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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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#メンタルケア

うつ病ケアの落とし穴:家族間で起こるモラハラの原因

モラハラという言葉は一般化して久しいです。自分もされているかも、と思ったことがない方はいないのではないでしょうか。 そして同じくらい不安なのが、自分ももしかしたらモラハラしているかも、という疑念です。 何が「モラハラ」として危険視されるのかがぼんやりとしていると、行為者としても被害者としても気づきづらいです。それが家庭内なら尚更です。 今回は家庭内のモラハラとはどんなものか、予防方法と解決策についてお話します。 1.モラハラの定義①モラハラ(モラルハラスメント)とは何か

スルースキルとは:メンタルケアラーのための心の防御術

メンタルケアラーにとって、ストレスから⾃⾝を守るスルースキルは不可⽋です。 スルースキルには、状況を客観的に捉える力、感情をコントロールする力、自分のニーズを認識し優先させる力が含まれます。 これらの力を身につけることで、メンタルケアラーは自身の精神的健康を維持しながら、家族を支え続けることができます。 しかし、メンタルケアラーがスルースキルを持っていない場合、ストレスが高まり、バーンアウトリスクが高まるだけでなく、家族への支援にも悪影響を与える可能性があります。 ケアラーが

うつ病家族の感情のコントロールの難しさ:理由と対処法

家族に対する感情のコントロール、特にイライラや怒りが収まらない。どう対処すればいいか分からない、という悩みはケアラーあるあるです。 私も対処の仕方が分からず、散々夫と衝突しました。今思えば要らないことをたくさん言っていました。 しかし、イライラする根本は「どうにかして状況を改善したい」という意欲です。それは大事なモチベーションです。 意欲をそぐことなく、家族に対する怒りを和らげるためには「ストレス」「無力感」「自己評価の低下」を防止しましょう。 1.うつ病家族に対する感

共感しすぎて辛い!家族のネガティブ感情への対処法と共感疲労防止のポイント

うつ病家族の落ち込みやネガティブ感情に引きずられて辛い、という経験があるケアラーは多いと思います。 人は他者の感情に無意識に共感します。それが病気の家族であれば尚更です。 共感しすぎは多くのデメリットがあります。共感しないスキルもまた必要です。 家族のネガティブ感情への共感疲労への対抗策は、「課題の分離」「役割の明確化」「キャパシティの再認識」です。 1.近くにいる人に共感しすぎてしまう仕組み扁桃体 扁桃体は、他者からの情報発信の中から、特に感情に関する意味を読み取る役割

家族の相談先の見つけ方

~精神疾患で苦しむ家族への支援ガイド~ 「家族が精神疾患になったことで起きている家族側の悩み」は、一体どこへ相談したらいいのか分からない、という悩みを耳にします。 私もそうでした。思い切って相談しても「家族だから頑張って」でおわってしまったこともあります。その時はそういうものかとも思いました。 ですが今自分が専門家になって、家族側の相談窓口が無いことがどれほどのデメリットか、を痛感しています。 家族目線の相談先も絶対に必要です。 それは公的機関、家族会、家族自身がカウンセリ

<メンタルケアラーが危ない!>燃え尽き症候群と予防対策

「家族のうつ療養生活を支えてきたが、もう疲れた。何もできない」 そう思ってしまうことは少しも不思議ではありません。私もそうでした。 それでも頑張ろうと自分を奮い立たせているのかもしれません。 ですがそれを続けていると、いずれ燃え尽きてしまう恐れがあります。 「燃え尽き症候群」は、頑張った人が壊れてしまうとても悲しい状態です。避けたい事態です。 燃え尽きないためのポイントと予防策を身に着けて、ご自分のこともしっかり守りましょう。 1.頑張るケアラーが燃え尽きてしまう理由①燃

セルフネグレクトとケアラーのリスク

~精神的なセルフネグレクトの理解と予防策~ 「セルフネグレクト」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 ネグレクト、は広まっていますね。主に児童虐待などで育児放棄として問題になる、放置や無視のことです。 それがセルフ、つまり自分へ向いた状態のことです。 セルフネグレクトとは何か、特に精神面でのセルフネグレクトとは、その原因と対策を、ケアラーへのリスク警鐘として考えました。 1.セルフネグレクトとは人は衣食住+睡眠+他者との交流をバランスよく保ちながら生活を営みます。

メンタルケアラーへ10のアドバイス

ー 自分を労りながら家族をサポート ー メンタルケアラーとは、精神疾患の家族を支えてケアする人のことです。 私もメンタルケアラーです。 ご主人や奥様、親御さん、お子さん、ごきょうだいなど、同居家族が精神疾患になったことで様々なストレスや不安、負荷で悩んでいる方はとても多いと思います。 今回は私自身の経験とカウンセラー・精神保健福祉士としての見解を踏まえて、「メンタルケアラーに身につけて欲しい10ヶ条」をお話したいと思います。 その1:体力何はともあれ体力が必要です。 健康

<共感の効果と質問のコツ>

辛い時に共感されると、人間関係はどう変わる? メンタル落ちてるとき、悩んでいるときに、誰かから共感してもらえるとそれだけで気持ちが軽くなったり「何とかなるかもしれない」と前向きに考えられた、という経験は誰でもあると思います。 共感とは、受容と理解と愛情が生む関わり方です。 では、大事な人が辛い時にどのように共感を示せばいいでしょうか。 1.辛い時に共感してもらえるとどうなる?嬉しいのはもちろんですが、それによって自分と相手の関係はその先どう変化していくでしょうか。 ①

ケアラーが陥りやすい認知の歪み

認知の歪みとは「思い込み」「思考の癖」「バイアス」等と言い換えることが出来ます。無意識にやってしまっている自分の考え方の中で、特に偏ってしまっているために自分のストレス源になっているような物の見方です。 ほとんどは10通りに分けることが出来ます。 その中で特に「ケアラーを悩ませやすい認知の歪み」と、その対処方法を考えました。 1.一般化のし過ぎです。 メンタルの病気の症状が表面化するときは、慣れていない人がびっくりしてしまうような状況が起きます。 突然「会社に行けない」

日常レスパイトでケアラーケア

前回は福祉サービスを活用したレスパイトについてご案内しました。 本日は公的サービスの活用以前に、生活の中で出来る「日常レスパイト」について考えてみたいと思います 1.メンタルケアラーにレスパイトが必要な理由身体ケアや日常動作介助が必要な高齢者・身体障害者介護と、うつ病などの精神疾患を患った家族のケアは内容に違いがあります。 精神疾患の場合は以前より出来ないことが増えたとはいえ、トイレや食料摂取、横になったり起き上がったり、着替えなどは本人が可能です。 ではどこでレスパイ

家族が出来ること・出来ないこと

家族員の誰かがうつ病のような精神疾患になると、他の家族には突然役割が急増します。 そして「家族だから」という呪文によって、周囲から色んな要求を突き付けられます。 しかし、家族だけで何もかも賄えるものではありません。 家族が病気になったとき、同居家族が出来ること・出来ないことを仕分けることが重要です。 1.「必要なこと」を4カテゴリに分ける生活上・将来への備えも含めて、必要なことは山ほどあります。 しかしその全てが本人または同居家族だけでこなさなければいけないわけではありま

精神疾患患者の家族の方へ:辛いと言えてますか?

「うつ+家族+役割」でウェブ検索すると、うつ病患者の家族に対して「~してはならない」「~しましょう」のような情報がたくさんヒットします。 しかし、実際に生活していると、本人から攻撃されたり傷つけられることも少なくありません。家族が常に「する側」というわけではないのです。 1.精神疾患は攻撃的になることもあるうつ病に限らず精神疾患を患うと、心も体も不安定になります。 本人もそれを持て余してしまい、時にその「どうにもならなさ」が、一番近くにいる家族への攻撃になることがあります

「うつ病だから」と言われたら

うつ病に限らず、メンタルの病気を患っている人とは基本的にケンカはしないほうがいいでしょう。症状が悪化したり再燃する可能性が高いです。 そして、話し合い、言い合い、ケンカになってしまったとき「(こっちは)うつ病だから」と言われたら、そうでない側は黙るしかなくなります。 うつ病だから、と言われたとき、家族は、周囲はどうとらえ、どう対処すればいいでしょうか。 1.うつ病相手でもケンカになってしまうことはあるケンカをしないに越したことないのは、うつ病関係なく誰が相手でも同じです。