One Roomの船

家の窓。庭、高い壁。
高さ2m弱 幅1.8mくらいの枠に2枚の窓が私の家にはある。ワンルームの1面がほぼ窓で埋まっている壁のすぐ外側には、1.5畳くらいの庭っぽい狭い庭があり、そして5mくらいの壁が私の部屋を見下すように立っている。
土地が急な斜面になっているので、周りの家との高低差がかなりある。さらには、周りはアパートだらけで敷き詰められている場所にあるので、私の部屋には光が直接入ってくることはほぼない。

庭は5mの壁、私のアパート、左右も別のアパートで囲まれているが、お昼時には日光がきれいに差し込んでくる。地面には砂利道にあるような明るい灰色の小石が敷き詰められていて、隙間から謎の雑草が生えてきたり、壁の上から木の葉やオレンジのような果実が落ちてくることもある。その中を闊歩するアリやダンゴムシなどの昆虫たちもいる。

私はときどき、日光で輝いているこの1.5畳の庭が、海のように地面が揺れて、部屋自体も波に流されている船のように感じる。

学生時代を終えて4年以上経ち、2度の引っ越しを経験した後、この家に住み始めたのは1年前。こんな感覚は他の家では感じたことはないが、地面との距離がこんなに近いのも前例はない。
3階建ての大きな一軒家を一部改装して作られた小さな1室だが、今となっては私の人生の載せているOne Roomの船なのだ。

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