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こどもにとって心地よい方法を見つけることの大切さ

私の家にツムギとその父親が引っ越して来た2年前、私は3人分のスリッパを新調して娘たちを出迎えました。

今まで義実家でスリッパ生活をしていたかどうかは聞かなかったけれど、私はその習慣を身につけてほしいと思っていたのです。

当時、鬼滅の刃の善逸が大好きだった娘には、善逸柄は見つけられなかったけれど、炭治郎柄のこどもスリッパが可愛かったので、それを買って玄関に並べておきました。

娘は期待通り喜んでくれましたが、なかなかスリッパを履く習慣は身につかず、外で遊んで汚くなった足でベタベタと室内を歩き回り、忙しさにかまけて掃除が後回しになっている我が家のフローリングは、たまに拭き掃除をすると、今まで見たことがないほどに雑巾を真っ黒にしていました。


いつも履いてくれるわけではなかったけれど、それでも一番家にいる時間の長い娘のスリッパは、一番初めに生地が弱り、擦り切れて履けなくなってしまったので、冬になるタイミングで、犬のぬいぐるみのような中綿の入ったルームシューズを新たに買ってきてあげました。

犬好きの娘が喜ばないわけはありません。

しかしながら、雑に扱う娘のルームシューズ犬の尻尾はすぐに取れ、お尻は踵で踏みつけられてぺしゃんこに潰れてしまっていました。

この春、夫のスリッパがいよいよとなったので、一年毎に買い替えている私のスリッパも併せて購入することにしました。

娘のはどうしよう。


そう考えたときに、最初の三足を購入した通販店でいただいたおまけのスリッパが、細身で大人の足には合わず、困っていたことを思い出しました。

当時22.5cmだった娘の足はグングン大きくなっており、まもなく23.5cmのシューズも履けなくなってしまいそうな勢いです。

ダメ元で娘に相談しました。

ダメかも知れないと思ったのは、スリッパがピンク色だったからです。

娘は色に対する強いこだわりがあり、とにかく何でも水色を欲しがるこどもだったのです。


「ちょっと履いてみて」と差し出すと、一応履いてみてくれました。

「かかとはちょっと出ちゃうけど、横はピッタリでぬげないから良さそう!」

なんとかこちらの思惑通り、娘はスリッパを引き受けてくれることになりました。


それから一週間。
私が見る限り、娘はスリッパを履いてくれています。
あれだけ言っても、裸足で歩き回っていたのに。

昨晩は、部屋のカーペットの手前に綺麗に脱ぎ揃えてベッドに上がっていました。

偶然?と思ったけれど、今朝も学校に出かけた後ふと見ると、スリッパが綺麗に揃えられているではありませんか。


本人に聞いたわけではありませんので、真実のほどはわかりませんが、今まで可愛いと思って与えていたスリッパは履き心地が悪かったんじゃないだろうかと思いました。

だから習慣にならない。

まだ経験値の低い娘は、これがスリッパと言われればそんなものかと思ってしまい、自分の足に合わないと言う発想にはならないのかも知れません。

履き心地が悪ければ履く気にならず、習慣化しないことは納得できます。

デザインが可愛ければと思っていたけれど、履き心地については考えてあげていませんでした。

寧ろ娘は今回のピンクのスリッパを履くことで、日用品には機能性が重要であると学んでくれたかも知れません。


これはスリッパに限らず、他のことでも同じことが言えるのではないかと思いました。

大人は経験値が高いから、あれやこれや比較してこれがいいんじゃないかとこどもに与えます。
けれどもこどもは、好きか嫌いしか考えない。
いいと思えば身につくし、思わなければそのまま。


物だけではありません。
成長の過程の中で、心地よさの基準も変わってくるでしょう。

赤ちゃんは自分が着ている衣服に食べこぼしがあっても気にしない。ヨダレが付いても、それが臭ったり、肌に付いたりして始めて不快に感じると言うこともあるかも知れません。
外に出るようになって、社会性が身についてくれば、自分自身が汚れた衣服に嫌悪感を感じてきたり、恥ずかしいと言う感情も芽生えてくるのだと思います。

衣服を例に出したので、もう少し加えると、20代で着物を着始めたころ、着物で出かけるといろいろな方に声をかけていただき、いい気分にさせてもらっていました。
それと同時に、民族衣装だと言うのに、こんなにも日本人に知られていないのだと言うことも学びました。


心地よさは、経験の中で体得していくものだとしたら、いろんな経験の中から自分なりに比較し、選び取っていけるよう、経験値を増やしてあげることも必要なんだと思いました。

話が広がってしまったけれど、こどもって思いがけない瞬間に成長を見せたりするのですね。

よかれと思って与えてきたいろいろを、また見直してみようと思いました。

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