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夫の浮気騒動(疑惑浮上)

コロナ禍に家族になった影響もあるけれど、元々夫は社交的な方ではなく、シフト制勤務で生活も不規則なため、休日のリフレッシュと言えば、愛車の大型二輪で単身ツーリングを楽しむことで、夫の交友関係を聞く機会はあまりありませんでした。

最初に「おや?」と違和感を持ったのは、二ヶ月ほど前のことだったでしょうか。

大型二輪に加え、調子に乗った夫は長年の夢だったという車を手に入れ、雨の日も、酷暑の日にも、単身リフレッシュに出かけられるようになりました。

私はと言えば、家で過ごすことも好きだけれど、好奇心も旺盛、外に外に気持ちが向くタイプ、親戚付き合いも友達付き合いも大好きで、コロナが明けるや否や、独身時代よりは控えているものの、自由に外出させてもらっていたので、夫が好きなことに時間とお金を使っていることにも、これ幸いと目をつぶっていました。

「会社の後輩で車好きなヤツがいてね、今度一緒にドライブに行くことにしたよ」

珍しいこともあるのね、と、その時はなんとも思わず、楽しんで来てと見送ったのですが、その日の夜、あとどれぐらいで帰るのかしら?と見た夫の位置情報が繋がらず、一瞬嫌な気持ちが横切りました。
それでも、しばらくして、もう一度確認してみたときには、明らかに帰路についていることがわかったので、そのあとは特に気にも止めませんでした。


次は、会社の人たちとプールに行くと言ったのだったか。
え?大の大人が?おじさん四人でプール??と思いましたが、全身の皮が剥けるほど真っ黒(真っ赤?)に焼けて帰ってきた夫が、プール以外の場所に行ったとは考えにくく、ただ、前回と同じようなタイミングで位置情報が消えてしまったことの他は、疑わしいところは見当たりませんでした。


位置情報を共有しようと言い出したのは夫の方でした。
実家に住んでいたころ、バイク通勤を心配する母親を安心させるために家族で位置情報の共有を始めたそうですが、私はそれを求められた当初、当然のように拒否しました。
それこそ、スマホを携帯しているのですから、帰宅の連絡はLINEをすれば事足りるわけで、たとえやましい事がなくても、常に居場所を把握されていることは窮屈なことだと感じたからです。
それでも夫は心配だからとしつこいし、私も、連絡が不十分な夫の現在地を知れる便利さもありましたから、基本的には共有することを承諾しました。


だから嫌だったのよ。
知らないでいればザワザワしないのに、知ってしまった事で余計な憶測を呼んでしまう。

モヤモヤっとした気持ちを抱えているのは嫌なので、さりげなく、LINEで夫に伝えてみました。

「気づいているかわからないけど、位置情報が繋がらないタイミングがあるよ?」と。

既読無視。

その私のコメントには何の返信もこないまま、LINEは普通に別の話題へと移ってしまいました。

モヤモヤ。

「ねぇ、こないだのLINEの返事聞いてないんだけど?」

私も案外しつこい。

「ああ、たまたまじゃない?貴女もときどきそういうことあるよ?」

あ、そっか。

勝手にモヤモヤしながらも、夫にはシロであってほしいという潜在意識が、夫のそのひと言を信用するように、私の脳に指令を出したのでした。


その後、会社の飲み会が2回、学生時代の友達の帰省に合わせて1回、会社の人と1泊旅行…。

ひとつひとつに無理な設定があったわけではないので、快く送り出していましたが、旅行帰りに送ってきた夫のLINEが、再び私の心に波を立ててきました。

「疲れて眠いから、ひと眠りして帰るわ」

!!!!!

え?え?えー???

そんなわかりやすい浮気ってある???

位置情報を見れば、過去にかの後輩クンを迎えに行くと言っていた場所を示している。

クロじゃん。

完全に真っ黒じゃん!!


そうなるともう、私の妄想は止まりません。

後輩って言ってたけど、男性とは言ってなかったよね?

名前聞いたら「マキ(仮名)」って言ってたけど、「マキ」って、「真木クン」じゃなくて、「真紀チャン」だったわけ??

そう言えば、急に髭剃ってみたり、グランメゾン東京の影響とか言ってキムタク風のヘアスタイルにしてみたり、「初めてオーバーサイズにしてみた!」なんて言って、アウトレットで洋服買ってきたり…。

真っ黒やーーーん!!


え、どうする?どうする?

夫の浮気なんて、想定していなかったから、浮気されたらどうするかなんて考えがなかったのです。

え、別れる?別れない?
追及する?泳がす?

え?え?えーー???


とりあえず、「すぐ帰ってきてください」とLINEしました。

既読にもならないから、ビデオ電話しました。

何度目かで、疲れて不機嫌な顔の夫が出て「わかった、帰るよ」と。


我ながらコワイと思ったけれど、その時は、夫もワルイと言い聞かせて。


悪びれず帰ってきた夫。

事を荒立てたくもなかったので、明るく迎える私。(ほんとは罪悪感を誤魔化すため)

ツムギは、プリプリ待っていた私に感化されて、「お父さん、連絡ぐらいしてよねー」と、私の味方をしてくれています。

「浮気疑惑かかってるからな!」

冗談めかしてお灸を据えたつもりだったけれど、夫からは大したリアクションもなく、「ケイト、大丈夫だよ!ケイトにはツムギがいるよ!」と言うツムギに、「だから困ってるんだよー!」と半ば本音が出たところで、この話は有耶無耶に終わったのでした。

つづく

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