしょうか。