クリームパン

僕がクリームパンと聞いて思いつくのは「5個入りのあいつ」だ。

そう、みんな一度は食べたことがあるであろう「薄皮クリームパン」である。
逆に僕はこのクリームパン以外はほとんど食べたことがない。そのくらい僕のクリームパン経験はあいつに依存している。
でも案外、僕以外にも沢山いるのではなかろうか。そもそもクリームパンを激烈に食べたくてクリームパンを買う人っているのか??いや、いるだろ馬鹿。ぼけなす。
あいつを食う度に僕はいつもくだらないことをあれこれと思索する。なぜ5個入りなんだろうか。なぜやたら母親が買ってくるのだろうか。この柔らかさ、妙に握りつぶしたり壁に投げつけたくなるのはなぜなのか。僕はあのパンひとつを一口で頬張りながら真顔でそんなことを考えている。だからあんまり味を覚えてないのだろう。クリームパンって激甘以外に印象に残らない。でもあれば食べる。そんな感じ。
自分では積極的に手に入れないけどあれば役に立つ、そんなものって世の中に結構ある気がする。5個入りのあいつはまさにそんな感じだ。僕はスーパーやコンビニで自ら買わない。だけど買ってきて置いてあれば食べる。なんかちょうどいいんだよね、あれ。フジパンの戦略にどっぷり浸かっている。
クリームパンってやっぱり地味だ。パン屋でバイトしてる人に貰う廃棄のパンに大体クリームパンが含まれている。多分どこの店でも売れてない。でもみんな食べるよね、結構。クリームパン。悪くねえな。主役じゃないけど生き残り続けるクリームパン。あれば食べるクリームパン。

ああ、なんかクリームパン食べたくなってきたな。とはならない。でもクリームパンみたいな人間になれたら結構面白いかもしれない。

#エッセイ #note #クリームパン

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