結局、スプラで勝つためにはどうすればいいのか。

スプラで勝つためにはどうすればいいのか……それがSplatoon2プレイヤーにとっての永遠の課題。本日はこれを突き詰めて考えましょう。

「何を意識すれば勝てるのか?どんな行動をすれば勝てるのか?」「キルの多さ?デスの少なさ?スペシャルの回数?」

こういった疑問に答えるため、(だいぶ前の記事ですが)こちらの分析データを基に考察を進めようと思います。画像はすべて記事内からの引用になりますが、煩雑さを避けるために引用は省略します。また、記事を書いていたら意外と長くなってしまったので、今回は話をガチエリアに限定します。

1.「勝ち」に繋がる要因とは

まずは、どのような要因が勝利に繋がるのかを考えます。何となく行動をしても、勝ち筋には繋がらないのです。明確に、この指標を上げるという目的を持ってプレイすることが重要になります。こういうこと言うと嫌われそうですね。

ガチエリアにおける勝利要因とは何なのか?それを示したのが図1です。注目してほしいポイントは、オッズ比です。ここでのオッズ比は、各要因が「勝ち」に与える影響度を示しています。解釈の仕方としては、その変数のオッズ比が高ければ高いほど、「勝ち」の確率が上がるということになります。単純に考えれば、上位の行動を実行し、下位の行動を実行しないことで、試合に勝つ確率を上昇させることが出来ます。

 ロジスティック回帰というのは、400とか500といった連続量ではなく、「勝ち」や「負け」といった2値の結果変数(=分析対象)に対して用いられる統計モデルのことです。どういった要因が、「勝ち」と「負け」を左右しているのかを判定するのに便利です。

図1.ガチエリアにおけるロジスティック回帰の結果(勝敗予測度84.7%)

画像1

ガチエリアにおける上位の勝利要因を眺めてみると、「キル」に関連したものが多くなっています。すなわち、ガチエリアにおいては「キル数を増やす」ことが、勝利へ最も近づける道になります。

特筆すべきは、1位の「味方・敵の合計キル数の差」でしょう。この指標は、(味方の合計キル数ー敵の合計キル数)で計算されます。すなわち、味方の合計キル数を上げて、敵の合計キル数を下げるような立ち回りが、ガチエリアにおいて最も勝利の確率を高める戦略となります。

しかし、味方の合計キル数が増えれば敵がデスしている時間が長くなるので、当然敵の合計キル数は下がります。すなわち、両チームの合計キル数は、どちらかが上がればどちらかが下がるといったような関係にあり、一概に味方のキル数を上げて敵のキル数を下げる、という風には言えません。この辺りは難しいのですが、とりあえずは合計キル数を上げる方針で良さそうです。

ここで指摘しておくべきなのは、合計キル数の構成でしょう。例えば、合計が20キルだったとしても、(1,1,1、17)のキル数と、(5,5,5,5、)のキル数では全く意味合いが異なります。エース人材がキルを独り占めするのか、みんなでキルを分配するのか問題の発生です。ここで、上位3位に味方チームの最高キル数がランクインしていることから、個人でのキルが重要となることが分かります。さらに、それよりも下の上位6位に味方の最低キル数があります。すなわち、最低キル数を上げて全体の底上げするよりも、エース人材がキルを量産した方が強いと言えるのではないでしょうか。ただし、オッズ比はほぼ変わらないので、自分がエース人材かどうかをしっかり見極めてプレイする必要があります。

ここまではキル数ばかりを取り上げたものの、上位5位には味方・敵の合計塗りポイントの差がランクインしています。やはり、キルだけではなく塗りも重要になっています。

下位に目を向けてみると、1位には敵チームの最低キル数、2位には味方チームの最低デス数がランクイン。つまり、如何にして相手のキル数を抑えてこちらのデスを減らすかが重要になりそうです。2位の要因に関しては、あくまでも個人の最低デス数なので、あまりにもデスしてしまう場合には生き残る立ち回りが必要になります。

下位3位に味方チームの後衛人数がランクインしているのは面白いですね。上位5位の味方・敵の合計塗りポイントの差と合わせて考慮すると、塗れない(さらにはキルもできない)後衛はお荷物でしかないことになります。最近は長射程ゲームと言われがちのSplatoon2ですが、意外と前線でガンガンキルをして同時に塗りもこなすプレイスタイルの方が良さそうです。

2.勝利要因のまとめ

さて、かなり長くなってしまったので、ここで一度議論を整理し、本質的な勝利要因を分析してみましょう。まずは要因の整理から。

勝利に繋がる最も重要な要因は、「味方・敵の合計キル数の差」でした。これは他のどの要因よりも、重要度が極めて高い要因です。キル数の内訳を考えると、みんなで平等にキルを取っていくよりも、エース人材がキルを量産した方が良いと思われます。この背景として考えられるのは、皆でキルを狙う場合にはキル以外のことが疎かになるものの、エース人材がキルを専門にすることで、他の味方が塗りに集中しやすい環境が出来ることが挙げられます。もちろん、キルだけではなく塗りポイントも重要になります。

また、勝利の確率を下げてしまう要因は、敵チームの最低キル数や味方チームの最低デス数でした。やはりここでも、キルをベースにした立ち回りが重要になります。他方で、後衛ブキが増えるほどに勝利の確率が下がるといった要因も挙げられます。すなわち、出来るだけ前線ブキでキルを取っていく方が望ましく、後衛ブキを持つ場合にはキルをしっかり取ったうえで塗りも意識する必要がありそうです。後衛ブキを持つ際には、普段よりも高い意識が必要ということですね。

これらの要因をまとめて、ガチエリアにおける基本的な戦略(常に意識すべき方針)を策定してみましょう。エース人材の議論をベースにすると、「自分がエース人材であるかどうか」が分かれ目になりそうです。そこで、自分がエース人材の場合とそうでない場合で、戦略と戦術(戦略を達成するために必要な行動)を分けてみましょう。

3.自分がエース人材である(だと思う)場合の戦略

(1)戦略

自分こそがエースだと思う人は、とにかくキルを狙うことが最適な戦略になります。上位1のチーム間のキル数の差を広げ、上位3の最高キル数を押し上げるのです。自分がエース人材になってガンガンキルを取れば、味方はキルをあなたに任せて塗りに集中することが出来ます。この良い状態が出来れば、勝利はほぼ確実と言えます。この戦略は単純明快で分かりやすいですね。どんな方法を使ってもいいので、大量にキルを生み、余った時間で塗りをすればよいだけです。敵に突っ込んでいきましょう。

ただし、この戦略には多大なリスクが付きまといます。それは、自分(エース人材)がデスした場合に、味方が一気に崩れる可能性があることです。言ってみれば強いのは自分だけなので、自分がいなくなった瞬間にキルは止まり、今度は相手の猛攻が始まります。すなわち、エース人材として活躍する場合には、キルの大量生産を安定供給する必要があるということです。これは結構難しいですね。

このように、エース戦略(と呼びましょう)では、戦略によるリターンが大きい代わりに、自らがデスしたときのリスクも大きくなっています。トレードオフということですね。自分はキルを安定的に供給できると思う場合には、どんどんキルを取り、そうでない場合には後述するサポート戦略へとシフトしていくのが良いと思われます。

(2)戦術

それでは、キル数を最大化するためには実際どのような行動を起こす必要があるのか。ここからは経験的に戦術を考察してみます。著者はウデマエは全ルールX、Xパワーは平均2500前後で、中級者~上級者に当たるので、ある程度の信頼性は担保できると思います。

さて、テキトーに考えてもキル数を増大させることは出来ません。まずは、「キル数がどのような要因で構成されているのか?」という部分を考えてみます。といっても、明確なデータがあるわけではないので、経験的な話になります。本稿では、個人のキル能力の構成要因を3つに大別してみました。それを表したのが以下の方程式です。

【個人キルの方程式】
個人のキル能力 = ①敵の発見力 ✖ ②ポジショニング ✖ ③エイム

この式は、個人のキル数が3つの要因の掛け合わせによって導かれることを表しています。すなわち、3つの要因のうちのどれか1つでも欠けることがあれば、キル能力が下がってキルが生まれないという状況になります。

3つの要因についてそれぞれ説明します。①敵の発見力が欠けていれば、敵に対して常に後れを取ることになるので、キルを生むことは難しいでしょう。②のポジショニング能力が足りなければ、相手に有利なポジションを奪われたり、相手を射程内に捉えることが難しくなります。③のエイム力がなければ、先に敵を発見し、どんなに良いポジションに構えたとしても、絶対にキルは出来ません。

そうなると、次の議論は「如何にして3つの能力を向上させるか」ということになります。個別に見ていきましょう。

①敵の発見能力
最も重要なのが、この能力だと言って良いでしょう。なぜなら、いくら良いポジションを取って、いくらエイムが良くても、先に打たれてしまえば理論値的なキル速度で勝つことは不可能だからです。そのため、如何にして相手を先に発見し、自分の射程圏内に相手を入れるかが大事になります。プレイ全体の余裕に関わる重要項目です。

この能力の向上のためには、視野を広く保ちましょう。自分が進む方向や一瞬現れた敵、オブジェクトなどに気を取られすぎてはいけません。何も考えずに突っ込めば、残った敵から返り討ちにあうことになります。また、重要な情報を見逃すこともできません。相手の位置だけではなく、相手のデス状況やスペシャル状況(ここまで気を回すのは結構難しい)に気を配り、相手よりも情報を多く持つことが大事です。

実際には、リスポーンでマップを見る、あるいはイカ移動を見逃さない、敵が潜伏していそうな場所を予測してしっかり塗る、といった行動が重要になります。特に、レベルが上がれば上がるほどに予測力が重要になります。感覚的にでもよいので、相手がいそうな位置を捉えて先回りの対処を行うことが重要です。

②ポジショニング能力
本稿におけるポジショニング能力とは、一般的に言われる立ち回りの概念に加えて、相手と対面戦闘を行うときの距離や、相手に対する有利な位置取りのことを指しています。イメージとしては、高台に籠城しているチャージャーやハイドラントは、この能力が高めだと言えるでしょう。想像して見れば分かるように、自分が短射程で相手がハイドラントであれば、射程的に勝つことは不可能です。このように、相手に対して如何に有利なポジションを抑えられるかが重要となります。

さて、この能力を向上させるのに必要なことは2つです。

1つ目は、自分のブキと相手のブキの射程やキル速度を意識し、常に自分の方が有利な距離を相手との間に保つということです。先述したハイドラントの例は、その極端な例と言えます。もちろん、短射程のシューターやマニューバーにも同じ議論が当てはまります。

重要なのは、自分の射程だけではなく、キルを狙いに行く相手の射程をしっかり意識することです。X以下やXパワーがなかなか上がらない人は、この辺りの意識が弱めだと感じることが多いです。相手の射程が自分よりも短い場合には、(必ずとは言いませんが)自分の射程を押し付けるような立ち回りが有効となります。決して相手の射程圏内に入らないことで、自分がデスするリスクを0に抑えることが可能になるからです。

しかし、実際の試合では自分の射程を押し付けられる場面はそう多くありません。その場合に考える必要があるのは、射程に伴うキル速度のブキ間格差です。言葉が少し煩雑になりましたが、要するに、ブキごとに得意な射程は違うということです。ハイドラントの例を用いれば、このブキは長射程での戦いはめっぽう強いものの、短射程での戦いにはチャージ時間などのリスクが伴います。プライムシューターなどは高いキル能力を誇りますが、ボールドマーカーの方が理論値のキル速度は高いはずです。プライムシューターは、近距離での戦いだとボールドマーカーには勝てないのです(キル速度の理論値で考えた場合)。このように、相手との距離だけでなく、キル速度の違いも意識する必要があります。

2つ目は、自分のブキが得意な場面を把握することです。1点目では射程の話をしたものの、これは一概に当てはまる訳ではありません。例えば、段差の真下にいるローラーは強力なキル能力を誇ります。なぜなら、Splatoon2に存在する武器は、そのほとんどが段差の真下を攻撃することが出来ない上に、相手の視界から逃れることが出来るからです。このように、射程に関わらず、自分の得意なステージポジションを把握しておき、そこを起点としてキルを生むことが重要になります。

③エイム能力
①と②の重要性は把握していただけたでしょうか。③のエイム能力は本稿が指摘せずとも、プレイヤーが最も重要視している能力の一つだと思います。エイムに関しては練習量がモノをいう分野なので、短期間で劇的に改善することは難しいでしょう。短期的な実力向上を見込むならば、①と②にフォーカスした方が伸びは早いと思われます。

しかし、どうしてもエイム能力を向上させたい場合には、「予測」が重要になります。そもそも、このゲームは相手が動いたタイミングで相手にレクティルを合わせても、インクを当てることは難しいです。相手に当たる前に、相手がその位置から移動してしまうからです。そこで、事前に相手の位置を予測して弾を置いておくことが重要になります(置き打ち)。

スライド能力を有するブキと対面した時には、この能力が特に必要です。何回かの対面で相手のスライドの癖を見抜き、スライド先に弾を置いておくことで相手よりもキル速度を出すことが出来ます。

置き打ちだけが重要なわけではないものの、エイムに関しては各プレイヤーに思うところがあるはずなので、本稿ではこのくらいの記述に留めておきます。

4.自分がエース人材ではない場合の戦略

さて、自分がエース人材ではない場合には、キルを量産することが難しいです。その理由は、上述した方程式における各能力がランク帯に見合っていないからでしょう。

長くなってきたので忘れたかもしれませんが、ガチエリアの勝利要因は、チーム間の合計キル数の差です。すなわち、自分がエース人材ではない場合、自分のキル数は一定程度に維持しつつも、味方のキル数上昇に貢献する必要があるということです。つまり、自分がエース人材ではない場合の戦略は、「味方チーム全体のキル数を上げること」になります。

それでは、味方チーム全体のキル数はどのような要因で構成されているのか。本稿では、合計のキル能力の方程式を、個人のキル能力に関する方程式を単純に4倍したものだと仮定します。つまり、式は以下のようになります。

【合計キルの方程式】
合計のキル能力 = (①敵の発見力 ✖ ②ポジショニング ✖ ③エイム) ✖ 4人分

色々と異論が飛び交いそうなので、1つ1つ要因を説明していきます。まず、③のエイム能力に関しては、これはあくまでも個人に帰属する能力なので、味方のエイム能力を引き上げることは不可能です。そのため、①と②に関して味方にどう貢献できるかが重要になります。

①敵の発見能力
自分はエース人材ではないので、チーム全体の敵発見力を上げていく必要があります。自分が味方に敵の存在を知らせる方法はたくさんあります。塗り、ポイズン、センサー、マルチミサイル、カモン、自分が弾を打っている方向など、あらゆる情報が味方の発見力に貢献します。ただ、味方が敵を先に発見できたとしても、②や③の問題から確実にキルが生まれるとは限りません。そのため、他の要因に対する貢献も必要となります。もちろん、自身がキルを生むことも忘れないでください。

②ポジショニング能力
最も味方に貢献できる要因が、味方のポジショニングに関する行動です。端的に言えば、塗りが重要になります。なぜなら、味方は通常、塗られていない領域に移動する場合には警戒心を持って進むため、進軍のスピードや①の発見力が落ちる傾向にあるからです。そのため、味方のブキが有利なポジションを維持できるような塗り管理が重要となります。

塗りだけではなくとも、味方の位置取りを有利に働かせる方法はあります。それは、自分が囮になることです。自分が最低限デスをしないように敵の前に張り付き、敵の注意を自分に向けることで、味方は有利なポジションから敵をキルすることが可能になります。

自己犠牲によるチームへの貢献はあまり見られません。皆、自分のキル欲しさに自己保身に走るためです。特に、Xパワー下位での戦いでは味方へのオブジェクト押し付けや、キルのみを狙って常に後方でポジショニングを行う状況が見られます。このような行動は確かにキルに繋がるものの、オブジェクトに対しての臨機応変な対応が困難になります。すなわち、時には自分のデスと引き換えにチームに貢献する姿勢が必要だということです。

総合すると、味方が有利なポジションからキルを生めるように、塗り管理や囮といった戦術を用いて、ステージをコントロールすることで合計のキル数を増大させることが出来ます。

5.まとめ

最後に、要点を整理しておきます。

自分がエース級の働きを出来る場合は、ガンガンキルを狙いに行きましょう。その際、キルの構成要素である①敵の発見能力、②ポジショニング能力、③エイム能力、の3つを向上させていくことがキル数の増大に繋がります。戦略はキル数の増大、それに対する戦術は3つあるということです。

逆に、自分がキルを量産できない場合には、最低限のキルを維持しつつも、チーム全体のキル数に対して貢献する必要があります。そのためには、合計キルの構成要素(上述した3つ)に貢献できるように、各行動を起こすことが重要です。すなわち、戦術は合計キル数の増大、戦術は味方全体における3つの構成要素を向上させるような自分の行動ということになります。

本稿における考察は以上になります。本当は2,000文字くらいでやめるつもりでしたが、予想外に書いてしまいました。ここまで読んでくれた人はありがとうございました!笑

思いついたことをふらっと書き留めていきます。