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ポスト資本主義研究室

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ポスト資本主義社会の姿やその実現方法について、哲学や科学など様々な観点から考えていきます。 気候変動などの大局的な事象から、小商いとしての日々の営みまで、あらゆる視点を排除しな… もっと読む
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#小商い

京都カルチャーとポスト資本主義

雑誌『Standart Japan』の最新号(Issue 10)にエッセイを寄稿しました。 タイトルは『京都が未来である理由ーポスト資本主義への道標』。 このエッセイを書いたきっかけについて、少しだけ書いておこうと思います。 ◇ 京都には独特なカルチャーがあります。 たとえば、「一見さんお断り」はその象徴でしょう。 常連のお客さんなどからの紹介がない人は入店をお断りするというものです。 イメージするほどそんなに「一見さんお断り」の店が存在するかは疑問ですが、京都に

「あなたのお店は入りにくい」

先日、「五条喫茶室 -コーヒーショップから考えるコミュニティ論-」というイベントに参加してきた。コーヒーショップやコワーキングスペースの運営、そして学者の立場から三者三様の話が聞けて、とても楽しく有意義な時間だった。 イベントの終盤で参加者から「知らない町のカフェなどは、なんとなく入りにくい」という声があり、それに返答する形で登壇者の小松尚さん(名古屋大学大学院環境学研究科)から「コミュニティに参加したい人がカフェにやってくるようにするためには、建築的に入りやすいデザインに

〈売り手の思想〉としての価格決定

ある商品の『価格』はどうやって決まるのか、もしくは決めるのか?という問題は、経済学にとってはいつだって重要な論点だし、事業を経営する人にとってはいつだって悩みの種だろう。 資本主義を研究中の僕にとっても、それは興味津々なテーマだ。 そんな中で、ふたつの面白い記事を読んだ。 一つ目はセキネトモイキさん(Nokishita代表 / ドリンク ディレクター)のこちらのブログ。ぜひ読んでほしい。 ここでセキネさんは、〈価格を客が決める〉という試みについて紹介している。その結果と