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偏差値について正しく理解しよう!

皆さん、模試を受けてその結果が返ってきた時、「点数が〇〇点上がった!」「〇〇点下がった…」と一喜一憂してしまっていませんか?模試の結果で重要なのは「点数」ではなく「偏差値」です!今回はその「偏差値」についてまとめました。

1.そもそも偏差値とは何か

へんさち【偏差値】                学力などの検査結果が集団の平均からどの程度ずれているかを示す数値。点数の分布が正規分布に従うとみて、偏差を標準偏差で割って10倍し、50を加算した数値。

↑引用 『広辞苑』第七版 新村出編 岩波書店 2018

偏差値の意味についての説明は上の文章で十分だと思いますが、一応さらに噛み砕いて説明すると、偏差値とは自分が全体のどれくらい優秀か見るための値です。

なのでいくら点数が前回より上がったとしても、全体の点数が高ければ偏差値も上がっているとは限らないわけです。

また、順位が低くなったとしても下の順位との差がぶっちぎってた際は偏差値は高くなります。

2.偏差値を求める公式

1の時点で偏差値の意味と重要さは分かったと思います。では、その「偏差値」を求める公式を見てみましょう。

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Tiは偏差値、Xiは得点、μは平均点、σは標準偏差です。

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この式で平均点を求められます。いわゆる期待値です。

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(√は全てにかかってます)
この式で標準偏差を求められます。

以上の式で偏差値は求められますがこれだと難しいので次の項で具体例を挙げて説明していきます。

3.具体的な使い方

上に書いた式で理解できた人は必要ないですが、今回は下のテストについて考えてみようと思います。

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まず最初に平均点を求めます。平均点は得点を全て足して、人数で割ると求められます。
(50+90+60+60+40+100+40+40+50+70)÷10=60よりμ、つまり平均点が求まりました。

次に、平均点との差を求めます。上の式においてXi-μの値のことです。A君で考えると50-60=−10となります。

次に、平均点との差の平方数を求めます。                     3枚目の(Xi-μ)^2の部分にあたります。A君について考えると−10^2=100となります。

次に、分散を求めます。分散というと難しく感じるかもしれませんが先程求めた平均点との差の平方数の平均のことです。分散によって、平均点から遠い人が多いか少ないかを判断することができます。上の公式の√の中身にあたる部分が分散です。             (100+900+0+0+400+1600+400+400+100+100)÷10=400より分散が求まりました。

次に、標準偏差を求めます。これは先程求めた分散の平方根を求めることでできます。今回√400=20なのでσ、つまり標準偏差は20です。

次に、平均点との差に10を掛けて標準偏差で割ります。これは公式のXi-μ/σの部分です。          A君で考えると−100÷20=−5となります。

最後に先程求めた値に50を足すことで偏差値が求まります。A君で考えると−5+50=45となります。
以上で偏差値が求められます。

4.偏差値はあてになるのか

先程、長い計算を経てやっと分かった偏差値ですが、あてにならない場合があります。

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これは正規分布というものを表したグラフです。Tscoresと書かれているものが偏差値で、Cumulative%というものが下位何%かを表しています。正規分布とは別名ガウス分布とも呼ばれ、確率の分布を表しているものです。この正規分布の特徴として

・平均値と最頻値と中央値が一致する
・平均値を中心に左右対称である
・x軸が漸近線である
・分散が大きくなると、曲線の山は低くなり、左右に広がって平らになる。
・分散が小さくなると、山は高くなり、よりとんがった形になる

↑引用 https://ai-trend.jp/basic-study/normal-distribution/normal-distribution/

というものが挙げられます。

これに近いものであればあるほど偏差値の本来の価値である、集団の中でどれくらいの位置にいるか表すようになります。しかし、実際の模試においてこのようなグラフになることはそうそう無いので、余り価値は無いと考えられます。

ので、偏差値が±1変わったとしても一喜一憂する必要はありません。

5.正規分布から上位何%か調べる方法

先程出てきた正規分布のグラフですが、もちろんあれも関数の一種なので式が存在します。

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これは確率密度関数というものだそうです。全くもって意味の分からないのですが、これが正規分布の関数の式だそうです。これを使えばこの関数について求めたい区間の間を積分し、面積を求めれば%が求められます。

一応、正規分布だった際、各偏差値が何%に値するかの表を載せておきます。

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(端に少し余白があり申し訳ありません)

6.偏差値の理論を大成した人物について

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(この画像の肖像権は保護期間である70年が経ち、失効してます。イギリス TPP11法)

こちらの写真の方は今回説明した偏差値の理論を大成した人物であるカールピアソンさんです。この方はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの応用数学の教授で統計学が科学として成立するのに大きく貢献した応用数学者です。皆さんの中にもお世話になる方、もしくはお世話になった方がいらっしゃるのではないでしょうか?

7.おまけ

これまでの文章を読んで偏差値がどのようなものかは理解できたと思います。そこで気付いたと思いますが、偏差値を上げる方法は、自分の学力を上げるという方法もありますが、もう一つ方法があります。それは成績の良い人を排除することで平均点を下げるという方法です。そこで、偏差値50の人物が東京大学医学部の偏差値74になるためには自分を除いた上位何%を排除すればいいのか求めてみたところ、約80.8%という結果になりました。(自分の計算によるものであるため必ずしも絶対というわけでは有りません)つまり、2020年度のセンター試験を受けた人数、55万7998人のうち自分を除いた45万620人を排除することになります。

こんな人数を排除することができる人間が存在し、実行した際、受験どころではないと思いますが、これほどの力があれば手っ取り早く学校長に頼み込んだ方が早そうですね。

8.終わりに

いかがだったでしょうか?これで模試の結果から正しく自分の能力を推察できるようになったと思います。そして、決して「おまけ」に載ってた内容を実行されないことを願います。

9.参考文献













『広辞苑』第七版 新村出編 岩波書店 2018



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