国内総生産/GDP

ここはとても、とても大事な部分です。「国内総生産」という言葉の意味するところを、しっかりと理解しましょう。


国内総生産と、三面等価の原則

所得創出プロセスにおいて、財やサービスを生み出す力のことを「経済力」と呼びます。一方、実際に生み出される財やサービスの量、生産量のことを、国内総生産/GDPと呼びます。

  • 生産量は、金額で計測するしかありません。その額は、対価として支払われた支出で評価します。

  • 所得は、対価として支出された貨幣が生産者に分配されるだけなので、支出と同額です。

すなわち国全体で見ると、生産、支出、所得の3つは必ず同じ値になります。これを三面等価の原則といいます。

三面等価の原則:簡易な例

以前の記事でも示した例で考えてみましょう。

```mermaid
flowchart LR
    A1 -->|100| B1
    A2 -->|100| B1
    A2 -->|200| B2
    A3 -->|150| B2
    B1 -->|300| C
    B2 -->|400| C
    C -->|900| D
```

各主体の生産額、支出額、所得額は、次のようになります。

仕入れに対する支出は、ここには現れません。最終消費支出として、Dがすべての付加価値を消費・投資したことになります。これはあくまでもGDP統計上の定義です。

三面等価の原則:日本国家の例

日本政府も、この原則に従って統計情報を公開しています。事実確認しましょう。

内閣府からは、国内総生産の統計値が、生産面、支出面、所得面(所得分配面)として公開されています。例えば執筆時点では、内閣府の国民経済計算(GDP統計)に2019年度(令和元年度)の国民経済計算(2015年基準・2008SNA)が見られ、「1.統合勘定」の「国内総生産勘定」に所得分配面(黄色マーカー)と支出面(緑色マーカー)があります。

「4.主要系列表」の「(3)経済活動別国内総生産」には生産面(青色マーカー)があります。

どの面で見ても、合計は同じです。(実際には精緻な値が集計できないため、同じ値になるように合わせこんでいます。しかしそれは「三面等価の原則」が成り立つから、調整しているわけです。)

GDPとは、所得の量

このように、GDPとは生産の量であり、支出(消費)の量であり、所得の量でもあります

GDPはその国の経済規模を表し、おおよそ国民全員の所得の合計をも表していることになります。(ココ重要!

注記)実際の国民所得の合計はGDPより少ない(GDP所得分配面の一部、雇用者報酬)ですが、オーダー感は同程度だということです。

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