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後継者なんていらない〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#15

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回のテーマは後継の育成です。果たして情シスの後継を育てるということはどこまで出来るのか?すべきなのか?そういった事について書いてみようと思います。

情シスの後継者問題

事業会社の中のIT要員、いわゆる情シスの後継問題については2025年の崖とか言われてすでに数年が経過しました。
この2025年の崖とはバクルの好景気の中で大量に就職したベテラン技術者が一斉に定年を迎えるとか、技術者がいなくなって老朽化しているシステムを支える事ができなくなるとか・・そういった人材面の課題がクローズアップされています。後継者を育てるように言われている情シスのみなさんも多いでしょう。

しかしながら情シスの後継者というのは非常に難しい課題です。これは同じようにITエンジニアを抱えているSIerやベンダーよりも遥かに難しいと言えます。

そのあたりの話・・・・なぜ情シスでは後継人材が育たないのか?そしてそもそも後継人材なんて必要なのか?・・・・についてまとめてみます。

なぜ情シスには後継人材が育たないのか?

情シスって企業の中のコーポレートのスタッフとして社内のITの面倒を見たり、新たな情報戦略を立ててDXを推進したりする人です。特に近年は後者のほうが求められている認識です。

その特徴としてはその企業の中で極めて人数が少ないということです。最近はリテール企業の中で1000人規模の内製化体制を整えるところも出てきてはいますが、大きくてもせいぜい100人とか200人くらいというのが限界かと思います。まぁけっこう大きな会社であっても数十人暗いというのが多いでしょう。

圧倒的に人数が少ないのです。

つまり情シスの中のあるリーダーを育てるには、数十人の情シスの中の適正の有りそうで経験も適度な人から選ばないといけないのです。

これがSIerであれば適切な経歴・経験やスキルや特性を持った人はたくさんいる可能性があるのですが、残念ながら多くの情シスには、選ぶ対象が少なすぎるのです。

「リーダーを出来る人材なんか誰も居ない」なんて事態も充分に有り得るわけです。

このような状況では後継者が生まれる可能性は極めて少ないと言わざるを得ません。


後継人材なんて必要なのか?

後継人材というと思い浮かべるのが自分と同じ役割、そして能力をもった人材です。そっくり同じとは言わなくても「自分✕0.7」くらいの人材を思い浮かべる人も多いと思います。

でもそんな人居ますか?

そして、そんな人必要ですか?

マニュアルや作業手順に従って言われたことをこなすだけの仕事であるならば「後継者」なんていう人が必要であるのかもしれません。しかし常に自分で考えながら改革を進める人の後継者なんてどうやって作れば良いのか想像もつきません。
同じように改革を進める人は居るのかもしれませんが、そのアプローチも思想も異なる違う人間であって、それは誰かの後継者なんていうものではないはずです。前任者が抜けたあとを、そのまますっぽり埋めるような後継者なんて、その前任者がよっぽど何もしない受け身人間でない限り用意することなんてできないのです。

むしろそういう考え方は人間をまるで機械とかロボットのように簡単に交換できる存在と考えているということであり、現代の自律的で能動的な組織ではありえないことなのです。

つまりあなたの代替品=後継者なんて作ることはナンセンスなのです。

なぜなら、あなたの業績や働きはあなたの性格、思想、人生の経験、そして人格の上に成り立っているのですから

替わりなんて存在しないのです。

人材はチームで繋いでいく

現実的な解としては「替わりの人材」を準備するのではなく、抜けた穴をチーム全体で埋めていくことだと思います。

そのチームの中でどうしてもリーダー的な人が必要だとしても、その人はその人なのです。その人にあった前任者と違うアプローチで、そして違うボリューム負担で役割を担えばいいのです。穴があるならメンバーの中からそれをできる人が埋めていけばいいのです。
なぜなら人間は一人ひとり人生も能力も考え方も嗜好も違うからです。違う人間なんだから違うやり方で良いと思います。

無理に誰かの穴をひとりで埋める必要なんてないのです。

もちろん引き継ぎがいらないわけではありません。手続きとかルールとかドキュメントの場所とかはちゃんと引き継がないといけません。でもそれも普段から共有しておけばいいだけです。

個人から個人に引き継ぐものなんてないのが理想のような気もします。


というわけで後継者なんていらないという話でした




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