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情シスこそ技術を学べ〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#20

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回は勉強をしない、したとしてもマネジメント系の勉強ばかりに走りがちな情シスにこそ技術を学ぶことが大事になってきているという事を書こうかと思います。

変わるITの技術

言うまでもなくITの技術はここ10年くらいで大きく変化してきています。というか実はITの技術は少なくとも10年単位くらいで代わり続けています。11980年代のオンライン化、1990年のPC化・イントラネット、2000年のインターネット技術などITをとりまく状況は大きく変わっています。
それ以上に2010年を境にして、クラウドの登場、SaaSの勃興、スマホの普及、ERPやCRMなどの市場拡大、イントラネットの崩壊とゼロトラスト・・・さらにノーコード/RPA・・・・・目立ちはしませんがシステム開発環境の進化、テストの自動化などなど恐ろしいほどに激しく変化しています。

・・・・この辺は解説の必要もないと思います。

変わるITのあり方

それらは単なる技術進歩と言うだけでなく、ITのあり方も大きく変えてしまっています。従来の「言われたものを決められた標準でそれぞれがつくる」というシステム構築は今や「有るサービスを組み合わせて使う」に変化し、パッケージやSaaS導入もついに基本から追加開発する「Fit&Gap」ではなくそのまま使う「Fit to Standerd」に大きく変わっっています。また開発の効率化や自動化、PM手法の改善などによりシステム開発の課題はよりビジネス側に偏ってきています。その必然として決められたものを決められたとおりに作るものではなくよりアジャイルな方向に変化もしてきています。

選択が中心の開発

特に要件に対する対応としては「正確に要望を聞き出して仕様を固める」から「課題に対応できる複数のサービスやツールから選び出す」に変わってきています。そしてどのサービスやツールを選ぶかでコストはものすごく変わりますしサービスの内容によって生み出されるビジネス価値も大きく変わります

さらに実装段階になっても今のプログラムはAPIでどういうサービスを呼び出すのか、度のライブラルを使用するのか・・・・みたいな選択が必要になります。当然この選択もかかるコストとサービスのバランスが決め手になります。

メインフレームが中心の時代には、こんな選択は全くと行ってもいいくらいありませんでした。一番最初の最初に「IBMにするか富士通にするかNECにするか」の選択(ここは往々にしてエンジニアリングではなく営業と政治で決まる)がその後のすべてを支配してしまいました。開発段階で選べるのは「作るか、作らないか」だけの選択しかありません。

そこからシステム基盤はオープンになりましたが、基本的な流れは大きく変わらず開発段階で選択できることは「作るか、作らないか」だけでした。

ポジティブに考えると現在は開発段階で選べる自由は一気に拡大したと言えるでしょう。

誰が判断するのか?

しかしそれを誰が判断するのか?汎用機の時代の影響がのこる時代なら「高い安い」をベンダーが判断して、「払う、払わない」をユーザー部門が選ぶ・・・・これくらいしかありませんでした。情シスの人といえばその仲介・・・・悪く言えば「見てるだけ」でした。

しかし開発に選択肢が一気に増えた今、選択の度合いが「やるかやらないか」から「どれを選択するか」に変化した今、一体誰が選択肢を探してきて、誰が「これにする」と判断するのでしょうか?

残念ながらもはやSIerには複数の選択肢を自主的に探す力はありません。しかも当然のことながら自社が押している(なんかの利益につながる)サービスを押してきます。(良い人も居ますが・・・・)公平になんか活動できません。今や富士通ベースの開発環境でNECのサービスを呼び出すことがベストなのかもしれない・・・・という世界なのです。

もちろんユーザー部門にもそんな事はできません。最近はビジネス部門のITリテラシーはものすごく高くなってきていますが、残念ながら彼らの本職はITではありません。頼りっきりにするのは適当ではありません。

情シスが活躍できる時代

そこで、登場するのが「情シス」今風に言うと「コーポレートエンジニア」です。従来は仲介役、調停役でしかなかった情シスでしたが、開発に選択肢が増えた今の時代は情シスが活躍できる時代なのです。

世の中にたくさんあるサービスを公平な目線で探し出し、場合によっては必要なベンダーに依頼して、現場の課題を正しく本質的に捉え、粗r手に合わせた業務プロセスをビジネス部門に提案し、エンジニアリングとビジネスのバランスを考え、評価し選択を合意に導く・・・・それが出来るのは自社のエンジニア・・・・情シスしか居ないのです。

むしろそれをしなければ情シスは単なる「いらない子」になってしまいます。

情シスに求められていること

世の中、大きな流れとしてはニトリさんやビックカメラさんなどの例を挙げる必要もないくらいITは内製化の方向に進んできています。
それでもすべてを内製化というには人事的な課題などでなかなか難しいとは思いますが、システムを自分たちで選択する「選択の内製化」はより進んでいくはずです。

そうした中で情シスの人たちは何を学ぶのか?

従来は自分の担当領域で使用されている技術をチョット知っていればよいというくらいでしたが、これからは自分の使っていない技術領域も学ばないと世の中にたくさんある選択肢を探せません。そして選択肢を探すためにはITやIT活用のトレンドを押さえておくのは欠かせません。判断するためにはビジネスやマネジメントのトレンドを押さえておく必要もあります。

情シスこそ勉強しなくてはならないと思います。

昔に比べ情報のソースは大量にあります。従来は書籍か雑誌、実際に足を運ぶセミナーくらいでしたが、今やそれに加えてWebメディア、オンラインセミナーなどなどもあります。それらをYoutube上に公開しているのも今では当たり前です。さらにQiitaとかDeveloperIOのようなブログ、ユーザーや開発者が集まるコミュニティもたくさんあります。

忙しくても時間にあった入手方法を選べばよいだけです。


会社が最適なITを選んでいくためには情シスの能力が非常に大事です。「調整役」「調達係」から抜け出して価値の有る情シスになりましょう。」

最後に面白かった動画を紹介して終わりにします。







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