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「副業始めた、確定申告どうする?」の答えを税理士が教えます!

「副業を始めたけど何をすればいいの?」

「確定申告ってどうすればいいの?」

「事業所得とか雑所得とかよくわからないんだけど……」

といった方々からご相談を受けることが増えてきました。
専門家である税理士として、お金の管理でやるべきこと、税務署への手続きや確定申告についてまとめました。

(1)副業のお金の管理

副業のお金の管理としてやることは2つだけです。

1.副業の入出金用の銀行口座を用意する
2.副業の経費支払用のクレジットカードを用意する

副業の売上の振込や経費の支払のためだけに使う銀行口座とクレジットカードを用意しましょう。
給与の振込や生活費の支払いの口座とは完全に別の口座にします。
オンラインサービスの登録などはクレジットカードのほうが便利なのでクレジットカードも副業専用のものを用意したほうがいいでしょう。

新しく作るのならジャパンネット銀行や楽天銀行などのネット銀行が使い勝手が良いです。一緒にクレジットカードを作ればお得ですね。

2つだけですが、それでも少し手間に感じる方もいるかもしれませんね。
でも、この「はじめのひと手間」で後が楽になるんです。
メリットは2つあります。
1.銀行口座の残高を見れば副業でどれだけ稼いだのかがひと目でわかる2.ネットバンキングとクレジットカードのオンライン明細をクラウド会計に連携すれば、毎月の収支のチェックや確定申告に必要な帳簿づけも簡単になる

副業している方は「なかなかお金の管理や確定申告に使う時間がとれない」という方が多いので、このわかりやすさ効率化は大切なポイントです。
これを後からやろうとするとプライベートと本業、副業がごちゃまぜになって余計に時間と手間がかかることになるんです。
そうするとなんだかもうイヤになっちゃいますよね……
始める前、もしくは始めてすぐにやることを強くオススメします。

クラウド会計として代表的なものにfreeeとマネーフォワードクラウドがあります。
お試し利用もできるので実際に触ってみると良いでしょう。

(2)副業の確定申告:事業所得と雑所得

副業を確定申告する場合、事業所得として申告するか、雑所得として申告するか2つのパターンがあります。
下の国税庁のリンクに一度目を通してみてください。

…と言ってもなかなかわかりづらいですよね。
簡単に言ってしまうと事業所得として申告したほうがメリットが多いんです。

≪事業所得で申告するメリット≫
1.赤字のときは給与所得と相殺して税金の計算をするため、税金が戻ってくる(損益通算)
2.青色申告することで10万円~65万円の所得控除が受けられる(青色申告特別控除)
3.配偶者や親にスタッフとして働いてもらう場合は給与分の経費が認められる(専従者給与/専従者控除)

ただし、事業所得として確定申告するには条件があります。
事業所得として申告していた副業を税務署が「事業」と認めずに裁判になって、最終的に高額の税金を支払うことになった例もあるんです。

事業所得として確定申告するためには、

・継続して副業の収入を得ている
・副業に相当の時間や労力をかけている
・副業のためにスタッフを雇ったり設備を導入したりしている
・副業である程度の収入を得て生活している

といった状況をみて総合的な判断によって副業が「事業」として認められる必要があります。
ただ開業届を出せば事業所得になるわけではないんです。

収入の金額だけが判断の基準ではありません。あくまで総合的な判断です。
この「総合的な判断」というのが難しいのですが、例として以下のようなケースが考えられます。

(例1)
バンドが本業のミュージシャンがアルバイトで生活費を稼いでいる
「○」… 事業所得(バンド)と給与所得(アルバイト)

(例2)
本業としてフルタイム勤務しつつ、学生時代からのバンドを続けている
「×」 …給与所得(フルタイム)と雑所得(バンド)

副業を将来的に本業とする意思を持って計画的にやっていて、実績を上げているようなケースでは、事業所得として認められる可能性は高いと思います。
逆に、本業の片手間に副業をしておこづかいくらいの収入を得ているようなケースでは事業所得ではなく雑所得として申告するべきでしょう。
また、常に赤字が出ているような副業を事業所得とするには無理がありますね。(そんな『節税』の話をする人もいるみたいですがご注意ください!)

最近は「複業」という考え方も広まってきています。
在宅での仕事も増えて副業についても今後いろいろなパターンが出てくることが予想されるので、税金のルールも変わっていくかもしれませんね。

(3)青色申告ってなに?

そして、事業所得の確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。
「青色申告」のほうがメリットが多いですが、「青色申告」で確定申告するためには、「私は正しく記帳をして取引の書類を保存することを税務署に約束して、青色申告をします」という内容の申請を出す必要があります。

青色申告のメリットには、
・青色申告特別控除
・青色事業専従者給与
・貸倒引当金
・純損失の繰越しと繰戻し
がありますが、副業の場合に重要なのは「青色申告特別控除」ですね。

青色申告特別控除のチラシ↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf

青色申告特別控除というのは、通常であれば収入から経費を引いた残り(=事業所得)について税金がかかるところを、
そこからさらに青色申告特別控除(10万円/55万円/65万円)を引いた金額に税金がかかるようになる制度です。
ざっくりと言うと、「きちんと申告するかわりに経費をオマケしてくれる」しくみですね。
たとえば下のような計算になり、税金が安くなります。

(白色申告の場合)
収入200万円ー経費100万円=事業所得100万円
100万円×10%=10万円の税金
(青色申告の場合)
収入200万円ー経費100万円ー青色申告特別控除65万円=事業所得35万円
35万円×10%=3万5千円の税金

この青色申告特別控除には10万円、55万円、65万円の三種類があり、
55万円分の控除を受けるためには、
・複式簿記による記帳
・損益計算書と貸借対照表の作成
・期限内申告

が必要で、さらに電子申告することによって追加で10万円分の控除が受けられます。
つまり、最大で65万円分の控除が受けられることになります。

なにやら難しそうな話ですが、上で紹介したようなfreeeやマネーフォワードクラウドといったクラウド会計ソフトを使うことでこの点はクリアできる可能性が高まります。

青色申告するための申請には期限があり、副業を始めた年の分の確定申告から青色申告するためには、副業を始めてから2ヶ月以内に開業届と一緒に青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。
すでに副業を始めて時間が経っている場合は、確定申告の期限までに青色申告承認申請書を提出すれば翌年分の確定申告から青色申告をすることができます。
開業届や青色申告承認申請書を作るには「開業freee」が便利です。

(4)まとめ

・副業のお金の管理は専用の銀行口座とクレジットカードを用意する
・確定申告は事業所得が有利だけど、条件がある(きびしい)
・事業所得で確定申告するなら「青色申告」で!

事業所得か雑所得かの判断は正直に言って難しいです。
税理士や税務署と相談するか、確定申告の時期であれば税理士会の無料相談などを利用してみてください。
クラウド会計の利用に不安があれば↓の税理士に相談してみましょう!
(私も相談受け付けてますよ!)

(オマケ)「私あんまり収入ないけど」という場合

「副業の収入から経費を引いたら1年間で20万円にもならない」という場合には確定申告する必要はありません。ここまでの話は忘れてください。

※不動産の賃貸収入など他に収入がない場合。住民税は申告する必要があります


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