何様ですか？

今日はちょっとしたハレの日。家族で車を走らせこの店にやってきた。

内陸の、しかもちょっとした峠に建つこの店はなんと海鮮を売りにする店だ。なぜここにと思うのだが、ちゃんと繁盛しているのだから美味いに違いない。

黄昏時、昼間の残暑がまったりと夜に押され秋に変わろうとするのが通例のこの時期。しかし今年は夏がまだ頑張る中、店先に順番を待つ客の列。ウエイティングリストに名前を書きに1人店の中に。違和感。店には空席。あぁ回しきれていないのか。待っている客に無線の呼び出し機を渡すことで客は車の中で待っていることができる仕組みを導入しているらしいのだが、徹底できていないので、ベテラン女性がいちいち声を張り上げウエイティングリストからxxさまぁと呼んでいる。サービス精神満点のこのベテランは返事がないと駐車場を駆け回り、客を探し始める。回しきれないのはそれが原因だよ、なんて思う。

あ、うちの車に向かっている。我々はその客じゃないよと言いに行こうと車に向かう。ベテランが妻に向かって問いかけている。声は聞こえない。妻の目が点になっているのが見える。笑いを堪えながら返事をしたらしく、ベテランは次の車へ。今度はベテランの声が聞こえた。
「何様ですか？」