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大雨でも営業「ババヘラアイス」(編集後記20220812)

    皆さんこんばんは。ついに夏休み突入!ということで皆さんはお盆期間いかがお過ごしでしょうか。集中講義で忙しいという方もいると思いますが、多くの方は実家の方に帰省したり、久しぶりに親戚同士で顔を合わせているのではないでしょうか。ニュースでも報道されているように、コロナ禍によって3年ぶりに帰省する方が多いようで、空港のカウンターは長蛇の列となっていました。
さて、そんなお盆期間、私も秋田県の母の実家の方にお墓参りに行ってきました。現在、東北地方では、線状降水帯が停滞しており、とてつもない大雨が続いています。まさに、異常気象ともいえるこの大雨によって多くの河川が氾濫したり、山間部では土砂崩れが起こったりなど大変な被害が拡大しています。

    そんな東北地方に、今回私はわざわざ行ったわけなのですが、実際にこの目でその被害を目の当たりにしました。土地が低い地域では、洪水の影響なのか田畑が泥まみれになっていたり、ガードレールが重みで壊れていたり、山肌が崩れていたりなど、とても悲惨なものでした。幸いなことに、私たちは洪水や土砂崩れに巻き込まれることはありませんでしたが、案の定大雨に見舞われました。お墓参りをしているとき、急な大雨が降ってきて傘も用意していなかったため、髪も服もびっしょりシャワーを浴びたような状態になりながらお墓掃除をしました。

    そして、今回私が衝撃を受けたのが、秋田県名物「ババヘラアイス」です。知らない人も多いと思うので説明します。「ババヘラアイス」とはその名の通りアイスなのですが、その売っている方法が田舎ならではでなかなかユニークだと有名です。以前ケンミンSHOWでも紹介されたこともあります。ババヘラアイスの大きな特徴は、車道の道端におばあちゃんがパラソルを建てて売っているということです。このパラソルは、山形や秋田県などの山間部などにたくさん設置されていて、至る所でおばあちゃんがアイスを販売しています。道端ということで、観光客はドライブスルーのように買っていく方が多く、中にはこのババヘラアイスを求めて何件も巡る方も多いそうです。東北のおばあちゃんの温かい人柄や方言がなんとも落ち着き、東北に来たら必ず食べに寄りたくなる雰囲気があります。そんなババヘラアイスの名前の由来は、高齢の女性(ババ)が「ヘラ」でアイスを盛り付けてくれることから「ババヘラ」と呼ばれています。アイスの形も可愛くて、ヘラを使ってシャーベット状のピンク色のアイスをバラのように1枚1枚大きなコーンの上に盛り付けてくれます。結構見た目も可愛いのでインスタ映えするのでは?(笑)    


    さて、そんなババヘラアイスですが私が驚いたのは、今回のような大雨の中でも営業していたということです。基本的にババヘラアイスが設置されるのは山の道端であるため、今回のような天気の中だと土砂崩れや洪水が起こりやすい場所に近く、非常に危険なんです。それにもかかわらず、おばあちゃん達は営業を続けているため、なかなか心配です。私は、天気が悪いならお店は切り上げて早く安全な場所に帰るべきだと思ったのですが、不思議なことにパラソルの周りには1台も車がありません。これではおばあちゃん達が帰れないじゃん!と両親に聞くと、衝撃の答えが帰ってきました。実はこのババヘラアイス、早朝に車に乗せられたおばあちゃん達が各地に点々と下ろされて、営業が終わるまで迎えを待つそうなんです。つまり、仮に災害が目の前で起こったとしても走って逃げるしか方法がないということです。災害が起こってしまってからでは、若い人でも逃げることは困難ですよね。

    いくら秋田の名物ではあっても、命の危険に晒してまで営業を続ける必要があるのでしょうか。もしかしたら、すでに災害に巻き込まれた方もいてもおかしくありません。お盆は書き入れ時ではあると思いますが、これからも伝統の名物を守っていくために、こうした天候を見て臨機応変に営業をするかどうか判断して頂けることを願います。
(国際文化学科3年田中凛歩)

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