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BCPってなんでしょう?

全国の小中学校、高校へ臨時休校の要請が出るなどCOVID-19による影響が大きくなってきている中、在宅でのリモートワーク等企業の対応が注目されています。

災害やテロ、または今回のような感染症が広がった際にどう事業を継続するかをまとめた計画をBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)といいます。東日本大震災以降重要性が高まり、今回のCOVID-19によっても更に見直されることになるでしょう。
自然災害も増えている今、中小企業にとってもBCPの策定は優先度が高い事項のひとつです。

1. BCPの対象

BCPでは様々なリスクを対象としています。
自然災害以外にも仕入先の倒産といったような以下のようなリスクを想定しています。
・事故リスク
 …工場で火災が発生した
・オペレーション(設備稼働)リスク
 …機械が動かなくなってしまった
・情報セキュリティリスク
 …情報漏えいが起きた
・不正、内部統制リスク
 …役員の不正が発覚した
・政治、経済リスク
 …テロが発生した
・人事労務リスク
 …ストライキが発生した
・労働安全衛生リスク
 …感染症が蔓延した

2. BCPの目的

BCPの目的は災害等のリスクが発生したときに「中核となる事業を継続し、早期に復旧すること」です。

災害等が発生した時の
・社員が出社できない
・施設が使用できない
・情報システムの使用できない
といった状況にどう対応するか等を考える必要があります。

3. BCPの内容

(1) BIAについて

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BCPでは、BIA(Business Impact Analysis:ビジネスインパクト分析)というアプローチを使って経営上優先すべき重要業務を特定しておきます。

・業務の棚卸
BIAの根幹となる重要業務の特定のためには、まず日常の業務の棚卸が必要です。どの業務にどの経営資源(人や物、取引先など)が結びついているのか把握します。

・重要業務の特定
自社の業務のうち優先的に復旧が必要な業務は何なのか、収益の面や他の業務との関連性、取引先との関係、社会への影響等も考慮して特定します。

・ボトルネックの分析
特定した重要業務に必要な経営資源は何かを分析します。
キーパーソンは誰なのか、人や物がどれだけ必要になるのかを明確にしておきます。

・目標復旧時間の設定
迅速な復旧を行い、限られた資源の中で適切に投資判断を行うためにもいつまでに復旧するかの目標を設定します。

・投資意思決定
目標復旧時間の達成のための投資を実行します。

(2) BCPの構成

BCPの構成は様々で決まった形式はありません。
重要なのは実際に使用されるマニュアルが非常時にすぐに行動に移せるものであることです。

フローチャートやチェックリストによって直感的に理解しやすい構成になっているとよいでしょう。

(3) BCP策定後の流れ

形式的にBCPを策定してそれで終わりでは意味がありません。
策定したBCPの内容を定期的に評価改善すること、BCPを経営陣や従業員に浸透させるための教育(実地テストやシミュレーション、意思決定訓練)を行うことで実際の緊急時に効果を発揮するBCPとなります。

4. 中小企業でのBCPの要点

・企業同士で助け合う(サプライチェーンや地域)
取引先同士、同業者同士または地域の企業同士での情報交換や業務分担により日常から関係性を築いておくことは緊急時にもつながります。被害の少ない場合に困っている企業を助けるという行為は自社の事業継続にも意味のあることです。

・商取引上のモラルを守る
当たり前のことですが、取引先への発注や支払いの維持、便乗値上げをしないといったモラルを守れなければ企業の信用失墜につながり、復旧後の事業の継続が困難になります。

・地域を大切にする
顧客や従業員の属する地域を大切にする視点も重要です。企業の事業継続とともに企業の資源や能力を地域の復興貢献に活かすことも要素のひとつです。

・公的支援制度を活用する
今回のCOVID-19でもセーフティネット保証による貸付等が行われていますが、中小企業向けの公的金融機関による緊急時融資制度や特別相談窓口の開設等各種支援制度が設けられていますので参考にしてください。

5. BCPにおけるコミュニケーション

コミュニケーションの観点では、
・会社としての行動指針と情報伝達方法
・非常時の連絡先、連絡方法(ホットライン、専用メールアドレス等)
を明確にしておくことが重要です。

また、ふだん使用しているコミュニケーションツールが使えない状況も想定しておく必要があります。

・電話(固定電話、携帯電話)
・メール
・チャットツール
・テレビ会議ツール
・SNS
といった複数の手段を用意しておくとともに緊急時に使用する優先順位を決めておくと良いでしょう。各カテゴリにおいても複数の選択肢を用意しておくことでリスクヘッジになります。


以上ざっとですがBCPについてまとめてみました。
このタイミングで自社のBCPについて考えてみてはいかがでしょうか?
BCPを策定していることは企業としての信頼にもつながります。

当事務所では経営計画等の計画策定と運用支援を行っています。
ご相談を受け付けていますのでお気軽にご連絡ください。

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