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うつ病家族の知恵袋

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家族がうつ病になると、思いがけない出来事や悩みと次々に直面します。 そんな時どうやって取り組むか、立ち向かうのか、あえて逃げるのか。 経験者+カウンセラー+精神保健福祉士がアドバ…
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2023年8月の記事一覧

ケアラーのセルフケアを考える

家族をケアすることは、家族の役割とはいえ決して楽なことではありません。 けれど一時的だったとしても担わないわけにはいきません。 辛い役割や経験はストレスを生みだします。 ストレスはケアしなければケアラー自身が倒れてしまいます。 ケアラー特有のストレスと、それに対するセルフケアについて考えました。 1.ケアラーのストレス例①生活上のストレス 毎日の生活はどうしたってストレスの連続です。疲れるし、面倒だし、慣れたことだから面白味や新鮮味は薄いし、頑張ったところで誰に褒められ

うつ病夫婦の共倒れ防止策

共倒れ、とは、ケアや介護をする人にとってはとても怖い未来です。 家族内で共倒れしないために、福祉制度や介護保険制度では色んな支援があります。 しかしうつ病夫婦の共倒れ防止策はまだ十分とは言えません。 うつ病になった人を夫婦で支えるとき、共倒れをどのように防止すればいいか、を考えました。 1.何故共倒れしそうになるのかうつ病夫婦の共倒れ問題には、その特徴ゆえのリスクがあると考えています。 ①「夫婦」という関係性 夫婦とは非常に強い繋がりのある関係です。本人たちが感じてい

家族ケアラーが未来のために出来ること

頑張って家族をケアしているのは、今とこれから先の未来のためですよね。 もういい、ここまで、と思うならこんなに頑張らない。 でも疲れちゃうと「何で頑張ってるんだろう」ってわからなくなる時があります。 家族ケアラーが頑張るのは未来のため。 じゃあ、どんな未来のために、今何を頑張るのでしょうか。 1.「どうなるか」<「どうなりたいか」家族が病気など何かを抱えると、「これから私たち家族はどうなっちゃうんだろう」と考えます。 予期していなかった出来事に流されてよく分からない場所に連

家族ケアラーのQOL ~自分の経験から~

QOL、クオリティ・オブ・ライフとは「生活の質」を指す用語で、広まって久しいですね。 どちらかというと医療現場で使われることが多いですが、「生活」の「質」ですから誰にとっても重要なテーマです。 今回は「家族をケアする人(家族ケアラー)のQOL」について考えてみました。 1.OQLの定義「質」をどう評価するか、がポイントだと思います。 世間一般的に「質の高い生活」と解釈すると急につまんない概念になってしまいます。 上記の定義にあるように「どれだけ人間らしい生活や自分らしい生

うつ病と家族のかたち

家族の誰かがうつ病になれば、その本人だけではなく家族全員の生活が変わります。そして家族内での役割も変わるでしょう。 うつ病(その他精神疾患)と家族が作る「これからの家族のかたち」とは、どんなものでしょうか。 1.精神疾患が増えた?平成29年の統計ですが、入院・通院含めて精神疾患を有する人の人数は約420万人でした(厚生労働省)。人口を1億2千万人とすると3.5%です。病院に繋がっている人だけの人数ですから、「もしかしたら」と思いながら未受診でいる人も含めるともっと多いでしょ

日常レスパイトでケアラーケア

前回は福祉サービスを活用したレスパイトについてご案内しました。 本日は公的サービスの活用以前に、生活の中で出来る「日常レスパイト」について考えてみたいと思います 1.メンタルケアラーにレスパイトが必要な理由身体ケアや日常動作介助が必要な高齢者・身体障害者介護と、うつ病などの精神疾患を患った家族のケアは内容に違いがあります。 精神疾患の場合は以前より出来ないことが増えたとはいえ、トイレや食料摂取、横になったり起き上がったり、着替えなどは本人が可能です。 ではどこでレスパイ

うつ病夫婦のコミュニケーション不足

自分、あるいはパートナーがうつ病になった夫婦は、コミュニケーション不足になりがちです。 それは当然のことです。 うつ病の大きな症状は、気分の落ち込み・意欲の低下・思考の偏りですから、以前と同じコミュニケーションが取れなくなってしまうのです。 かといってそのままにも出来ないですよね。 どういう対処をすればいいでしょうか。 Q1:うつ病の人に言ってはいけない言葉はなんでしょうか?よく言われるのは「頑張れは禁句」ですが、それほど単純な話ではありません。 良かれと思って言った言葉