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ピアソラッシモ公演のプログラムノート

こんにちは!サックス奏者角口圭都です。
サックスの演奏、楽しんでいらっしゃいますか?
今回は、11月15日東京、23日仙台で行いました、ピアソラッシモ公演のプログラムノートをご紹介します。

ピアソラッシモ!公演

アストル・ピアソラはタンゴの異端児、と呼ばれながらも、情熱的で独創性のある演奏と楽曲は、今や世界中で熱狂的に支持され、揺るがぬ人気を誇っています。音楽に人生をかけたピアソラの意思を引き継ぎながら、サクソフォンで新たな表現と魅力を模索したい。また、ピアソラの音楽そして素晴らしい奏者の皆様との演奏で、年に一度を目標にコンサートを開催してきました。

今回ご一緒してくださるのは、豊かな表現と確かな技術を持つ日本を代表するサクソフォニストとピアニストです。また、ゲストには、日本を代表する素晴らしいサクソフォン奏者福井健太さんと宍戸陽子さんにご登場いただきます。

サクソフォンアンサンブルの重厚で輝かしいサウンドによるピアソラの新世界をお楽しみ下さい。

プログラム

チャオパリ
アディオス・ノニーノ
デカリシモ
ヴィオレンタンゴ
ヒナステラ:アルゼンチン部曲集op.2より第2曲 粋な娘の踊り(ピアノソロ)
デザンクロ:サクソフォン四重奏曲

~ゲストをお迎えして~
オブリヴィオン
エスクアロ
悪魔をやっつけろ
天使のミロンガ
天使の死
ミケランジェロ’70
アンコール:私はマリア、リベルタンゴ


【アストル・ピアソラ】 

1921年アルゼンチンでイタリア移民3世の子として生まれる。3歳から16歳までをニューヨークで過ごし、そこでバンドネオンを手にする。10代のうちからバンドネオン奏者として演奏活動を行い、1946年にピアソラ楽団を結成。 1954年クラシックの作曲家を目指してフランスへ留学。ナディア・ブーランジェに師事し、そこで自身の音楽の根源はタンゴであると助言されたことにより、これまでのタンゴの常識を覆す音楽活動を開始する。 ニューヨークへ渡りスランプや金銭的困窮などに見舞われながらも、ピアソラ5重奏団を 結成。その後、創作活動を刺激される出会いやヨーロッパへの拠点移動もあり、ジャズやロック、現代音楽などを取り入れて表現の幅が増していき、1978年からはアルゼンチンへ戻り、充実した音楽家生活を送る。日本にも4回来日しており、世界各国での演奏活動を行ったが、1992年脳血栓が原因で闘病、むなしくアルゼンチンにて死去。

曲目解説

1.チャオパリ
1955年の作品。1954年にパリでブーランジェに学び、1955年ブエノスアイレスに帰国する際に書かれました。パリの華やかな夜と、そこを去る寂しさが感じられます。

2.アディオス・ノニーノ (さようなら、お父さん)
巡業先のプエルト・リコでピアソラは最愛の父ビセンテ(愛称ノニーノ)の突然の死の知らせを受けます。 ニューヨークに戻り、悲しみの中、亡き父へのレクイエムとして書かれたのがこの作品。

3.デカリシモ
現代タンゴのパイオニア的存在フリ・デ・カロに捧げられた作品。《とてもデカロ的》という意味の造語。ピアソラお気に入りの1曲で80年代によく演奏されました。返礼の意味で、デ・カロは《ピアソラ》という作品を作っています。

4.ヴィオレンタンゴ
《6つのタンゴ》の中の1曲。タイトルはViolent+tangoというピアソラお得意の造語で、強烈なリズムで奏でられるメロディが特徴的。中間部の抒情的な旋律が、ドラマティックな曲調をより際立たせます。

5.ヒナステラ:アルゼンチン部曲集op.2より第2曲 粋な娘の踊り
ブエノスアイレスに生まれたアルベルト・ヒナステラ(1916-1983)は、アルゼンチン民謡を巧みに用いながら数多くの作品を残しており、ピアソラは彼の元で作曲を学びました。本日は、短い3曲から成るアルゼンチン舞曲集の2曲目を演奏します。

6.デザンクロ:サクソフォン四重奏曲
ピアソラと同じ1921年に生まれたフランスの作曲家アルフレッド・デザンクロ(1921-1971)により、1964年に作曲されたサクソフォン四重奏の王道曲。20世紀を代表するサクソフォニストであるマルセル・ミュールの委嘱されました。3楽章形式。

7.忘却
映画「エンリコ4世」のために作られたあと、フランス語の歌詞をつけて歌われたことで広く知られるようになりました。 別れた恋人への思いをつづっています。恋人と別れた悲しい気持ちや幸せだったころの思い出は薄れながらも、忘れられないものですよね。

8.エスクアロ
鮫釣りが趣味だったピアソラ。ここでの鮫は、ジョーズのような大きなものではなく、チョウザメやコバンザメの小型で、スポーツフィッシングとして楽しんでいたそうです。突然の休符や拍子変化による予測不可能な展開やおどろおどろしい旋律は、鮫と人との攻防戦・駆け引きのスリルを楽しむ様子が描かれています。

9.悪魔をやっつけろ 
演奏が大変難しいことからバンドネオンを悪魔の楽器と呼ぶことがあるそうです。 この作品は8分の7拍子の変拍子で、高速連符のパッセージで駆け抜ける、とても技巧的でスリリングな作品です。《悪魔(バンドネオン)をやっつけろ》 と解釈できそうですし、慣用句で「どうにでもなれ」という意味もあるらしく、どちらの意味で捉えても面白く聴けるでしょう。

10.11.天使のミロンガ・天使の死
この二曲は、舞台「天使のタンゴ」のための作品です。ピアソラの楽曲に感銘を受けた劇作家A.R.ムニョスの依頼により制作され、人々の魂を救済しに舞い降りた天使が、ブエノスアイレスの場末でやくざ者と戦ってナイフで刺し殺されて死ぬ、という前衛的な内容でした。ミロンガとはハバネラの影響で生まれたタンゴの源流となるリズムです。タンゴのミロンガは速いスピードで演奏されることが多いですが、ピアソラはゆったりとしたテンポのミロンガで、神秘性と悲しみをドラマチックに表現しています。
そして、天使の死は、まさに天使がナイフで刺し殺される場面での音楽です。ダンスの北井千都代さんとのセッションでその世界観を表現します。

12.ミケランジェロ'70
1969年にピアソラ5重奏団を再結成し、ブエノスアイレスにオープンしたライブハウス"ミ ケランジェロ"を拠点に演奏活動を行いました。 このライブハウスと、ルネサンスの芸術家ミケランジェロに捧げられた作品です。


最後に

両公演ともに、無事に終えることができました。応援いただきました皆様、本当にありがとうございました!
来年もまたどこかで再演したいと思います。
その際はぜひ聴きにいらしてくださいね。

最後にコンサートのお知らせです!

好評発売中!
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2022年最後の大仕事です!有観客&配信のハイブリット公演になりますので、東京近辺の方も、遠方の方も楽しんでいただけるようにいたしました。

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角口圭都クラシックサックスチャンネルベストヒット2022
~バズれ!心のグッドボタン~
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2022年12月26日(月)
18時30分開場 19時開演 21時終演
会場:アーティストサロン”DOLCE”(新宿駅より徒歩3分) 
https://www.dolce.co.jp/salon/tokyo/
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-13-12西新宿昭和ビル8F

出演: 角口圭都(sax)入川舜(piano)
入場料:3500円 当日4000円(当日500円増し)
主催:ケイト・ミュージック
後援:日本サクソフォン協会
特別協力:株式会社ドルチェ楽器

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